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U-NEXT×フラー『クロスエンタメ戦略 ~コロナで加速するコンテンツ消費のデジタル化~』イベントレポート(後編)

スマートフォン(スマホ)アプリ分析サービス「App Ape(アップ・エイプ)」を手がけるフラーは、2021年5月26日、見放題作品数No.1の定額制動画配信サービス「U-NEXT」を運営する株式会社U-NEXTより、VP of Buisiness Developmentの柿元崇利様をゲストに迎えた、特別セミナーをオンラインにて開催いたしました。

エンターテイメント業界のDXやクロスエンタメ戦略などについて、様々な知見が語られた本イベント。そのレポートを、前後編にお分けしてお届けします。

特に、
・メディア業界関係者
・エンターテイメントのデジタル化に関心がある方
・エンターテイメント領域で事業をご検討中の方
・OTT*、SVOD*市場に興味がある方
*Over The Top:オンラインストリーミングサービス
*Subscription Video on Demand:定額制動画配信

以上の皆様には、必見の内容となっております。ぜひご覧ください。

(「エンターテイメント業界のDX」についてご紹介した前編はこちら)

データで見るU-NEXTクロスエンタメ戦略

フラー 島田:
では続いて、エンタメ全体からグッと一つのカテゴリーに入りまして、VOD市場のデータを見ていきたいと思います。こちらですね。

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過去をラップアップするようなデータになります。
2020年1月から2021年4月直近までの、Netflix・Amazon Prime Video・U-NEXT・Hulu、この四つのサービスの『マンスリーアクティブユーザー』の合算値、その推移を表示しています。

2020年1月のデータと2021年1月のデータを比較すると、1年間で約1.7倍に膨れています。去年は非常に忙しい年だったというか、大きく伸びた時期であると言えるのかなと思います。
柿元さん、肌感としていかがですか?

U-NEXT 柿元様:
そうですね、マスメディアを中心に「巣ごもり需要」という言葉も使われました通り、U-NEXTの有料契約者数の推移と照らし合わせても、意外感はありません。
やはり、家で過ごす時間が長くなり、そこで時間を消費する際に、エンターテイメントの選択肢として動画配信がかなり選ばれるようになってきたのかなという実感はありますね。
なので、VOD市場全体でMAUがここまで増えてますよというのも、確かにそうだろうなという感覚ですね。

フラー 島田:
ありがとうございます。

一方で、2020年1月のデータからのみお出ししている先ほどのグラフからは読み解けないところではあるのですが、このVOD市場が大きくなっている流れ自体は元々あって、それがコロナで一気に爆発したのかなと思っていますが、いかがですか?

U-NEXT 柿元様:
確かにそれはそうだと思いますね。10年ほど前から調査会社さんなどがデータも出されていますけど、一貫して右肩上がりなのは事実です。
ただ、やっぱり割合で言うと、昨年対比10%増とか、多くても20%台のようなところが大半でした。1.7倍という数字は本当に異常な成長といいますか……特別な伸びだという感じですね。

フラー 島田:
なるほど、ありがとうございます。

では、その1.7倍に伸びた中で、アプリ間はそれぞれどうなっているのか見ていきたいなと思います。

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こちらは、4社のVODアプリのデータです。VODアプリの中で、一番利用率の高いサービスはどれなんだろうという基準でグラフにまとめました。

アプリを所持している全員で100%とした場合に、その月にアプリを1回でも開いた人を『アクティブユーザー』と定義、その月に1回も開いてない人を『休眠ユーザー』と定義し、それぞれの割合をグラフに示しています。
なので、Amazon Prime Videoの49%は、その月に1回以上起動したユーザーが49%いるというようなデータです。

こちらのデータで見たとき、50%を超えるのはU-NEXTとHuluです。
平均すると50%いかないぐらいがVODアプリのアクティブ率になりますが、そもそも、それはゲームなどと比較するとかなり高い数値になります。ゲームでは概ね、月間アクティブ率はだいたい30%ほどです。ただ、逆に漫画ではもっと高いので、ちょうどその間ぐらいにあるのかなと思います。
そんな中でこの4社を比較したときに、U-NEXTとHuluさんは非常に高いと言えるのですが、U-NEXTさんとしては、何か理由などは?

