エンタメ動画系アプリMAUランキングから見えた、昭和とZ世代のエンタメ意識の違い
App Ape Lab編集部はこのほど、アプリ分析サービス「App Ape(アップ・エイプ)」の推計データをもとに、2022年7月のエンタメカテゴリーに属する動画系アプリの月間利用者数(MAU)ランキングを年代別に取りまとめました(カテゴリーはGoogle Play準拠、データはiOS・Android合算)。
年代別のアプリ利用動向からは、世代ごとの“エンタメ動画”に対する認識や捉え方の傾向が浮かび上がりました。
この記事では世代別のエンタメ動画系MAUランキングとともに、世代ごとの特徴を紹介。特に50代以上の昭和世代と10〜20代のZ世代のエンタメ意識の違いについて筆者が解説します。(記事:App Ape Lab編集長・日影耕造)
エンタメ動画系MAU1位は「Amazon Prime Video」
エンタメカテゴリーに属するアプリのうち、主にオンラインでの利用を前提としたものを年代別に抽出。MAU上位10アプリの顔ぶれを比較しました。
全年代を合計したMAUの第1位は「Amazon Prime Video」で、以下「TVer」「Netflix」「GYAO!」 「dアニメストア」「U-NEXT」「NHKプラス」「ツイキャス」「BuzzVideo」「Hulu」となりました。
なお、YouTubeは動画プレーヤー&エディタカテゴリーに属するため今回は対象に含まれていませんが、MAUは1位の「Amazon Prime Video」を上回っています。
Z世代のエンタメ動画は「多様性」
年代別のMAU上位10アプリは以下の通りとなりました。
年代別の順位を詳しく見ると、10代のMAU1位は「Amazon Prime Video」で、以下「TVer」「Netflix」「ツイキャス」「Twitch」「GYAO!」「dアニメストア」「ニコニコ生放送」「U-NEXT」「Hulu」と続きました。
20代は1位が「Amazon Prime Video」で、以下「TVer」「Netflix」「Twitch」「dアニメストア」「ツイキャス」「U-NEXT」「ニコニコ生放送」「GYAO!」「Hulu」の順となりました。
いずれの年代も上位3アプリは全年代の傾向と変わらないものの、「Twitch」「ツイキャス」「ニコ生」と他の年代で圏外だったアプリが10位以内に入っているのが特徴的です。
作り手やプラットフォームに囚われない多様なコンテンツがエンタメ動画としてZ世代に受け入れられている様子が垣間見えます。
昭和世代のエンタメ動画は「テレビ」が軸
一方、昭和世代の50代は1位が「TVer」で、以下「Amazon Prime Video」「GYAO!」「NHKプラス」「Netflix」「BuzzVideo」「U-NEXT」「Hulu」「dアニメストア」「Disney DX」と続きました。
60代以上では1位が「TVer」で、以下「BuzzVideo」「Amazon Prime Video」「NHKプラス」
「GYAO!」「Netflix」「Disney DX」「Disney+」「dアニメストア」「U-NEXT」となりました。
いずれの年代も民放系の番組を配信するTVerが首位になっているのに加え、他の世代では40代を除き圏外の「NHKプラス」も上位に食い込んでいる様子がわかります。
テレビが情報取得の中心だった時間が長い昭和世代だけに、アプリでもその傾向が鮮明になった形です。
さらに他の世代ではやはり40代を除き圏外の「BuzzVideo」がランキングトップ10に入っており、特に60代以上では2位と独特の傾向を示しています。
シンプル明快な「BuzzVideo」が昭和世代に刺さる?
「Buzz Video」はTikTokを手がけるBytedanceが運営するアプリです。
アプリのトップ画面は下部に「動画」「タテ動画」「マイページ」の3つのボタン、上部に検索窓とライブ配信スケジュールを配置しており、視聴に特化したシンプルなアプリとなっています。
実際の使用感もシンプルで、ユーザーの視聴傾向に基づきレコメンドされた動画を次々と見ていく形です。
このシンプルな視聴体験こそが、放映されている番組を見るというテレビでの視聴体験に慣れ親しんだ昭和世代のシニア層を中心に「BuzzVideo」が受け入れられる要素であると筆者は見ています。
実際、「BuzzVideo」のMAUの性年代別構成を見ると、最も多いのは60代男性で、50代以上が6割を占めています。
変わり続けるエンタメの形
エンタメ動画系アプリの年代別MAUの動向は、多様なコンテンツを受け入れるZ世代と、テレビが情報取得の中心だったシニア世代のエンタメ動画へのまなざしの違いを鮮明にした形となりました。
今回は単一の指標にフォーカスしましたが、さらに1人あたりの利用時間や時間帯別利用者数、利用頻度などさまざまなデータを掛け合わせることで、アプリを通じた人々の行動方式の実相やビジネスの参考になるインサイトが見つかるでしょう。
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