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新春インタビュー・トップ二人が見据える2023年のフラー

激動の2022年が幕を閉じ、2023年という新たな年がスタートしました。「ヒトに寄り添うデジタルを、みんなの手元に。」をミッションに掲げるフラーは何に注力し、どこに向かうのでしょうか。フラーのトップ2人が2022年の出来事を回顧するとともに、2023年の展望や夢を語りました。

フラー株式会社 代表取締役会長
渋谷修太(しぶや・しゅうた)
1988年生。新潟県出身。国立長岡工業高等専門学校卒業後、筑波大学理工学群社会工学類へ編入学。グリー株式会社を経て、2011年11月フラー株式会社を創業、代表取締役に就任。2016年には、世界有数の経済誌であるForbesにより30歳未満の重要人物「30アンダー30」に選出される。 2020年6月、故郷の新潟へUターン移住。2020年9月、新潟ベンチャー協会代表理事に選任。2020年10月、長岡高専客員教授に就任。2021年12月、EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2021ジャパン受賞。2022年2月、初の著書「友達経営」を出版。ユメは世界一ヒトを惹きつける会社を創ること。

フラー株式会社 代表取締役社長
山﨑 将司(やまざき・まさし)
1988年生。新潟県出身。新潟県立新潟高校、千葉大学工学部デザイン学科卒業。卒業後は、富士通にてBtoBプロジェクトのUIデザイナーを担当し、 国際的なプロダクトデザイン賞であるiF DESIGN AWARDを受賞。2015年3月にフラーに参画し、執行役員CDO(最高デザイン責任者 Chief Design Officer) 、執行役員COO(最高執行責任者 Chief Operating Officer)を経て、2020年9月代表取締役社長に就任。ユメは世界のデザインに対する価値基準の底上げをすること。

アルビ優勝、教育連携、3年ぶりの長岡花火…盛りだくさんだった2022年

ーーあけましておめでとうございます。2022年はどんな年でしたか?

渋谷:2022年を一文字で表すと、満足の「満」ですね。いろいろ忙しかったけれど、満たされたなと(笑)。

年初には初の著書「友達経営」を出版して大きな反響をいただきましたし、10月にはオフィシャルクラブパートナーを務めるサッカーのアルビレックス新潟がJ2で優勝して悲願のJ1昇格を果たしました。

さらに、全国の高専OBOGをつなぐ組織「一般財団法人高専人会」を立ち上げたり、新潟ベンチャー協会として初の大規模イベント「新潟ベンチャーサミット」を開催したりと、本当に盛りだくさんの一年でした。

山﨑:特にアルビのJ2優勝とJ1昇格はフラーにものすごく良い影響を与えたと僕も強く感じています。アルビの優勝をきっかけにフラーの存在を知った親世代のアルビサポーターが子どもたちに「フラーという面白い会社が新潟にあるよ」と教えてくれて、認知が飛躍的に広がったんです。

アルビの試合観戦を契機にこれまで交流したことがなかった他部署や他拠点のメンバーが交流するようになり、これまで以上にメンバー間のつながりが強くなるなど、社内にもポジティブな影響を与えました。

アルビの応援に駆けつけたメンバーがビッグスワンで記念撮影

さらに、フラーには部活動の一つとしてフットサル部があるのですが、アルビが盛り上がっていくにつれてその活動も非常に活発になりました。

企業がスポーツをどういう風に応援して事業や経営に生かすのか、正直これまであまりよく分かっていませんでした。でも、2022年のアルビ優勝という大きな出来事をきっかけに、ひとつのチームを会社のみんなで応援することの価値がものすごく理解できた気がします。この良さはぜひ他の会社にも広めたいです。

また、フラーは2022年に新卒メンバー7人を迎え入れるなど若い人がどんどん増えています。そんな中で渋谷が書いた「友達経営」は、フラーの歴史をすごくしっかりまとめてくれていて、会社の歴史や文化を新しいメンバーが理解するのにすごく役立っています。本当にありがたいなと思います。

ーー山﨑さんはどんな一年でしたか?

山﨑:僕は2022年を一文字で表すなら「繋(けい)」ですね。

2022年はクライアントや他の企業との連携が非常にうまくいって、事業が大きく伸長した一年でした。これまで渋谷のトップセールスが強かった営業戦略も、メンバーが強みを生かしてうまく連携し、どんな販路でもセールスができる自信がつきました。

これまで地道に積み上げてきた高専など教育機関との連携についても、新卒採用の面で実を結んだ一年でした。

これまでの教育連携を含むさまざまなきっかけを通して入社した2022年の新卒7人は、それぞれの現場で全員が非常に活躍していますし、2023年4月には17人もの新たなメンバーをフラーに迎え入れることになりました。優秀な人材の確保を実現するとともに、新人教育のプログラムも着々と完成しつつあります。

2023年新卒内定メンバーと経営陣が内定式で記念撮影

渋谷:一気にフラーの平均年齢が若くなりますね!すごい!