U-NEXT 柿元様:
今回のセミナー、私が呼ばれてるのでちょっと細工したりとかそういうことはないですよね?(笑)

フラー 島田:
ないですないです(笑)同じデータはどこでもお出ししています!

U-NEXT 柿元様:
やっぱり、最初に見た感想としては、若干意外感というか……「嬉しいけど本当ですか?」みたいな気持ちがちょっとありますね。

高さの理由について、今までに得た情報の範囲内での私の推測にはなりますが、先ほど島田さんがおっしゃった「VOD起動率は漫画アプリとゲームアプリの中間」という話があるかなと。
つまり、U-NEXTが他のサービスと大きく違う点としてはやはり、動画配信アプリの中に書籍系サービスがバンドルされてることが、要素としておそらく無視できないかなと。
映像配信としてのU-NEXTにプラスアルファで、漫画を読むというモチベーションが加わわって起動率にポジティブな影響を与えてることが、可能性としてはあるのかもしれないなと思います。

ただ、それがどれくらいの影響力なのかは現時点では計れないですし、それを抜きに映像配信単体で見たときにも、もしかしたら何かしら起動率が高い要因があるのかもしれないなとも思います。
感想レベルで恐縮なんですが、そんな印象を受けました。

フラー 島田:
ありがとうございます。

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では、続いてこちらのですね、より詳しい、アクティブユーザーのタイプ別データを見てみます。月に1回以上開くというアクティブユーザーが、さらにその中でライトユーザーなのかミドルユーザーなのかヘビーユーザーなのかというようなデータです。
30日中、ライトは月に1日から9日間、ミドルが10から19日間、ヘビーが20日以上、それぞれ起動するユーザーです。

こちらのデータを見たときに非常に驚いたのが、U-NEXTさんでは、ミドル・ヘビーユーザー層で全体の15%を占めること。
こちら、柿元さんどう読まれますか?

U-NEXT 柿元様:
これもあれですよね? 捏造はしてない……?

フラー 島田:
してないですね(笑)

U-NEXT 柿元様:
(笑)
そうですね、より頻繁にアクセスするモチベーションといいますか、動機があるケースの方がヘビーユーザーに近くなっていくことを考えると、もしかしたらですが、U-NEXTに多く作品数があるという意味で、韓流とアニメはかなり強い影響があるのかなと。もちろん、掘り下げて調査しないとなんとも言えないところではありますが。

韓流とアニメは、テレビドラマあるいはテレビアニメシリーズとして、1回で長い時間見て完結するというよりは、毎週更新されたときに見る・継続して見ていきたいというモチベーションが強いものです。
それが結果に影響している可能性は十分にあるのかなと。

フラー 島田:
ありがとうございます、非常に面白いですね。あと僕が思っているのは、少し会費が高いので……。

U-NEXT 柿元様:
あー、はい(笑) 確かにそれはあり得ますよね。元取らないと、っていう気持ちはある気がします。

フラー 島田:
はい、非常に興味深いですね。

さて、モチベーションという観点では、次のデータも面白いかもしれないですね。

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こちらのデータでは先ほどと同じ四つのVODアプリを持ってきていまして、それぞれの『月当たりの平均起動時間』を示しています。

こちらのデータで見ていただくと、200分を超えているのはNetflixとU-NEXT。Amazon Prime Video・Huluとの差で言うと、約60分ついている形です。
60分はかなり大きいなと思っておりますが、この差はどういう要因が考えられるでしょうか。
ぱっと見たときに、先ほどの話にもあった会費のこと、つまりNetflix・U-NEXTが少し高めなのでユーザーのモチベーションが高いのかなと、僕としてはそんな仮説を立てたのですが。

