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U-NEXT×フラー『クロスエンタメ戦略 ~コロナで加速するコンテンツ消費のデジタル化~』イベントレポート(前編)

スマートフォン(スマホ)アプリ分析サービス「App Ape(アップ・エイプ)」を手がけるフラーは、2021年5月26日、見放題作品数No.1の定額制動画配信サービス「U-NEXT」を運営する株式会社U-NEXTより、VP of Buisiness Developmentの柿元崇利様をゲストに迎えた、特別セミナーをオンラインにて開催いたしました。

エンターテイメント業界のDXやクロスエンタメ戦略などについて、様々な知見が語られた本イベント。そのレポートを、前後編にお分けしてお届けします。

*後編はこちら

特に、
・メディア業界関係者
・エンターテイメントのデジタル化に関心がある方
・エンターテイメント領域で事業をご検討中の方
・OTT*、SVOD*市場に興味がある方
*Over The Top:オンラインストリーミングサービス
*Subscription Video on Demand:定額制動画配信

以上の皆様には、必見の内容となっております。ぜひご覧ください。

今回の前編では、現在の「エンターテイメント業界のDX」について、U-NEXTの基本戦略も踏まえながらご紹介いたします。

U-NEXTの基本戦略

フラー 島田:
では、U-NEXT クロスエンタメ戦略ということで、今回株式会社U-NEXTより柿元様をお呼びして、ウェビナーを開催させていただきます。

簡単に、自己紹介から。私は島田伊吹と申しまして、フラー株式会社のビジネスディベロップメントユニットのマネージャーをしております。
また、いちユーザーとしてU-NEXTさんのファンで、いつも使わせていただいております。

私たちフラーの運営するApp Apeは、「どのアプリがいつ・誰に・どのくらい使われているか」をリアルタイムに調べることができる、SaaS型のツールになります。現在、国内外でおよそ5000社以上にお使いいただいています。

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今回はこのApp Apeで得たデータを基にして、市場におけるエンターテイメントのDXやU-NEXTさんのクロスエンタメ戦略について、柿元さんと一緒に見ていきたいと思います。

U-NEXT 柿元様:
島田さん、ありがとうございます。では私の方からも、簡単な自己紹介と、U-NEXTについてのご説明を。

私は柿元崇利と言いまして、事業企画担当部長として、いわゆるビジネス開発的なお仕事を幅広く担当しています。また、今日のイベントとは関連がない部分ではありますが、採用の仕事もしております。

それから、会社としての活動と個人としての活動の中間にはなりますが、「動画配信サービスという市場について、その面白みを伝えてみたい」と思い、noteも書いています。

日本の定額制動画配信サービスを徹底的に解説するマガジン
https://note.com/takakimoto/m/m6b5096c6cd57

では、U-NEXTの特徴についてご説明いたします。
今日はクロスエンタメ戦略ということで、「U-NEXTのクロスエンタメ、あるいはオールインワンエンタメとは何か」というような話をいたします。そこで、まずその前提となる、U-NEXTは今現在何をしていてどのような状態かというのをお伝えしたいなと。

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まず、月額のプランを持っているというのが大きな特徴で、1990円+税です。映像が見放題となり、今日のテーマにも密接に関わりますが、さらにそこに雑誌読み放題がバンドルされています。

そして、ここにプラスして1200円分のポイントも毎月付与いたしております。
1200ポイント=1200円分なので、見放題という棚に入ってこない最新のビデオ・映画などなどのレンタルですとか、あるいは電子書籍という形でコミック、書籍等をご購入いただくためのお金として使えます。
また、ユニークですねと言われることも多いのですが、このポイントは映画館でのチケット割引にもご利用いただけます。

特徴として「圧倒的な品揃え」を標榜しております。

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U-NEXT以外にもいろんな動画見放題サービスがある中で、U-NEXTでは特に映画・アニメ・韓流ドラマについて、たくさん数を積んでいます。とにかく作品数をたくさん置くよ、という点にこだわりを持ち続けてやってきたような会社ですね。

さらに、これもなかなかユニークなところですが、業界用語でいうTVODとSVODについてハイブリッドとしています。

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TVOD(Transactional Video On Demand)は、要は都度課金型、お金を追加で払って視聴可能になる形態です。PPV(ペイパービュー)と言われることもあります。
我々はそこにSVOD(Subscription Video on Demand)、いわゆる見放題をプラス。このようにハイブリッドで扱うようにしています。