山﨑:若い人がたくさん入って会社を盛り上げることは、僕はとても良いことだと思っています。

スマホアプリやデジタルという現代的なプロダクトやサービスを扱うだけに、新しいことを受け入れることや変化を敏感に感じ取ることが会社にとってすごく重要だと感じているからです。若い人がどんどん入ることで会社の雰囲気もこれまで以上に良くなっていると感じています。

このように「繋」という文字をキーワードに、あらためてフラーの強みを思い返す機会が多かった一年でした。

渋谷:2022年は3年ぶりに長岡花火も開かれ、オフラインでの人々の「繋がり」が戻ってきた年でもありましたね。

山﨑:たしかに!フラーが公式アプリの開発・運用を手がける長岡花火に、2022年はいつもお世話になっているお客様をご招待しました。「今年あったイベントの中で一番良かった」と大きな喜びの声もたくさんいただきましたし、地域との繋がりの大切さをあらためて噛み締めた年でもありました。

渋谷:人が集まってみんなで感動するシーンって本当にいいよね。オンライン主体で仕事をする一方で、オフラインでの交流やコミュニケーションの良さも生かすという、双方の持ち味を生かした働き方に適応して事業伸長が実現できるのはフラーならではだと思います。

そういう意味で、アルビレックス新潟、長岡花火、大地の芸術祭と新潟の主要なオフラインイベントにフラーがデジタルで関わることができて本当に嬉しいです。

山﨑:本当にそうですね。県外の人からも「新潟はITが盛り上がってきているね!」と言われ、数年前の新潟の印象と本当に大きく変わったなと感じています。

フラーの良さを表す「バーカウンター」

山﨑:フラーが企業として成長を含む変化を遂げる一方で、原点であるフラーの良い雰囲気や文化がしっかりと変わらずに受け継がれているのもすごく良いことだと思っています。

例えば、「バーカウンター」。フラーでは昼休みや終業後、会社に設置しているバーカウンターで飲み物を飲みながらさまざまな部署のメンバーと交流したり、ダーツやカードゲームをして楽しんだりする文化が脈々と受け継がれています。ちなみにバーカウンターはメンバーの手作りです。

終業後にバーカウンターで飲み物を飲んだりダーツをしたりしてくつろぐメンバー

社外のお客様が打ち合わせの後、時々ふらりとバーカウンターに立ち寄ってメンバーとカジュアルに歓談するなど、フラーらしいオフラインの交流の輪も広がっています。

こうしたフラーの良さや文化を生かしながらも社会の公器たる企業として成長していくことが、2023年に限らず目指していきたい姿です。フラーのように「すごくいいな」と思える企業がたくさん増えたらもっといい社会になると思うからです。

渋谷:新潟には日本酒もジンもありますし、今年はバーカウンターに新潟のお酒をたくさん置きましょう!(笑)

「今までで一番役割分担ができている」

ーー2022年は会長・社長としての2年目が終わった年でもありました。それぞれいかがだったでしょうか?会社運営の視点で役割や目指す方向に変化はありますか?

山﨑:えっ!まだ2年なの?!もう10年くらい社長をやったんじゃないかというほど、僕にとってはものすごく長い時間でした(笑)。喜びと辛さがものすごく短いスパンで何度も何度もやってきて、その度に瞬時に気持ちを切り替えなければならないような、ジェットコースターのような日々でした。

渋谷:僕は逆にあっという間でしたね。最近、やっと「会長」とちゃんと呼んでもらえる比率が高まりました(笑)。まーしー(山﨑の社内でのニックネーム)の前によく8年も社長をやっていたなと思います。もちろん、対面している状況が違うので、それ相応の苦労はありましたが、体感的な違いは絶対にあるでしょうね。

山﨑:就任から2年が過ぎても、二人ともそれぞれ得意なことをやるというスタンスは基本的には変わらないですね。渋谷が新潟を中心に積極的に外に出向く渉外活動全般を、僕が社内を含む事業活動全般をそれぞれメインで担うという役割に大きな変化はありません。そういう意味で、本当に役割がうまく分担できているなと感じています。

渋谷:2022年の大きな変化は、副社長CDO(Chief Design Officer)の櫻井が積極的に外に出向き、発信をするようになったことだったと思います。

デザインをキーワードとしたさまざまなカンファレンスに登壇したり、デジタルプロダクトデザインに特化したデザイナー組織「フラーデザイン」を立ち上げたりとデザインに特化した露出に注力してくれました。

山﨑:櫻井の登壇や露出をきっかけに、お客様からは「デザイン」というキーワードを軸に興味・関心や魅力を持ってもらえるようになってきましたし、大きなプロジェクトもいくつか手がけ始めました。優秀なメンバーも続々と集まっています。

そういう意味で、経営陣の役割分担において、フラーの成長に最も良いバランスが見えた一年でもありました。

渋谷:綺麗に役割が分かれてきたよね。創業期にお互いに色々試行錯誤したことが、今の絶妙な役割のバランスを導き出すことにつながっている気がします。

会社全体を見渡しても、デザイン・エンジニアリングなどそれぞれの専門領域ごとにさまざまな発信やブランディングができた一年だったと思います。

日経MJ連載寄稿:読み解き 今コレ!アプリ

フラーレンのようなシナジーを

ーーフラーの企業としての独自性や強みはいま、どこにありますか?

