「コロナ禍による変革で、東京と沖縄の垣根がなくなりました」フラー×D2C dot 沖縄拠点長キャリア対談 前編
新潟と千葉にそれぞれ本社を構えるフラーは、2021年8月、新たに沖縄県へサテライトオフィスを新設しました。
沖縄にIT企業がオフィスを構える意義はどんなところにあるのでしょうか。また、沖縄はIT分野で仕事をしていく場所として、どれだけ可能性があるのでしょうか。
そんな疑問を、フラー沖縄地域拠点の開発責任者に率直に聞いてみました。
また今回の対談には、東京に本社を置きながら2018年10月より沖縄オフィスを運営している株式会社D2C dotの沖縄オフィスマネージャーをお招きしています。
記事は前後編の二本立てとなっており、今回はその前編となります。
⸺簡単に自己紹介をお願いします
伊禮(フラー・沖縄地域拠点開発責任者):
フラーでiOSエンジニア兼沖縄地域拠点の開発責任者をしています、伊禮といいます。
沖縄生まれ沖縄育ち、沖縄高専の卒業生です。高専を卒業した後に沖縄を出て静岡で自動車関係の仕事につき、その後、iOSエンジニアとしてフラーに転職。
そして去年2021年に、サテライトオフィス立ち上げを機に沖縄へUターンしました。
現在、フラー沖縄オフィスは自分を含めてまだ2名。これからどんどん増やしていきたいです。
新城(D2C dot・沖縄オフィスマネージャー):
D2C dot 沖縄オフィスマネージャーの新城です。
出身は沖縄宮古島で、高校の時に沖縄本島へ移りました。
元々はアパレル関係の仕事を10年間ほどやっており、その中でデジタル活用の必要性を感じて、IT業界へ転職してきました。元々はアナログな人間なので、この業界に来てから色々勉強し続けています。
僕の入社は2018年8月で、D2C dotの沖縄オフィス開設は2018年10月。僕も伊禮さんと同じで、たった一人でオフィスを開設しました(笑) それからもう4年が経ちます。
すべてが順調にいったわけではもちろんないのですが、人に恵まれてやってきて、現在沖縄オフィスには20人程度のメンバーがいます。
⸺沖縄出身の方々にとって、「沖縄を出る、沖縄に戻る」ことにはどのような思いがありますか?
伊禮(フラー・沖縄地域拠点開発責任者):
僕は沖縄で生まれ育って、この場所のことが大好きだったので、高専にいた頃から「就職で沖縄を出たとしても、どこかのタイミングで戻ってきてこっちで働きたいな」と思っていました。沖縄の外にも出てみたいけれど、30くらいまでには戻ってきたいなと。
実際に就職で沖縄を出てからもその気持ちは持ったままで、去年、その念願が叶った形です。
新城(D2C dot・沖縄オフィスマネージャー):
沖縄を出るとき、ご家族に反対はされなかったですか?
伊禮(フラー・沖縄地域拠点開発責任者):
反対はなかったですね。他の兄弟も沖縄を出ていたので、両親としては寂しい思いもあったとは思うんですが、「好きなことをしなさい」と送り出してくれました。
ありがたかったな、と思います。
新城(D2C dot・沖縄オフィスマネージャー):
なるほど。
僕はずっと沖縄にいます。出たいという気持ちがゼロではないのですが、沖縄にいるままでも県外の方と仕事をする機会が多くあったので、「東京に行きたい、行かなくては」という気持ちは特に持ちませんでした。
伊禮さんのように、沖縄に戻りたいって方は多いですよね。自分が面談をする中でも、「一度は東京に学びに行きたいけれど、いずれは沖縄に戻りたい」という声をよく聞きます。
タイミング的に、今回のコロナでそれを改めて考えた人も多い印象です。リモートワークでオフィスに行かないで仕事できるようになったのだから、地元に帰って家族と過ごしたい、みたいな。東京と同じ仕事ができるなら沖縄がいい、そんな気持ちですよね。
またUターンだけではなく、沖縄が好きだからという理由でコロナ禍を機に移住してこられる方もいます。沖縄は仕事とプライベートの境がくっきりしていてストレス解消がしやすい、なんて健康の面で注目される方もいます。
こういった流れは、沖縄が盛り上がるのでとても嬉しいです。沖縄にとって今、大きなチャンスが来ていると感じますね。
⸺職務内容や給与水準、勉強会などによる情報収集のしやすさなど、仕事をめぐる待遇・環境についてはいかがですか?