U-NEXT 柿元様:
話として、起動時間が長いということは、さっきの頻度ともちょっと関連するところですよね。

フラー 島田:
はい。
韓流の話もあるんでしょうか? やはり韓流は長さが特徴だそうで。

U-NEXT 柿元様:
そうですね。ジャンル別に視聴時間を区切ってみると、韓流は本当にとても長いんですよね。
この業界で、1ヶ月にどれくらいの時間使ってもらえたらユーザー定着するのかを考えるときに、「1ヶ月に20時間ぐらい映像をちゃんと見てくれている人は継続するよね」という説があります。もちろん、プラットフォームの性質や料金形態など、いろいろな要素が絡むので、まことしやかに言われてる数字くらいのイメージですが。

その数字を一つの指標としたとき、韓流の一般的な平均的なユーザーの人たちって、その倍以上の時間を視聴されたりするんですよ。
なので、U-NEXTに韓流のユーザーが多い、実数としても割合としても一定数あることは、起動時間の長さという観点には影響するところがあるんじゃないかなとは思いましたね。

フラー 島田:
なるほどなるほど。ありがとうございます。
……今回ですね、U-NEXTさんのセミナーなので、U-NEXTさんが優位となるテーマでデータをいくつかお持ちしてるところはあるんですが……

U-NEXT 柿元様:
(笑)

フラー 島田:
ただこうしてみると、優位であることの整合性は取れていて、やっぱり理由だったり機能だったりがきちんとある。ここが非常に面白くて、ちゃんとやってることには最後にちゃんと数字が出てくると言いますか、こうしてデータを並べたときに表れてくるんだなあと。

U-NEXT 柿元様:
この結果を受け、後でちょっと確認した方がいいなと思ったのは、起動時間の長さに書籍系サービスのバンドルが寄与している可能性が十分にあるという仮説についてです。
実際に動画系と書籍系でお互いにどれくらい寄与してるのかを、おそらくこれまで細かく見てはいなかったので、ちょっとそこは会社に帰ったときに、データを出してみる意味がありそうだよなと思いました。
ちょうど、今日の『クロスエンタメ』というテーマにも絡む話ですね。

フラー 島田:
なるほど、ありがとうございます。

では、データで見たU-NEXTの特徴という形で、続きまして、柿元さんよりオールインワン・エンターテインメント戦略についてお話をお願いします。

オールインワン・エンターテインメント戦略

U-NEXT 柿元様:
これは最近、表に出すようにし始めた戦略の説明の図です。

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まず、基本戦略として圧倒的なカバレッジがあります。
カバレッジというのは取り扱っているコンテンツの数で、U-NEXTでは動画配信サービスとして映画もアニメもバラエティすべて扱っているし、その本数もとにかく多く、あまりたくさん見られることがないような作品でもしっかりと置いておこうと。それを力強く社内でドライブしてきました。

そしてそこに加えて、オールインワン・エンターテイメント戦略として、映像と書籍以外のものも加えてしまおうという話になります。これを新たな、今後突き詰めていく大きな戦略の一つと置いています。詳しくは、この後ご説明いたします。

ONLY ON戦略に関しては、この後の資料にはないので口頭で簡単に説明すると、「そうは言っても、やっぱりU-NEXTでしか観られないものをしっかりと作っていく」ということです。
競争上の差別化戦略と言いますか、他ではなくU-NEXTに来る理由もやっぱり作っていく必要があるので。

当然これまでもしっかりと持っていた戦略ではあるのですが、改めて名前を付けて、わかりやすい形でお客様含めていろんな方々に知っていただこうと思っています。

では、オールインワン・エンターテイメントの根っこにある考え方についてご説明します。

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具体的な数字は公表差し控えようと思って、こういう概念的なスライドに留めてしまって若干恐縮ではあるんですが……。
映像と書籍を併用いただくことによって、生涯的な顧客価値——Life Time Value、LTVと言われたりもしますが、これを向上させていくと。

