見出し画像

「モノ」のデザインから「組織」のデザインへ。プレイングマネージャーから完全なマネジメント職への移行を決めた、フラーのデザイナーの決意と挑戦

「組織をデザインするデザイナーになります」

10月からデザイングループ統括マネージャーになった古賀さんは、自身の役割をそう説明していました。それを聞いて感じたのは、“デザイン”という言葉の幅広さと奥深さ。

目に見えるグラフィックだけではなく、思考や組織、成長曲線など目に見えないこともデザインとして捉える姿勢は、フラーのデザイナーが理想とする「幅広く統合的にデザインをしていくデザイナー」にもつながります。

今回はそんな古賀さんに、統括マネージャーとしての決意や思いを寄稿してもらいました。

ここからは書き手を古賀さんにバトンタッチします。

こんにちは。古賀と申します。
現在、フラーでデザイングループの統括マネージャーをしています。

少し前までは「デザインマネージャー」をしていました。
この度「デザインマネージャー」から「統括マネージャー」になったのですが、そんな今、このタイミングだからこそ言葉にできることがあるのではないか、と思い立ち、筆をとらせていただきました。

少し個人的な話が多くなるのですが、ぜひ最後までおつきあいいただけたら嬉しいです。


自分にできることはなんでもやる、つくれるものはなんでもつくる、をしてきたこれまでのキャリア

まずは、わたしがこれまでどんなキャリアを歩んできたのか、簡単にお話しさせていただきます。

わたしは、大学ではデザインとは全く関係のない分野を専攻していました。
大学4年生の就職活動中に、ふとしたきっかけでデザイナーになることを思い立ち、専門学校でグラフィックデザインを勉強したのち、紆余曲折あってwebデザイナーとしてキャリアをスタートしました。

そこから、webサイトやLPのデザイン・コーディングをメインとしつつ、バナー、チラシやポスターなどの紙モノやグッズ類など、様々なものをデザインしてきました。

しばらくしてから、転職をきっかけにUI/UXデザインと呼ばれる領域にも足を踏み入れることになり、そこを主戦場としたキャリアを築いていくようになります。

特にUIデザインの領域は自分の性格や思考にとてもマッチしている感覚がありましたが、それだけに特化したいかというとそこまででもない、という感覚を持っていました。

「デザインがしたい」というよりは、「いいものをつくるための手段」としてデザインを捉えていて、つくれるものはなんでもつくる、むしろ「デザイン」以外にもできることがあるならなんでもやる、というスタンスでキャリアを積み上げてきました。

そんな中、2021年6月にフラー株式会社へ入社します。

入社当時、デザイナーは十数名在籍していましたが、まだ社内に「デザイン組織」は存在していませんでした。
エンジニアとごちゃ混ぜの組織に所属する形で、当時のわたしの上司もエンジニアさんでした。

そこから、デザイナーとして、たくさんのプロジェクトに携わらせていただきます。
エンジニアやディレクターという他の職種の方々と、「本当にいいものをつくる」ために奮闘する日々はとても濃く、デザイナーとして向き合いたいものにとことん向き合える環境の中で、刺激的で充実した日々を送っていました。

また、主戦場であるUIデザインの領域だけではなく、より上流の部分であったり、そのサービスを世に届けるためのプロモーションの部分であったり、フラーに入ってからも、本当に幅広く様々なものをデザインしてきました。

「フラーデザイン」始動、プレイングマネージャーへ

2022年、デジタル領域に特化したデザイン組織「フラーデザイン」が立ち上がりました。

その経緯についてのCDO櫻井さんの記事はこちらです。

それまでデザイナーは週に一回の「デザイン会」などでの関わりはありましたが、基本はそれぞれがそれぞれのプロジェクトで仕事をする形だったので、そこまで横のつながりは強くはない状態でした。
このデザイン組織の立ち上げにより、「デザインマネージャー」というポジションが新たに生まれ、デザイナーとしてのスキルアップや、よりデザインのプロフェッショナル性を高めるための動きにも注力できる体制になりました。

フラーデザイン発足当初は1メンバーだったわたしですが、2022年9月にデザインマネージャーに加わることになります。

わたしは、もとからマネジメント側に行きたいとはっきり思い描いていたかでいうと、実はそういうわけではなかったのです。
まだまだ自分のスキルも伸ばしたい、できることも増やしたい、という思いも持っていました。

