フラーが沖縄サテライトオフィス開設に込める願いとユメ(後編)〜代表と拠点開発責任者による対談〜
デジタルパートナー事業を営むIT企業であるフラーは、これまで、千葉の「柏の葉本社」、新潟の「新潟本社」「長岡サテライトオフィス」で事業を展開してきました。
そしてこのたび、新たに「沖縄サテライトオフィス」を開設。
そこで今回は、「IT企業が沖縄にオフィスを開いた理由」「沖縄オフィスの現状」「沖縄の現実と叶えたいこと」などを、代表取締役社長と沖縄出身メンバーで沖縄地域 拠点開発責任者の二人に聞いてみました。
なお、記事は前後編の二本立てとなっており、今回はその後編となります。
(前編はこちら:https://note.fuller-inc.com/n/n723955fe0440)
沖縄拠点の今
——沖縄サテライトオフィスの現状を教えてください
伊禮(沖縄出身エンジニア/沖縄地域 拠点開発責任者:カバー写真左):
現在、フラー沖縄拠点にはまだ僕一人しかいないので、コワーキングスペース(那覇市)をオフィスとして業務を行っています。
アプリエンジニアとしての仕事をこなしながら、沖縄地域の拠点開発責任者として、地域の学校さんや会社さんとの繋がりを強くしようと、様々な取り組みを展開中です。
たとえば、大学には「デザインやエンジニアリングについて講義をさせていただけないか」とお話に行ったり、沖縄高専には「プログラミングの授業を任せていただけないか」とご提案に行ったり。
また、地域の会社さんにもご挨拶に行って、うちはこういう会社なんですとご説明して回っています。まずは認知度を上げようと。
大学からは、特にデザイン領域などについて、「自分たちでは教育できない、まだ手が届かないところなので、やってもらえるとすごく嬉しい」と言っていただけています。
出身校の沖縄高専に行くと、先生方には「こんなに大きくなって!」みたいに喜んでいただけますね(笑) 15歳の頃から面倒を見ていただいてきたので、当時を知る方々に「成長したな」と言っていただけて。
そのことがまず嬉しいですし、そして何より、自分の提案していくことがこれから後輩たちの役に立ってくれたらと願っています。やっぱり、好きな学校なので。
それから、行政の方とも話をさせていただくことがあります。
現在、観光を柱としている沖縄ですが、ITを次の柱とすることを掲げています。ただ現状、それはBPO(ビジネスプロセス アウトソーシング)サービスなどが主です。それもそれで必要ですが、一方で、アプリやサービスを創る会社は少ない。
なので、フラーがそういうプロダクト創りを行なっていることをお話しすると、すごく期待していただけます。拠点を作る際にもご相談に乗っていただけたり、いろいろな方とご縁を結んでいただけたり。
このように大学からも高専からも、地域企業からも行政からも、ありがたいことに期待していただけているのを感じますね。
山﨑(代表取締役社長:カバー写真右):
本当にすごくありがたいなと思います。
フラーが拠点を展開するとき、強く意識をしていることの一つに、「すべての拠点を平等に扱う」という考えがあります。
本社で仕事を引き受けて、地方の拠点をそのための下請けにする……といったことは、フラーでは一切ありません。沖縄にいるメンバーも新潟にいるメンバーも柏の葉にいるメンバーも平等に、あらゆる仕事に接する機会がある。それをフラーは大事にしています。
もしかしたら、そういう考えを持っていることも、沖縄でこうして受け入れていただけている理由の一つなのかもしれませんね。
フラーの拠点間コミュニケーションに関する参考記事はこちら↓
https://ourly.jp/interview-fuller/
地方拠点立ち上げメンバーに求められる資質と役割
——今回、伊禮さんに新たな地方拠点の立ち上げを託そうとした理由はなんですか?
山﨑(代表取締役社長):
フラーが新潟拠点(現新潟本社)を作ったとき、新潟に常駐するエンジニアがいたことがすごく有効に働きました。地方に拠点を作るなら、エンジニアやデザイナーのような、その場所でずっと作業をする人がいることは必要だなと実感したんです。
なのでまず、エンジニアであるという点が、伊禮に任せようと思えた決め手の一つです。
もちろん、伊禮が既に話してくれたように地域の皆様との交流は必要なので、拠点のメンバーとして普通のエンジニアよりもはるかに外に出て、色々コミニュケーションを取っていかなければならないのですが、そこも伊禮は頑張ってくれています。
伊禮(沖縄出身エンジニア/沖縄地域 拠点開発責任者):
営業はあまり得意ではなく、ガッツリ体力を持っていかれてはいるのですが、なんとか……!(笑)
自分でやってみて、社内の営業メンバーへのリスペクトがより深まりました。皆さんすごいです。
山﨑(代表取締役社長):
たとえ喋りが上手くなくとも、伊禮の中には地元を愛する強い気持ちがある。だから、その気持ちを元にここに帰ってきてるんだってことが伝われば、地域の皆様にはきっと助けていただけるんじゃないかと思っていたんです。
伊禮に立ち上げメンバーを任せた大きな決め手がここで、伊禮はすごく皆から愛される人。今回も、伊禮が沖縄に帰るという話になったときに、最後の一週間なんて毎日のようにお別れ会が開かれていました。その雰囲気を見て、やっぱり伊禮なら大丈夫だなと確信しましたね。
——拠点の立ち上げメンバーとして、伊禮さんにはどんな期待をしていますか?