当たり前といえば当たり前なんですが、1990円で映像見放題にプラスして書籍も全部読み放題になりますかっていうと、そんな世界はもちろん来ませんし、我々もそんな世界を目指してはいません。書籍を追加でご購入いただくことも必要になります。
そこでARPU、毎月の平均的なユーザーがU-NEXTに対して使っていただけるお金の金額が、書籍の分増えますよねと。

また、この書籍というものを同じサービスの中で取り扱うことによって、ユーザーさんにU-NEXTというサービスを思い出していただける頻度が増え、結果的に継続率も向上していくだろうなと考えています。
そうすると、LTVはARPUと継続率の掛け算なので、ARPUと継続率が増えれば上がっていくと。

例えば極論、1人あたりが3万円お支払いしてくれることが見えるのであれば、……もちろんケースバイケースなのであくまで例ですが、例えば顧客獲得コストに1万円支払ったとしても、3万円回収できるんだったらありですよねという計算が簡単に成り立ちます。
そういう意味で、非常に可能性のある戦略なんじゃないかなというのが、我々が考えている仮説です。
島田さん、こちらについていかがでしょうか?

フラー 島田:
最初の方でおっしゃっていた映画館へのプロモーションって、そういうことなのかなと思いました。映画を観る1回分をタダにしても、後でその分を回収できるんですね。

U-NEXT 柿元様:
はい。
映画館にブースを設営し、スタッフを派遣して、お客さんへ「チケット1800円分のポイントを差し上げます、今から見る映画のチケットが無料になりますよ。U-NEXTを使ってみませんか?」みたいなプロモーションをやっています。シネコンさんとの共同施策です。
これはコストのかかる施策ではありますが、島田さんのおっしゃったように、LTVとの兼ね合いの中で出来上がっています。

フラー 島田:
すごいですよね。LTVがすごく高くなれば、その分お客さんにとってインパクトのあるプロモーションができる。その価値って、とても大きいと思います。
お客さんにとって、映画館に行って実質タダで映画が観られる体験って非常に大きいと思うので、そこの部分はプロモーションとしてもとても面白いなと思いながら見ていました。

U-NEXT 柿元様:
そうですよね、私も入社して知ったんですが、最初に聞いたときはびっくりしましたね。
そんなことできるというか、そんなことを真面目にやれるウェブサービスがあるんだと、かなりショックを受けたことを覚えています。

具体的な施策と方針

U-NEXT 柿元様:
さて、このような中で、さらにこれを突き詰めていこうと。

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今までも、一部で音楽ライブの配信をやってはいました。でも数は非常に限られていたんです。
ところがコロナの影響で興行の開催が困難な状況に陥るなか、音楽に限らず興行系ライブイベント全般を配信でマネタイズしたい、した方がよい、するしかないという話が、急速に立ち上がりました。かなりの突貫工事ではありましたが、僅かな準備期間で大きな音楽コンサートを配信することができました。
これを既存のサービスの中にしっかりと入れ込めたのは、それまでにディスカッションが整備されてきたから、方向性が会社の中で明確だったからこそ起こった出来事だと思います。

スライドでは『ビデオ、ブック、音楽、ライブ』と書いていますが、とにかく、それこそゲーム以外の全てのインターネット上で配信できうるエンターテイメントを、U-NEXTの中に置いておきたいという方向性は、より一層鮮明に打ち出していきたいなと考えてます。

フラー 島田:
ちなみに、無料で事業者さんとライブ配信をご一緒していることって、今もやられてるんですか?