山﨑:フラーの強みは、事業開発・デザイン・エンジニア リング・データ分析という、デジタルを生かした企業の成長や事業の成功に必要な4つの専門領域が全て社内で賄えることです。

それぞれの専門領域ごとに人材を育成したりレベルアップを図ることで全てが強い状態とするため、2022年は専門領域ごとに組織体制を分けました。

これらの専門性を発揮して一気通貫でプロジェクトを担えることが他社との競争の中でも優位に立てる部分であり、社会にも価値を還元できる部分でもあります。この一気通貫で担える体制は2023年も引き続き強化したいです。

また、お客様の成功により貢献するため、2023年は専門領域を持つ強いメンバーを横串で結びつけ、安定していながらも柔軟性に富む “フラーレン”のようにシナジーを発揮できる組織づくりに取り組みたいと思います。そこにもフラーらしいやり方があると思っています。これから試行錯誤しながら取り掛かりたいと思います。

ーー会社として2023年に注力したいことは何ですか?

渋谷:「ヒトに寄り添うデジタルを、みんなの手元に。」というミッションを実現するために、IT企業としてこれまで積み重ねてきたことを、2023年もあらためてしっかりやっていきたいですね。

年末年始に考えたのですが、フラーの持つ独自性はシンプルに表せないなと思います。デジタルパートナー事業、拠点開設、教育連携、人材育成など自分たちが積み重ねてきたことが強みですし、その歴史自体が未来の武器になるからです。それこそが良さなのだと感じています。

山﨑:僕もまったく同じ思いです。

フラーのすごいところは、一歩踏み込んで取り組んだことをしっかりと形にして花開かせることだと思います。

例えば、沖縄にサテライトオフィスを開設したのも急に拠点を作ろうという意思決定が起きた訳ではなく、7年ほど前から沖縄高専からインターンを受け入れ続けていたことや、地元出身のエンジニアが移住したことなど地道な交流を続けていたからこそです。

そういった積み重ねから生まれる広がりを大切に育て、プロダクトやデジタルにおける息の長い支援をしていきたいです。

フラーをより多くの人に認められる会社に

ーー個人的に2023年に注力したいことはありますか?

渋谷:僕は「健康」ですね。30代半ばに差し掛かったところで初めて意識しました(笑)。

特に何か健康診断で引っかかったとかではないのですが、2022年はいろいろやり過ぎたせいか体調の波が激しかったんですね。どうせ2023年も色々と新しいことにチャレンジすることになると思うので(笑)、健康を意識してしっかり整えて臨みたいです。

山﨑:僕は新潟や柏の葉などフラーが根ざす地域に関係する挑戦を何かしたいなと思います。

2022年はフルマラソン完走という目標を掲げ、12月に沖縄県那覇市で開かれたNAHAマラソンで実現しました。一緒に参加した新卒メンバーに2分のタイム差で負けたのが本当に悔しかったですが(笑)。

新卒メンバーの新保(右)に2分差で負けて悔しそうな山﨑

何か地域の方々に喜んでもらえるとともに、あらためて地域の魅力を思い返すような、地域に根付いたイベントに参加したいと思います。

2022年は運動系のイベントだったので、2023年は文化系のイベントにしようかなあとか、色々と考えているところです。お楽しみに(笑)。

ーー最後に2023年の抱負をお願いします。

山﨑:より多くの人に認められる会社になりたいです。フラーは今、新卒採用に注力していますが、その家族が安心感を持って送り出していただける会社にしたいです。そのための大きな一歩を踏み出す年にしたいと思います。

安心感を持っていただくためにも、フラーの良さを失わないようにすることが重要だと僕は思っています。

デジタルに関するスキルだけでなく、思いやりをもって働くフラーの“人の良さ”を失うことなくこのまま事業を拡大していくことができたら、真に世の中に誇れる会社になると思います。

ITスキルと一緒に作ることの泥臭さ・楽しさを掛け合わせながら成長していくことで、渋谷が指摘したような“シンプルに表せない独自性”を培っていきたいです。

渋谷:2022年にアルビ優勝をはじめとした夢ややりたいことが実現できたせいか、実は年末に一瞬だけ燃え尽き症候群になりました(笑)。でも、それはそれですごくいいことだと思っています。また新しい気持ちでゼロから夢を追いかけていくことができるからです。

アルビもJ1で新たな挑戦が始まりますし、さまざまな場所に足を運んで、夢をじっくり描きながら、さまざまなことに取り組んでいきたいと思います。次に一冊の本をまとめるとしたらどんな本にしたいか、そのストーリーが紡ぎ出せるような生き方をしたいですね!

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