いろいろな考え方がある中で、「全部見放題になってくれたらいいじゃないか」という意見があること、特にユーザー目線ではそれが根強いことは重々承知しています。私も、いちユーザーとしてはもちろんそうだと思います。
ただ、いわゆるウインドウという考え方の中で、IPの収益を最大化することを考えたときに、例えば映画であれば、
『最初のお客さんに劇場という一番いい環境で届け、そこで収益化し、それをDVD・Blu-ray化あるいはその電子的な手段であるTVODにパッケージしてマネタイズし、その後にSVOD見放題という形で解禁』
という流れが、一つの黄金パターンとしてこの業界では確立されています。

我々としては、なるべく早くお客さんに映像作品を届けたいよというところで、このTVODを積極的に利用しています。

また、先ほども少しお伝えしました通り、大手のシネコンさんとポイントを連携する形で、かなり強力にマーケティング上の連携を図っております。

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ユニークですねと内外に評価されることが多い……特に、海外の方々にはびっくりされることが多いところです。

直感的には映画と動画配信サービスは敵対的な関係にあると言いますか、「映画館で見れるようなものが配信で観れるんだったら、映画館に行く意味はないじゃないのか」と言われることもあります。ただ、一方で私達はちょっと違った考え方を持っているんです。

やはり映画は映画館で見てもらうことが体験上として一番いいですし、映画でヒットすることで、話題が強くなります。そしてそれが配信開始されたときに、U-NEXTをはじめとする配信サービスで見たいよね、となる。
これは疑いようのない事実で、むしろそれがあるべき姿だと考えているので、そこは我々としては大事に大事に考えて、映画館と一緒にこの世界を業界を盛り上げたいという思いを持ってやっています。

リモコンについてもご紹介すると、ちょうど5月25日ですね、最後の国内大手メーカーさんとの提携の詳細が発表となり、これにより国内の主要メーカー全てのテレビリモコンに、U-NEXTのボタンを設置できました。

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これも非常に重要なマーケティング施策として考えています。

他の、より今日のテーマと密接に絡んでくる特徴としては、ビデオとブックを一つのアプリに混ぜ込んでみましたということ。

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これは当然、実際に構想してから実装するまでは、やるべきやらないべき、やるとしても別の形にすべきということも含め、かなりの議論がありました。結果としてこの形に落ち着いたわけなのですが、一見、トレンドには完全に逆行しています。
アプリケーションはやっぱりシングルタスクで、なるべく細分化された特定の用途に応じて作り込むことが王道であったし、今でも王道です。

ですが、これはそこをあえて、あくまで「エンターテイメントをデジタル的に配信する」ことを本流と捉え、その範囲の中で一つのアプリにしてしまおうという試みです。

現状63万冊の漫画・小説・ライトノベルがあります。
映像から漫画原作、漫画原作から映像と、アプリの中でシームレスに画面遷移一本で繋がることができるか、それを楽しめる状態になっているか。そこに非常にこだわってプロダクトを開発しております。

雑誌の本数も、実は日々増やしています。

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50誌だった時期が長いのですが、現在は100誌を超えて、読み放題として配信しています。
なので、月額1990円+税金というのはなかなか高いと当然感じられる方も多いですし、実際そのような声は多いんですけど、我々としてはこういった付加価値をたくさん組み合わせることによって、金額分の価値はありませんか、というご提案を続けています。

自己紹介の最後に、ちょっと知られていないところまでお伝えしてみたいなと思います。
我々としては、毎月2000円という金額のこの映像配信のサブスクリプションに、なるべくたくさんの方々に加入していただきたいという思いがあるので、電子書籍の売り上げの大半は、購入者の方々に還元してしまおうという考え方を持っています。

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なので今、1万円を超えた金額を購入すると、その40%分が後々に返ってくる形になっています。漫画にも小説にも動画のTVODにも適用されます。
これはなかなかまだ知られていないんですが、もっと知ってもらえると嬉しいなという思いをこめて、ご説明いたしました。
以上が、私どもの紹介です。

フラー 島田:
ありがとうございます。
最後のページのところ、私も柿元さんから私の話を聞いて、漫画を2万円分購入いたしました。ありがとうございます。
これ、本当に40%返ってくるってすごいですよね。

U-NEXT 柿元様:
私もこの話を最初聞いたときは、ちょっと大丈夫ですかって流石に思いましたけど……本当にやっちゃいましたね。

フラー 島田:
本当にすごいと思いますし、いちユーザーとして嬉しいと感じます。
また、機能のことについてお伺いしているだけで、もうクロスエンタメ戦略についていろいろ見えてきますね。

