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フラー主催、全国880名の高専生が参加したオンラインイベント〜高専キャラバン2020とは〜

高専と企業はもっと繋がれる。高専生の未来にもっと可能性を。
「高専キャラバン2020」は、そんな理念のもと、2020年7月18日(日)・22日(水)に現役高専生向けとして開催されたキャリアイベントです。
当日は、全国から880名の高専生にご参加いただき、高専関連のイベントとしては最大級の規模のものとなりました。

今回は、高専キャラバン2020において企画・運営の先頭に立ったメンバーに、イベントの趣旨や当日の様子、裏話などを聞いてみました!

*夏に続き、冬も開催します!
https://kosen-caravan.com/

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川野晃太:フラー株式会社 人事広報グループ長
1989年生。三重県出身。国立鈴鹿工業高等専門学校卒。イギリス留学後、メーカーにて電気自動車の事業開発に従事。本業の傍で行なっていた教育活動で、フラー代表・渋谷をインタビューしたことをきっかけに当社へ転職。自社サービス「App Ape」のセールス職を経て、現在は人事・広報業務全般を担う。ユメは、世の中の格差を無くす教育事業を創ること。

━━高専キャラバン2020の概要を教えてください

学生の皆さんが進路を選ぶ際には、企業と直接触れ合って得られる一次情報が重要となります。
しかし、地方にある高専の学生が都内の企業へ訪問するのは、遠方への移動費用や学業の忙しさから、負担が大きいと言えます。

そこで、高専と縁深いフラーが高専生と企業のハブとなる形で、世界で活躍する高専出身者が高専現役学生へ情報を提供するキャリア講演を、オンライン上で開催しました。
それが高専キャラバン2020です。

イベントは2日間に分けて実施。
学生の皆さんには、各々のPCからオンラインの会議システムを利用して視聴していただきました。

なお、高専キャラバンは元々、高専機構さんとMicrosoftさんが主催されていたイベントです。日本各地の高専に直接訪問し、学生の皆さまの技術に関する好奇心・探究心を高めて、技術者教育に貢献しようという趣旨で、第一回目は2007年に行われました。

フラーが関わり始めたのは、2012年に行われた第二回目の高専キャラバンからです。Microsoftさんと共催させていただきました。
フラーメンバーがキャンピングカーに乗って、全国7高専を回って、アプリ開発についてのさまざまなお話を学生の皆さんにお届けしました。

━━今年、「高専キャラバン2020」という形でまた新たに高専キャラバンを企画したのはなぜですか?

高専キャラバン2020は、高専キャラバンとしては第4回目のイベントになります。

第3回からだいぶ時間が経って、当時それに参加してくださった学生さんたちが今や社会人としていろいろなところで活躍をしている、という話を聞くようになりました。それこそ、フラーに入ってくれた子たちもいます。今ではすっかり頼れるメンバーです。

なので自然と、当時スタッフとして高専キャラバンを実施したメンバーたちで、「あれはやっぱり良いイベントだったね」「やって正解だったね」と話すようになりました。

フラーは、第2回の高専キャラバンを共催して以降も、長岡高専や函館高専と連携協定を結び、講演や継続的なアプリ開発講義を行うなど、高専の教育に貢献し続けてきました。

そうした流れの中で、代表取締役会長・渋谷には「改めて高専全体に恩返しがしたい」という想いがありました。そこで、こうしてまた高専キャラバンを新たに行うことにしたんです。
これには、IT業界の中で、フラーが高専という文脈においても知名度が上がってきているという背景もあります。このイベントを今やるならば、それはうちだろうと。

私が代表から「高専キャラバンをまたやりたい」という話をされたのは、2018年の冬。
私は前回の高専キャラバン当時はまだフラーのメンバーではなかったので、当時のイベントの様子を知っていたわけではありませんでしたが、高専出身者として高専に恩返しをしたい、という思いは私も持っていました。
なので、「ぜひ前向きにやりたいです」という返答をして、先頭に立って企画を進めていくことにしました。

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━━どのように企画を進めていきましたか?