ただ、デザイン組織ができて、デザインマネージャーの皆さんが、組織をよりよくするために、よりいいものをつくれるようにするために尽力してくださっている様子を見ていて、「あーわたしがやりたいのはこういうことかもしれない」とぼんやり考え始めていました。

もともと、「1人ではできないものづくりがしたい」という思いがあって、フリーランス等ではなく組織の中でデザイナーをすることを選んでいましたし、嬉しいことにフラーにはデザイナーがたくさんいる。
エンジニアさんやディレクターさんといった、他の職種の皆さんともフラットに意見を言い合え、いいものをつくることに向き合える環境がある。

そんなフラーデザインだからこそ、できるデザインが、つくれるものが、あるんだろうなとわくわくしていました。
フラーデザインが発展していくために、もし自分にもできることがあるならやってみたい、とも考え始めていました。

そんな時にお声かけいただき、デザインマネージャーになった、という形でした。

フラーのデザインマネージャーは、手を動かし続けることをとても大切にしています。
そのため、「まだまだ自分のスキルも伸ばしたい」という思いも大切にしたまま、マネジメント側にも足を踏み入れることができました。

そのあたりについてのCDO櫻井さんの考えがまとまっている記事もありますので、ぜひご覧ください。

そこから、いわゆる「プレイングマネージャー」として、プロジェクトでもがっつり手を動かし続けながら、マネジメント業務をおこなってきました。
マネジメント業務の具体的な内訳は、メンバーのメンタリングや勤怠管理、教育や品質管理(デザインレビュー)、リソースやアサイン管理、採用活動・広報活動、デザイングループの運営に関する諸々など…本当に多岐にわたります。

それらを、CDO櫻井さんを中心として4〜5名のデザインマネージャーで分担する体制でした。

マネジメント業務として、デザインレビューを行うことも多くなり、これまで以上にたくさんのプロジェクトやたくさんの人と関わるようになりました。
それを通して、自分の中でも言語化力が磨かれたり、デザインや考え方の引き出しが増えていったり、ということも実感しました。

もちろんプレイヤーとしてもプロジェクトの中心メンバーとして動きながらなので、とても忙しい日々でしたが、プレイヤーとして、だけでは決して得られなかった視点や感覚を、確実に得ることができたと思っています。

デザイン組織の急激な拡大。今後も「いいものをつくり続けられる」組織にするため、マネジメント一本の道へ

フラーでは、2023年から新卒採用を本格化し、デザイングループにも、2023年には6名、2024年には7名の新卒メンバーが入社してくださいました。

デザイングループ全体としては現在、40名規模の組織となっています。

デザイナーが増えることは、つくれるもの・できるプロジェクトが増えることにもつながりますが、そのために、教育・育成だったり、品質維持のための仕組みの整備だったりも必要となります。

デザインマネージャーも正直、みる人数やみるプロジェクト数に限界が来始めていることを感じていました。

プレイヤーとしてのプロジェクトでのパフォーマンスも重要ながらも、より「組織を見ること」に重心をおく人が必要になっているな、と思い始めます。
そして、わたしは2024年10月に「統括マネージャー」となり、マネジメント一本でいく道を進むことになりました。

実は、デザインマネージャーになってから1年経ったくらいから、自分がマネジメント業務で発揮できるパフォーマンスが、想像していたよりも大きいのかもしれない、ということを実感し始めていました。

前述した通り、わたしは「自分が何かをつくり出したい」という気持ちよりも、「できることはなんでもやりたい」というスタンスです。
また、自分が「ものごとがうまくまわっている状態」へのこだわりが強いことにも気がつきました。

プロジェクトでも、各職種がそれぞれのパフォーマンスを一番発揮できるよう、丁寧なコミュニケーションは怠るべきではないと思っていましたし、
デザイングループでも、メンバーがそれぞれのプロジェクトでパフォーマンスを発揮しやすいようにアサインやリソースの調整をすることに、とてもやりがいを感じていました。

そして、マネージャーとして、ものごとがうまくまわるように仕組みなどを検討したり調整したりする上で、デザイナーとしてプロダクトに向き合っている時と同じような思考をしていることにも気がつきました。