U-NEXT 柿元様:
インフラ系の手数料を一切いただかないで、U-NEXTとしては1円も儲けないような立てつけで配信支援いたしますよ、という施策のことですね。
あれについては、特に最初の緊急事態宣言が出たぐらいのタイミングのことで、今ではもう役割をその数ヶ月で終えたと判断しており、続けてはいません。

続けてはいないんですが、U-NEXTのユーザーインタフェースを見ていただければおわかりかもしれないんですけれど、音楽ライブの配信は我々も非常に積極的に取り組んでいます。
ちょうど今週末も、日比谷音楽祭というとても素敵な音楽イベントを、見放題の金額の中で、追加料金なしでご視聴いただけるということをやろうとしています。
ついでに言うと、これは無料体験中でもご覧いただけるので、ある意味では、U-NEXT初めましての方であれば無料体験で観られる期間中に日比谷音楽祭を楽しんでいただいて、その後満足したからもういいやと思えば解約していただければ、お金は1円もかかりません、というスキームですね。

フラー 島田:
今ちょうど解約の話が出たのですが、U-NEXTさんはカムバックの施策とかもされていますよね。

U-NEXT 柿元様:
そうですね、そのあたりはもう、やれるものはやってみよう精神で。

フラー 島田:
なるほど。音楽のところは、もう本当にこれからのお話でしょうか。

U-NEXT 柿元様:
今あるものも、そしてこれから新規で作っていくものも両方あります。

いわゆる音楽ストリーミングサービスで、国内シェアの大きいところで言うとLINE Music・Apple Music・Spotifyがありますが、それと同等のサービスを入れていこうと。
それがU-NEXTの目指す世界の、次の段階だと考えてます

フラー 島田:
なるほどなるほど。すごくミックスが起きてくる感じなんですね。

U-NEXT 柿元様:
そうですね。
当然、一つのアプリの中でこれだけ混ざってくると、ユーザー体験が変わります。とにかく、ジャンルを超えて横断させていきたいという思いを強く持っていますね。

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スライドでは、例としてドラゴンボールを出しています。ドラゴンボールで検索をすると、アニメのドラゴンボールももちろん出てくるんですが、それと並行して、漫画原作やサウンドトラックなど、全部横断して提案できるようにしていきたいなと考えています。

フラー 島田:
めちゃめちゃ面白いです。漫画原作などは、やっぱり日本はとても多いと思うので。
メディアミックスが一気にU-NEXT内で検索できてくると、ユーザーからすれば、原作まで行くのもすごく容易になりますし、逆に派生したものも見に行けます。それってすごく大きいなと。

U-NEXT 柿元様:
そうですね。やっぱり日本のIPビジネスの形には、もちろん全部じゃないですが、コミックあるいは小説が原作になっていてそれがアニメ化されて、そこからさらにいろんなグッズが出て、IPを全体的に最大化していくという流れが特徴としてあります。これは、諸外国の映像の作り方とも若干違いのあるところです。

なので、IPを持っていらっしゃる方からしてみても、U-NEXTという一つサービスの中で、映像を流してくれ、それに付随する原作コミックや小説、あるいはノベライズ・コミカライズも提案してくれるというのは魅力に映るのではないかなと。
IP全体の売り上げをまるっと伸ばしてくれる、伸ばそうという意図を持っている、そんな風に期待していただき、協業体制を強化していきたいなという思いがあります。

フラー 島田:
非常に良さそうな話に感じます。ドラゴンボールの映像を見た後に、ドラゴンボールの漫画探す人って、もう購買意欲の非常に高い人じゃないかなと。

U-NEXT 柿元様:
そう思っているというか、そういう仮説を立てていますね。本当にそんなふうになったら嬉しいなと思います。

これからのU-NEXT

U-NEXT 柿元様:
さて、音楽配信に関しても、今日分析していただいて得た仮説が正しいのであれば、音楽のストリーミングが新たに乗っかることによってまたU-NEXTの滞在時間も増え、それでいて既存の映像や書籍の時間を必ずしも山ほどは削らないかなと。
それが見えたことは今回、大変心強い調査結果だなと感じています。

さらっとですが、ブックについての説明も。
映像作品の横に置くことと、毎月1200ポイントある意味勝手についてくるポイントを消化しなきゃもったいないというモチベーションをお持ちいただいていることで、ブックの売り上げはかなりのスピードで伸ばせています。

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それから、先ほどからも話していますけれども、とにかく音楽においてはかなり強化していきたいと考えています。