まずは、社内のメンバーをはじめ、当時のことを知っている方々にとにかくヒアリングを重ねました。
当時からいろんな高専に協力をしてもらったということもあり、大掛かりなイベントだったと思うので、全体像をきちんと把握するために。

その上で、過去と同じ形をそのまま開催してもダメだとも思いました。
よりよくするためにはどうするかを、代表や広報担当のメンバーといろいろ考えました。

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一つの方針として掲げたのは、なるべく、よりいろいろな会社さんを巻き込むこと。それから、スポンサー企業さんだけでなく、高専生に期待を寄せてくださっている著名な方々もお呼びすること。
そうすることで、「いろいろな分野でいろいろな人が、高専生にこんなに期待をしているんだよ」と、現役の子たちに伝えられたらいいな、と。

また、講演を聞けてよかったな、おもしろかったなだけで終わらないように、後日のハッカソンなどにつなげるなど、企画の段階で後のための導線は意識しました。

高専生の可能性を広げる、それが高専キャラバン2020のコンセプトです。
キャッチコピーも「高専キャラバンは、全国の高専生に可能性を示す旅」というものにしました。

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━━企画ができあがってから着手したことはなんですか?

そこから具体的な話にしていくために、関係各社さんや高専機構さんにお話をさせていただきに行きました。
そもそも高専キャラバンというものは、先にお話した通りフラーが始めたものではなく、Microsoftさんと高専機構さんが主催されていたイベントですので、その名前を使わせていただけるかどうかのお話からです。

Microsoftさんには、ありがたいことに実現に向けてのアドバイスと一緒に、快く許可をいただくことができました。

高専機構さんには最初、これはもちろん当然のことなのですが、「もしフラー一社で開催するのであれば、公平性の観点から後援するのは難しい」とのお話をいただきました。
フラーは事業会社ではあるので、その一社だけで起こすイベントに対して高専機構さんが後援をするというのは、おっしゃる通り避けるべきことですよね。

私たちとしても、元々コンセプト的に、いろいろな方々を巻き込んでイベントを行うつもりでした。
なので、高専生を応援してくださっている団体さんや企業さんにお声がけし、座組みとして正式に、フラーだけが行うイベントではないものにしました。
スポンサー企業さんに関しても、純粋に高専生を応援したいと思ってくださっている方々をお誘いいたしました。

改めて、いろいろな方々とみんなで一緒にやっていきますという形で、高専機構さんには許可をいただくことができました。
こうして正式に、高専キャラバンという名前を使ってイベントを進める形が整いました。

さらに他の会社さんにお誘いをかける時は、フラーが連携を結んでいる高専と一緒に開催したキャリアイベントがあったので、それを具体的なイメージとしてお渡ししました。

また、そのキャリアイベントの時に参加者の方々にお書きいただいたアンケートなども参考にしました。
アンケートでは、「OB・OGに具体的な仕事の話や展望を聞けてよかった」「いわゆる高専生らしい進路ではない、別の領域へ挑戦する勇気をもらえた」という声をいただくことができ、目指す方向は間違っていないなと思えて嬉しかったです。

全国の高専には、一校ずつお手紙を書いてお声がけしていきました。一度お断りされても粘り強くお話をさせていただき、最終的には全国33高専に協力いただけることに。

原動力になったのは、「なるべく多くの高専生に情報を届けたい」という気持ちです。
こういうイベントがあることは、我々からの発信だけでは、ふだんからアンテナの高い学生さんには知っていただけるのですが、そうでない子にはなかなか届かない。
でもやはり、なるべく多くの高専生の皆さんに、将来のためになる情報をお伝えしたくて。
なので、全国の高専にお声がけしてご協力いただくことで、いろいろなタイプの高専生に届くようにしました。

━━実際に高専キャラバン2020を開催してみて、感触はいかがでしたか?