山﨑(代表取締役社長):
伊禮からちょうど、お母さんにカーネーションを手渡しできたという話がありました(編集注:前編参照)。まず伝えたいのが、仕事どうこうより先に、そういった家族との時間を大切にしてほしいということ。
新潟本社のメンバーからも、地元に帰ってきてお母さんと過ごす時間が増えたとか、お父さんとよく話をするようになったとか、そういうことを聞きます。
僕は、メンバーが家族との時間を大切にできることこそが、フラーが地方に拠点を持つ最大の理由で、最大の魅力だと思っているんです。
伊禮が実際にお母さんから角煮を届けてもらったことや、カーネーションを手渡しできたことを周りに話しているだけで、フラーの拠点の魅力が活きてきます。
そのためにはやっぱり、伊禮自身に沖縄での生活をしっかり楽しんでもらわないといけない。そうじゃなければ、フラーがずっと言い続けてる「世界一、ヒトを惹きつける会社を創る」を果たすのは、難しいんじゃないかなと思っています。
伊禮(沖縄出身エンジニア/沖縄地域 拠点開発責任者):
それは自分にできることだし、そうやってプライベートを尊重してもらえるというのは、すごく嬉しいですね。
山﨑(代表取締役社長):
きっとそうじゃないと、会社が長続きしないと思う。
会社として、全部の拠点の全部の社員に、できる限り長続きしてほしいなと願っています。
僕は、メンバーが家族との時間を大切にすることが、長期的に見て、フラーの魅力が最大限発揮されることに繋がると信じています。
沖縄で拓きたい未来
——沖縄出身者として、今後、沖縄拠点をどのようにしていきたいですか?
伊禮(沖縄出身エンジニア/沖縄地域 拠点開発責任者):
沖縄で案件をいっぱい取って売り上げを、というのは難しいかなと感じています。
個人的には、魅力的な開発拠点であり続けることが大切なのかなと思います。クリエイターにとっての楽園みたいな、そういう環境を作りたいですね。
地元で家族との時間を大切にしたい、でもキャリアや技術を諦めずITの大きな仕事をしたい。そういった人にとって、うってつけの場所にできたらなと。
また、地元・沖縄に選択肢を増やしたいという気持ちもあります。
僕が高専を卒業したとき、自分のやりたいことや妥協できない条件を考えたら、県内にほとんど選択肢はなかった。
結局沖縄を出て、まず自動車関連の会社に就職をしたのですが、……そこで、今でも忘れられないことがありました。
ある日、別の会社の営業さんが、「御社の商品のテストを、うちのテストセンターでやらないか」と提案に来たんです。
そのときにその営業さんが、アピールポイントとして何を上げたかっていうと……「うちは安くできますよ、沖縄にテストセンターがあるので」って。
「沖縄は東京よりも給料が何割も安いから、値段も抑えられるんです」と、沖縄出身の僕に言うんです。それが、ものすごく悔しかった。ちゃんと同じ仕事をしているはずなのに、安く買い叩かれる。沖縄はそういう立ち位置なんだって。
あのときのことは、今でもはっきり思い出せます。本当に悔しかった。
だから、フラーで社長がはっきり「場所で格差をつけない」と言ってくれて、とても嬉しかったですね。
正直沖縄では、地元に就職するためいくつかのことは妥協した、という人が多いと思います。そこを少しでも、フラーが沖縄にオフィスを構えることで変えていけたらなと。
山﨑(代表取締役社長):
ゆくゆくは沖縄の各大学や沖縄高専の学生さんを新卒で雇うことも、もちろん考えています。
実際、たとえば新潟では、県内にある長岡技術科学大学から新卒でフラーに入って、今しっかり活躍してくれているエンジニアもいますし。
だから沖縄でも、フラーが、「地元に残りたいけど、技術を活かして最先端のものづくりがしたい」と願う人たちの受け皿になれたらと思います。
伊禮(沖縄出身エンジニア/沖縄地域 拠点開発責任者):
そういう点も、地元民としては嬉しいです。
また、僕のような沖縄出身者はもちろん、沖縄以外からIターンしてくれる人たちもしっかり馴染めて楽しめるような、居心地の良い拠点を作っていきたいなと思っています。
山﨑(代表取締役社長):
これから、伊禮がこの場所ならではの文化を創っていってくれることを楽しみにしています。
そういう意味では、伊禮に次ぐ二人目のメンバーはすごく重要なのかなと。
能力的なことというより、どれだけ一人目の伊禮と打ち解けられるか、一緒に楽しめるかということが大切です。
その人と伊禮で、フラー沖縄拠点の文化を作ることになります。一から文化を作ることを楽しめる人に、ぜひお願いしたいですね。
現状、沖縄拠点の開発を焦るつもりはありません。新潟には出身者が複数いましたが、沖縄はまだ伊禮しかいない。その分、新潟より時間がかかって当然です。
無理せず、少しずつ丁寧に進んでいけたらなと思います。
(なお、インタビューと写真撮影は、「Brother’s house 弟の家」様にて行いました)
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(インタビュー:坂詰、文章:平山、写真:坂本)