ユーザーのこと、クライアントさんのこと、ビジネスのこと、技術のこと、様々な観点を大切にしながら、いい体験を、いいものをつくろうとするのがデザイナーの仕事だとすると、組織の中や外のいろいろな立場の人のこと、デザイングループ単体のこと、他グループのこと、会社のこと、様々な観点を大切にしながら、いい仕組みを、いい組織をつくろうとしているのが今のわたしです。

つまり、デザインする対象が「モノ」から「組織や仕組み」になりました。

デザイナーがキャリアを考える時に、多くの方はプレイヤーであり続けたい、と考えると思いますし、わたしもそうでした。

プロジェクトで手を動かし続けることも、マネジメントをやりながら視座が1段階上がった立場で手を動かし続けることも、とても楽しかったですし、やりがいがありました。

ただ、やはり1人でつくれるものには限界があります。そして、フラーデザインは、そしてフラーは、1人ではつくれないような、いいものを、みんなでつくれる組織だと思っています。

だからこそ、その組織を健全に拡大させていきたい。
そうすることで、より世の中にいいものをたくさん生み出し続けられる組織であってほしい。

そんな思いで、わたしは、その「組織」の方をデザインしていく道を選びました。

もちろん、デザイナーの目指す先は、手を動かし続ける人であるべきだとわたしは今でも思っています。だからこそ、フラーデザインを、マネージャーも伸び伸びと手を動かし続けられる組織にするために、わたしがそれをつくっていこう、と思いました。

人の思考や行動、感情にひたすらに向き合い、考えて、想像し、形にしてみることができるのは、デザイナーとしての強みだと思っています。
今度はそれを、組織のデザインに活かしていきます。

これからの決意と挑戦

統括マネージャーになった時に決意したことがいくつかあるのですが、その中で2つ取り上げます。

①仕組み化・ルール化を推進し脱属人化を目指す
②1人ひとりが「自ら成長する力」を発揮できる組織にする

1つ目は、組織が大きくなっていくと必ずぶつかる壁の一つなのではないかなと思っている、「属人化」からの脱却。
業務の手順をドキュメント化することに始まり、曖昧だったルールを明文化するなど、こつこつと地道に進めているところもありますし、そもそも足りていない仕組みを整えようとしていることもあります。
こちらは根気強く、たまに大胆に、試み続けていこうと思います。

2つ目について、
そもそもデザイナーが成長していくには、「成長できる環境」と「自ら成長する力」の掛け合わせが重要だと考えています。

「成長できる環境」の整備には、フラーデザインが立ち上がって以降、かなり力を入れてきました。
新卒研修の充実、デザイン会などの再設計、デザインレビュー体制の構築などなど…

詳しくはこちらの記事もご覧ください。

ただ、いくら成長できる環境だけあっても、自ら成長する力を発揮せず、「ここで成長させてもらおう」という受け身の姿勢でいては、成長の速度も遅くなりますし、その成長にはいつか限界が来ます。

もちろん今のフラーデザイナーの皆さんがそうだというわけではないのですが、やはり、人間、なんでも与えられるとそれに甘えてしまうものだと思います。

だからこそ、これからはもっと1人ひとりの「自ら成長する力」を引き出していきたい。
1から100まですべてをこちらが準備するのではなく、目指すべき場所や指針を適切に言語化し、自らそこに向かえるようにする。
最初の走り出しはサポートしますが、あとは自ら成長の軌道に乗れるようにする。

そんな意識で、仕組みや体制を設計していこうと思っています。

今はまだ少し抽象的なお話ですが、具体的な仕組みなどが実現できてきたら、またぜひお話しさせてください。

上記の他にもある、実はひっそりと決意したことも含め、これらの決意を胸に、これからのフラーデザイン、そしてフラーの発展のため、また、どんなに人数が増えてもいいものをつくり続けられる組織にするため、尽力していこうと思います。

フラーデザインだからつくれる、フラーだからつくれる、そんないいものを、つくっていきたい、そのための組織を、つくっていきたいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

フラーのデザイナーのみなさん

まとめ

古賀さん、ありがとうございました!

フラーのデザイングループはより良い組織になるように、よりよいものづくりができるようにどんどんと進化を続けていきます。

その様子や思いなどは、これからもこの『フラーのデジタルノート』でお伝えしますので、ぜひ引き続きご注目ください。

フラーやフラーのデザイナー・事業にご興味お持ちいただけましたら、お気軽にご連絡ください。


この記事が参加している募集

最後までお読みいただきまして、ありがとうございます!もっと詳しくフラーを知ってみませんか?