880名という、非常に多くの数の方々が参加してくれたことがまず驚きでした。

参加してくださった方々のツイートやアンケート等々の反応を見ると、「こういう話が聞きたかった」とか、「こういう道に行ってみたかったけど中々情報がなくて困っていたから、今回の話を聞けてよかった」とか、そんな反応がありました。
ああ、やってよかったなあと心から思えました。
大変なことはあったけれど、開催した時の企画コンセプトは、やっぱり間違っていなかったんだなあ、と。

また、「自分が今まで聞いていた話とは、また違った情報を得られた」という意見が印象的でした。やはりそれは、意義深いことだなと思います。

当日はどうしても忙しくて、登壇者さんのお話をまともに聞くことはできませんでしたが、後からじっくり動画を見て、とてもいいお話をしていただけたなとありがたく感じました。
登壇者さんはみんな、地方の学生さんに「今の世界の情報の取り方」を伝えてくださったのが、何よりよかったなと。良いことだけじゃなくて、次にどうするかの情報があって、すごく大切なお話ばかりだったと思います。
それから皆さん、会社のPRだけでなく、「高専生にこれを伝えたい」と言うのを一番に出してくださっていて、それがすごく嬉しかったです。

学生だった当時を後悔しているわけではないんですが、もし学生時代に自分がこのイベントに参加できていたら、また違った時間の使い方をできたかなと思います。

そんな風に、全体としてはよかったなと思う一方で、課題点もあります。
高専キャラバン2020は、元々はオフラインのイベントとして考えていたもので、一高専一高専に直で行く予定でした。
しかし、新型コロナウイルスが直撃して、今のオンライン開催の形へ舵を切りました。

予定通りのオフラインイベントであれば、登壇者の方々とも学生さんとも、もっと濃いコミュニケーションを取れる予定だったんです。なのでそこは率直に、残念に思っています。

登壇者の方々からも、「オンラインだと聞いてくれる学生の顔を見られなくて、ちょっと不安」という意見も頂戴しました。
ただ、イベント後の学生さんからのアンケート回答をお渡ししたところ、「ちゃんと伝わっていたようでよかった」とも言っていただけました。

━━現役学生が全国から同時参加880名という、大規模イベントになりました。オンラインで行ったことについて、率直な所感や得られた知見などを教えてください

3月4月にコロナ禍がいよいよ深刻になってきて、実施するのは難しいんじゃないかと思っていました。それが正直なところです。
フラー社内ももちろん、いろいろドタバタしていたので、「無理にやらなくても良いんじゃないか」という温度感もあって。
その頃は、どうしたらいいかわからない時期でした。

ただ、どうしたらいいかはわからなくても、「自分が諦めたら、このイベントはその時、すぐに終わりになるだろうな」と思っていました。
そして同時に、それでもやはり、こんな状況だからこそ、高専生に将来のための情報を届けたかった。それから、いろいろな人が協力し合ってすごく良いことをしようとしている、この流れを止めたくなかった。

助けになったのは、「ぜひ学生のために実施してほしい」という高専の教職員の方々からの声です。中止になるかも、という時、特に地方の高専の先生方がとても残念がってくださったんです。こういう機会は地方ではなかなかないから、と。

そんな先生方の声に背中を押されて、それならばオンラインではどうですか、というご提案をし、オンライン開催を決めました。

高専は全体で、Office365をツールとして採用されています。その流れで、今回のイベントでもTeamsを使いました。

なかなかないレベルのオンライン大規模イベントなので、何よりも念入りにやったのはリハーサルです。
役割分担を明確にするよう気を付けました。司会は司会だけ、画面切り替え担当は画面切り替えだけ、来客対応は来客対応だけ、というように。

当日スタッフは、合計7名ほどで回しました。このスタッフにしても、3名は遠隔参加です。
現地の4名で、フラー社内に配信ブースを作りました。配信用に必要な台数のPCを用意した他、スタッフ間の連絡用の端末を用意し、三密を避けつつ協力してイベントを進めました。
PCは、メインの説明用やその予備、登壇者さまとのすり合わせ用、配信画面操作用……などなど、役割ごとにひとつひとつ用意。計8台くらいになりました。

登壇者の皆さんにも、事前に接続テストなどでご協力いただきました。ちなみに登壇者の方々は、もちろん全員遠隔での参加です。
ツールの使い方や細かな段取りなどを、事前に一人ひとりにご説明しました。

失敗した時のリカバリーがやはり、オンラインは難しいです。
なので、用意する機器の構成にしても、登壇者さんへのご説明にしても、念には念を入れて、という形で準備をしました。