エンターテイメント業界のDX

フラー 島田:
さて今回、App Apeより4大エンターテイメント領域である「動画・漫画・音楽・ゲーム」についてのデータをお持ちしております。
まず前提として、スマートフォンアプリは近年、エンターテイメントをDX化した新たなプラットフォームとして急成長したかなと思います。

動画・漫画・音楽・ゲームが従来のハードウェアから離れてきています。
例えば、僕の時代だとゲームではカセットを買ってきてゲーム機に入れてプレイしていましたし、漫画と週刊誌なら実際に本を買ってきて読んでいました。音楽や映画も、CDやDVDを借りてきたり買っていましたね。
つまり、とにかく全部自分の手元にモノとして持ってきてコンテンツを消費するというような流れでした。
それが今は、すべてがアプリという形になって、スマートフォンという一つの機械、一つのハードデバイスに集約されているかなと思います。

そんな形であらゆるエンタメコンテンツが一つのデバイスの中に入ったとき、「ユーザーの時間を食い合いやすくなっているのでは?」というのは、考えられることかなと思います。
僕自身も、漫画を読んでいるときに動画を見よう、音楽を聴きながらゲームをしようのような、ながら見をしています。

このようなながら見も含めた、「可処分時間の食い合いは実際に起きているのか」「ユーザーはどのようにエンタメを消費しているのか」について、データを見ていきたいと思います。
グラフをご用意してあります。

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左端が、コミック系アプリのみを起動しているユーザーの『アプリ月あたり平均利用時間』。以降、コミック・ビデオの2つ、コミック・ビデオ・ミュージックの3つ、コミック・ビデオ・ミュージック・ゲームの4つのアプリを、それぞれ同時に起動しているユーザーの『アプリ月あたり平均利用時間』が右に続いています。
併用するアプリが増えていく形で、右に向かって棒グラフが並んでいます。

このデータを見ていただくと、コミック単独からコミック・ビデオ併用になると、利用時間が増えています。つまり、食い合いが予想されましたが、実際には、エンタメアプリの併用が増えていくごとに、どんどんエンタメの総利用時間も増えていることがわかります。
青色で示したコミックはそのまま、併用が起きても維持されています。緑色のビデオは露骨に増加している形です。

ちなみに、こちらでエンタメ以外、その他アプリの起動時間も増えている点については、単純にコミックだけを使っている人よりもコミック・ビデオ・ミュージック・ゲームを使っている人の方がスマートフォンを起動している時間が長いので、そちらの時間も長く見えていく形になっています。

こちらですね、柿元さん、僕も併用で食い合いがあるのかなと思ったら、そうでもないようなデータが出ていまして、いかがでしょうか?

U-NEXT 柿元様:
はい、若干意外性はありましたが、しかしU-NEXTとしてはこの方向性を考えていたので、ある意味後付けでポジティブなデータを得られた形になります。そういう意味では本当に嬉しいですね。

確かに、私自身に照らし合わせたときにも、映像を集中して見ている時間とスマホで漫画を読む時間は、食い合いません。
夜中ちょっと疲れていて、横になりながら楽しみたいなというときは、大抵の場合スマホで漫画見ています。一方で映像を見たいときというのは、それよりはもう少し頭が回った状態で、体をソファーなどに預けながら……業界用語でいうリーンバックですね、そうやってリラックスして見るみたいな。

そういった行動様式は、自分にも自分の周りの人にも認められるので、データの上でもそれが確認できるというのは新鮮ですよね。
このデータは、App Apeさんで行動データを基にして作られたということですよね?

フラー 島田:
そうです。もう少し詳細に、内訳の実際の数字を出してみました。

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それぞれの数字は、アプリの『月当たり平均利用時間』になっています。コミックだけの場合、平均で月で504分使われているというデータですね。
併用になっていくと、ビデオは最終的に約2倍ほどになっています。

U-NEXT 柿元様:
ジャンル超えてエンタメにお金・時間を投資する人は、その分だけ、たくさん時間を使ってるってことですね。

フラー 島田:
ですね。なお、ゲームがすごく大きいことも注目のポイントになるのかなと思います。

U-NEXT 柿元様:
私もゲーマーなので、そうだよなあなんて思います(笑)

フラー 島田:
エンタメの中での、ゲームの力強さがわかるデータとも言えるかなと思います。

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後編に続きます)


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