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そうは言っても、ちょうど直近Appleさんがロスレスオーディオと空間オーディオを追加料金なしでやりますと発表されたことについては、「もうちょっと待ってくれたらいいのに……」みたいな思いはなきにしもあらずではあります。いち音楽ファンとしては、特に空間オーディオは本当に最高なので、めちゃくちゃ増えて欲しいなと願ってはいるのですが……。

音楽における今後の展望としては、「ライブ配信も、ライブ映像も、音楽ストリーミングも。」と書いています。グッズ販売はできてない、できないだろうとは思いますが、デジタルで流通できるグッズは置いていけるといいですね。

まとめを言うと、

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まず、ユーザーさんに対して。
一つのアプリの中で映像も書籍も音楽も全部賄える、これを「すごく望ましい」と考える方もいらっしゃれば、「それぞれ専門サービスで使いたいよ」という方もいらっしゃるとは思うのですが、我々としては前者の方々に対して設計をしていきたいという立場です。

次に、IPを持ってらっしゃる方々に対して。
先ほどもちょっとだけお伝えしましたけど、一つのアプリの中で、『メディアミックス展開』と呼ばれるような映像・書籍・音楽・グッズ・プラスアルファが提案できるようになってくると、お客さんの消費を伸ばせるかもしれないと。
気分が高まってる最中に、別のサービスの起動やログインなく、そのままいくつかのステップだけでメディアミックスされたものまでお買い物に行けますので。
そういうところで、権利者の方々には、我々としっかりとパートナーシップを組んでいただければ、たくさん売りたいという気概はありますよと伝えていきたいです。

最後に、U-NEXT視点。「ユニークでここだけにしかない」と書いてある通り、U-NEXTは割と創業も早いですし、動画配信なんて当時誰も考えておらず、そのマネタイズなんてあり得ないぐらいのタイミングからサービススタートしてるところもあって、トレンドを追いかけるというよりは、他の人から見ると「大丈夫か?」っていうアイディアを真面目にやっちゃうところがあります。
そういう意味でも、ここだけにしかない体験を、ちゃんとお客さんに受け入れていただける形で作っていきたい——そう強く思ってる人がたくさんいるかなと。

フラー 島田:
すごく興味深いです、ありがとうございます。本当に、これからがめちゃめちゃ楽しみですね。
……先ほどのデータを出した手前一応確認なんですけど、直近ではミュージックとして、ゲームはないんですよね?

U-NEXT 柿元様:
ゲームは……ないですね(笑)

フラー 島田:
あー(笑)

U-NEXT 柿元様:
私もゲーマーなので、ゲームをやってくれたらいいなと思うことはあります。ただ、ちょっと権利の組み立ての考え方や、デジタル配信するにおける前提条件がかなり違うんですよね。ゲームだけ全然違うんです。

技術スタックとしては、映像も書籍も言ってみれば画像データをものすごい枚数送るというところにありますし、音楽もある意味一緒です。音楽情報が入っている細かいデータをぶつ切りにして、それをストリーミングで絶え間なく送り続けるっていうのが、技術の一番ベーシックなところ。
しかし、ちょっとゲームは違うんですよね。まあ、Microsoftのクラウドゲーミングみたいなものも来ているので、あそこまでいくとちょっと話が変わるんですけど……。

とにかくそういう意味では、少なくもゲームについて直近に何か動きがあるかっていうと、ない可能性が圧倒的に高いなと私は思っています。

フラー 島田:
なるほどなるほど。ありがとうございます。

Q&A

「オリジナル独占コンテンツで差別化する競合が目立ちますが、U-NEXTの戦略としてはクロスエンタメが主軸になるでしょうか?」
U-NEXT 柿元様:
ここに関しては、YESとも言えるし、YESでないところもあると言えます。
戦略のところで、オールインワンエンターテイメント戦略とONLY ON戦略という風にお伝えしたのですが、クロスエンタメ戦略というのは、あくまで我々としてはちょっと軸をずらした戦い方と認識しています。
映像コンテンツであれば、そこにプラスαの付加価値を持たせますよという戦略で、軸をずらした戦い方ではあるかなと。