それでもやっぱり、オフラインでのイベントにはない難しさには直面しましたね。
オンラインイベントは、何か起こってしまっても、その状況を把握するのがオフラインと比べて遅くなりがちです。ヤバそうな雰囲気、なんてものは画面からは中々伝わってきませんから。
なので、司会として当日にいきなり時間を引き延ばすことになった一幕もあり、その時ばかりはちょっと青ざめていました(笑)

全体としては、私はイベント当日、とにかくトラブルなく進め、何より聞いてくれる学生たちに有意義な時間を提供できるように、ということだけを考えていました。
なので、メンバーの様子やイベント全体の進行、そしてツイッター含めた学生さんたちの反応を注意深く見るようにしていました。

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━━オンラインだからこそよかったことは、何かありますか?

参加のハードルが下がったのはよかったと思っています。オフラインのイベントだと、どうしても一度参加したら抜けにくいですよね。でも、オンラインだと自由に抜けたり入ったりできる。そこは良い点かなと。
また、見逃した部分が合っても動画データを自分のタイミングで見直せます。その点も良いところですね。

運営的に言うと、移動の手間が掛からなくはなりました。それは一応、良いことではあります。直接行くことができないのは、やはり寂しいですが。
とはいえ、今回のように全国で同時開催ができるというのは、オンラインの大きな魅力だと思います。

━━全体を振り返ってみて、いかがですか?

このイベントがよかったかどうか。その本当のところは、正直、わかるのに時間がかかります。
3年後5年後10年後に、参加してくれた学生さんの進路にどんな影響を与えられたか、結局はそこなので。

一方で、さまざまな困難がある中、チームが「なんとかやりきろう」と一丸になってイベントを達成できたのは、現時点でも”とてもよかったこと”として挙げられると思います。

全国各地の高専のご協力もありがたかったです。
また、新しくいろいろ縁もできました。
コロナ禍でオンライン授業をするようになったが、PCが自宅になくて困っているという高専の学生さんに、Microsoftさんがノートパソコンを無料で貸与してくださったというお話がありまして、それは実は、今回の高専キャラバンで出来た縁から始まりました。

━━今後についてはいかがですか?

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高専キャラバンに関しては、2020年12月に、「高専キャラバン2020」をもう一度行います。
そこでは、前の話にもあったように、登壇者さんと学生さんがもう少し双方向に会話できるような機会を設けたいと思っていました。そこで、全国の高専生を始め、高専キャラバン2020の登壇者や運営サイドなどキャラバンに関わる人々とカジュアルにコミュニケーションができる場として、Slackコミュニティ『CARAVAN ROOMY's』を新設することにしました。

参加してくれた学生さん同士という横の繋がりも作ってあげたいなと思っています。
関わる機会のなかなかない他の高専の学生さんたちと交流して、たとえば後々ハッカソンでチームを組んだり、なんてつながりを作ってあげられたらいいな、と。

また、本イベント後には、広島県および、ひろしまサンドボックス*と協力し、個別のメンターがつく形での、インターンシップより密度の濃い起業体験ができる企画もご用意しています。当企画への参加募集を高専キャラバン2020年公式サイト内にて実施します。

* https://hiroshima-sandbox.jp/

━━最後に、何かメッセージなどがあればお願いします

全国各地の高専、そして教職員の皆さまへ、「今回のようなイベントをご活用いただき、学生さんたちにいろいろな可能性があることをぜひ示していただければ」ということをお願いさせていただけたらと思います。
高専生は、外からの刺激を受ける機会が少ないですので、どうか。
フラーとしても、そのお手伝いができたらたいへん嬉しく思います。

また、企業の方々へ。
高専には、さまざまな力を持った学生さんがたくさんいます。そんな高専生にとって、高専生を理解してくれている企業さんがあることは、とても安心しますし、大きな励みです。
高専キャラバンは、企業さん学生さん双方にとってとても良いイベントだと思います。ご興味ありましたら、ぜひぜひご連絡ください!

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以上、高専キャラバン2020の企画・運営担当者への振り返りインタビューでした。

高専キャラバン2020へご興味をお持ちいただけましたら、ぜひこちらからご応募ください!



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