伊禮(フラー・沖縄地域拠点開発責任者):
フラーでいうと、リモートの環境が整っているので、仕事内容は千葉の本社にいるときと何ら変わらないですね。また理念としても、「沖縄拠点は本社の下請け」のようなことはまったくありません。どこのオフィスでも、できる仕事は同じです。
勉強会については、このご時世、オンラインでの勉強会が増えているのであまり困ってはいません。
もちろんオフラインでフラッと参加するようなことはできなくなりましたが、ある程度アンテナを張ってオンラインでいろいろなところに参加していれば、取り残されるような感じはありませんね。
新城(D2C dot・沖縄オフィスマネージャー):
逆に、コロナ対策を余儀なくされオンライン開催が増えたことで、勉強会へ参加する機会は増えたと思います。現状、沖縄にいても東京と変わらないくらいの情報収集ができるようになった実感がありますね。
仕事についても、オンライン会議で依頼がきて、そこで信頼関係を築いて——ということが当たり前になってきたので、地方ゆえの制約はあまり感じません。
伊禮(フラー・沖縄地域拠点開発責任者):
こういう肌感覚は、実際に沖縄に来て働いてみないとわからないですよね。来る前は「本当に大丈夫かな?」と不安になると思います。
でも、しっかりお伝えしたいのですが、そこは本当に大丈夫です! 自信を持って言えます。
新城(D2C dot・沖縄オフィスマネージャー):
コロナ禍で逆に良かったことは他にもあって、それは「必ずしも東京だけがすごいわけではない」と可視化されたことです。
コロナ前はどうしても、東京のオフィスでオフライン会議が行われて、その後に沖縄オフィスへ情報がくるという流れが主流でした。
そうすると、沖縄オフィス側としてちょっと遠慮があるというか、「やっぱり東京オフィスの方でものごとが決まるよね」なんて思ってしまっていたんです。なんとなく、自分たちは東京オフィスと比べてポジション的に下だなあと思ってしまう面があったなと。
そんなときにコロナ禍が起こりその対策を余儀なくされ、会議が全部オンラインになり、東京と沖縄の垣根がなくなりました。沖縄側も東京と同じタイミングで情報を得られるし、その場で意見やアイデアを出せるようになったんです。
そうすると、「自分たちは沖縄側だから」とか「やっぱり東京の方がすごい」とか、そういうのは勝手に思い込んでいただけなんだと実感できて、沖縄オフィスのメンバーも意見が言える自分たちについて、より自信を持てるようになりました。オフィスが違うだけでみんな一緒だよね、と思えたというか。
⸺コロナ禍は追い風になった部分が大きいというお話ですが、逆に困ったことはありますか?
新城(D2C dot・沖縄オフィスマネージャー):
飲みの機会が激減したのは、やはり大きなマイナスですね。
沖縄の人は飲みニケーションというか、そういうお酒や食べ物で気楽に盛り上がる席が好きなんです。シャイな人が多い沖縄ですが、だからこそお酒が入って自然にしゃべるようになって関係が深まる、場合によってはそこからお仕事につながる、という流れや場が大事にされています。
ですが、コロナでそこは弱くなったなと。
あとは、やはり観光業などは打撃を受けていると感じますね。
ただ、逆に言えばそれでITの存在感が増したような気もしています。僕の身の回りの例で言うと「元は観光業の仕事だったけど、IT業界に行ってみたい」という相談を受けることが多くなりました。
今回のコロナで、自分の仕事を見つめなおす人が多いんだなと思います。
伊禮(フラー・沖縄地域拠点開発責任者):
観光業って沖縄の主要産業ですし、もちろんすばらしい仕事だとみんなわかっているんですが、一方シビアな視点として、さまざま状況に左右されやすい水物であるという認識もありますよね、どうしても。
新城(D2C dot・沖縄オフィスマネージャー):
そうですね。そういう意味では電力会社や新聞社、地元の大きな小売業などの、昔からあって誰もが名前を知っているような企業は、根強い人気があるなと。
親が子供に「公務員になりなさい」と勧める話もよく聞きます。
伊禮(フラー・沖縄地域拠点開発責任者):
漠然と「安定している職業」への憧れがあるという感じですよね。県全体が、全国的に見て所得が少ない環境でもあるので。
⸺IT業界は、沖縄での就職においてどのような立ち位置にありますか?
伊禮(フラー・沖縄地域拠点開発責任者):
すごく単純に、IT業界で仕事をしていますと伝えると「じゃあ頭いいんでしょ」なんて言われることがあるかな……(笑)
新城(D2C dot・沖縄オフィスマネージャー):
県内ではまだまだ認知されていないと思います。
ただコールセンターやテレフォンオペレーターなどで働く人はかなり多く、そういう意味では実はITに関わっている人口自体は多いんですが。
僕の世代だと、沖縄でITの仕事というと「外資系企業のカスタマーサポートのコールセンターで働いている人」というイメージが強かったですね。
そういった仕事が悪いとかってことではもちろんまったくないのですが、一方で、IT業界でクリエイティブな仕事の方にいきたい、そのための技術をつけたいという人が増えてきたのは、ここ最近の風潮かなと。
伊禮(フラー・沖縄地域拠点開発責任者):
ですね、ここ10年くらいでしょうか。
新城(D2C dot・沖縄オフィスマネージャー):
さらに本当にリアルな話をすれば、県内のITは多重下請け構造がかなり問題視されるような環境であって、下流の方にいると「ITエンジニアだ」と名乗れるような技術を身につけられない仕事も多い、なんて話も聞きます。体質的にもブラックだったり……。
そういう立場では、エンジニア名義の名刺だってもらえていないかもしれないですね。
それがここ最近になってやっと、本当に技術を身につけてITエンジニアと名乗れるような人たちが増えてきました。それこそ伊禮さんのような人です。
だから、フラーさんのようなITを生業にしている企業が進出してくれるのは、沖縄のIT業界の価値を上げることに繋がっていると思います。
伊禮(フラー・沖縄地域拠点開発責任者):
フラーもD2C dotさんも、やりがいを持ってクリエイティブを楽しめる会社ですね。
後編に続きます。
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