ただし、やっぱりこれだけでは訴求力としては十分ではないと思います。Content is Kingという言葉もありますが、我々は今までプラットフォーマーとして、プラットフォームを成長させる要因である「キラーコンテンツがそこにある。そして、そこでしか観られない」ことの有用性を、全く否定できません。

それこそ、Netflixしかり、提携させていただいたNetflixの最大のライバルであるHBOしかり、ディズニーしかり、とにかく、IPを持っていてそれが絶対的に人々をたくさん深く引き付けるというのは、もう何よりも強いので。やっぱりそこは捨てることはないですね。
ただ、ファイナンス的なところも含めた、我々の企業体力で戦える戦い方でないと成功しません。そういう考え方でやっていますね。

「HBOは、ONLY ON戦略に具体的にどのような寄与がありましたか?」
U-NEXT 柿元様:
これはわかりやすくて、今、「HBOおよびHBOMaxオリジナルとされる作品は、U-NEXTのみでご覧いただけます」という状態が作れました。やっぱりHBO作品は、ブランドイメージもありますし、見たいという視聴者の数も多いですし、それから、メディアをはじめとした情報を報じる立場にある方々、あるいはインフルエンサーという情報発信力を持っているような方々に、すごく歓迎いただけたなという感触もありました。
そういう意味で、ONLY ON戦略の第1弾としてHBOを出すことができたのは、とてもとてもよかったなと私は思っています。

「顧客事業加速・拡大するにあたり、プロモーションの課題はなんだと考えますか?」
U-NEXT 柿元様:
これはもう本当にケースバイケースではあるとは思いますし、課題を挙げようと思ったらありすぎて……(笑)
ただ、私が考える中で一番の課題はやっぱり、まだまだインターネット配信という手段がマジョリティではないこと。テレビ・新聞・雑誌・本は、それぞれ物理的なメディアが日常の中にあります。
対してスマホやPCは、それが生活の中心になってきたという方がどれくらい居るか。ようやく、ものすごい勢いで増えてきてはいますが、まだまだやっぱり、心の中では全然一番手、二番手には来ないですよね。

そういう意味で、まだまだリーチできてないお客さんが山ほどいらっしゃる。そして、そこに対してリーチするのも大変だし、リーチできた方々が実際にU-NEXTっていうサービスを使っていただけるまでの、ステップの数の多さも問題ですよね。
インターネット契約して、デバイスを買って、サービスにサインアップしてサービスが観られる状況整えて、アプリインストールして……みたいな。
そこが課題だと思いますね。これは本当に、物量で情報だけ与えて後は何とかなるという世界でもないですし、とてもとても課題感は強いですね。

「ゲームなどのアプリにおいて、『このサイト・アプリで登録するとゲーム内マネーがもらえる』というキャンペーンでU-NEXTをよく見かけます。それによる利益はどれくらいを占めているのでしょうか?」
U-NEXT 柿元様:
これは、お金の流れとして言うと実は逆でして、U-NEXTはここから利益は得ていないんです。
いわゆるアフィリエイトプログラムといいますか、インターネット広告の手法で、「サイトやアプリ経由でU-NEXTを登録するとポイントがもらえるよ」という場合、そのポイントの原資は、何らかの形で我々がお支払いしてるということになります。

このようなキャンペーンプロモーションは、日本の市場では、アプリ・サービスのプロモーション手段としての確立されているものの一つですね。

フラー 島田:
いわゆるリワード広告と呼ばれるものですね。

U-NEXT 柿元様:
そうですね。これはそれこそ、App Apeさんたちの方がとても詳しい分野かもしれないですね。

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App Apeについて、ご興味お持ちいただけました方は、ぜひこちらをご覧ください。

U-NEXT様公式コーポレートサイトとnoteはこちら。


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