アプリの翌月リテンション率から見た、ユーザーの行動様式
フラーが手がけるアプリ分析サービス「App Ape(アップ・エイプ)」にこのほど、一定期間が経過した後に、再びアプリを利用・起動したユーザーの割合を示すリテンション率(継続率)を推計する新機能「リテンション分析※」が追加されました。
アプリのリテンションは、アプリ運営を成功させる上で重要な指標です。アプリを継続利用してもらえるユーザーをどれくらい確保できるかによって、アプリの新規ユーザー獲得に向けた施策やアプリ内施策が大きく変わってくるからです。
しかし、リテンション率のベンチマークや各カテゴリー・業界の平均値などに関する情報は、ウェブ上では思いのほか少ないのが実情です。
そこで、この記事ではApp Apeの新機能「リテンション分析」のデータから2022年7月の主要カテゴリーの月間利用者数MAU上位アプリの翌月平均リテンション率をまとめました。
それぞれのカテゴリーに属するアプリを運営するアプリデベロッパーはもちろんのこと、これからアプリを企画・開発する際の仕様書や計画書を策定する新規事業開発担当者や、アプリを活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)に関心を持つ経営者・経営トップ層、ビジネスのさらなる成長をデジタルで実現しようと考えるビジネスパーソンなどにおすすめの内容です。
※リテンション分析機能は、App Apeのエンタープライズプラン契約者限定の機能になります。
App Apeの紹介はこちらからどうぞ。
翌月リテンション率の定義
App Apeの「翌月リテンション率」は、「対象となる月の間にアプリを新規インストールしたユーザーのうち、初回のアプリ利用から29日目〜56日目のいずれかの日に再びアプリを1回でも利用したユーザーの割合」と定義しています。
起点となるアクション(今回の場合は新規ユーザーがアプリを起動した時)が発生した日から28日間を0月目、29日目〜56日目を翌月(1月目)、57日目〜84日目を2月目とカウントします。
従って、日間平均リテンション率に比べ、思いのほか高い数値となっています。
新規インストールしたユーザーのうち「28日間継続してアプリを利用したユーザーの割合ではない」ことに注意が必要です。
▼リテンションデータの定義
主要カテゴリーMAU 上位アプリの翌月リテンション
App Apeの推計データをもとに取りまとめた、全体と主要カテゴリーMAU上位アプリの翌月平均リテンション率は以下の通りとなりました。対象としたカテゴリーはゲーム、ソーシャルネットワーク、コミック、ファイナンス、エンタメ、ショッピングです。
2022年7月1日〜31日に新規インストールしたアプリを初めて利用したユーザーのうち、翌月(28日後〜56日後)のいずれかの日に再びアプリを1回以上利用したユーザーの割合となっています。
MAU上位10アプリの翌月平均リテンション率が良好な傾向にあります。ただ、同じカテゴリーのMAU上位の10アプリと20アプリをそれぞれ比較すると、その差はそれほど大きくないこともわかります。
おおよそ新規ユーザーの4割が翌月もいずれかのタイミングで利用するかどうかが、アプリ運営の一つの大きなベンチマークとなりそうです。
抽出した主要カテゴリーの中では「コミック」の翌月平均リテンションがもっとも高く、MAU上位10アプリで54.9%、20アプリで50.6%と半数以上の新規ユーザーが何らかの形で翌月もアプリを利用していることがわかります。
コミックアプリの場合、特にログインボーナスやクーポン、無料で読めるコミックの毎日配信、さらに、新作の公開など定期的にアプリを開くきっかけを最初の段階で集中的に生み出し、ユーザーの定着と習慣化を図る面が充実していることが、翌月リテンションが良好な要因だと筆者は見ています。
翌月リテンション率は「アプリの大きな動きを把握する」のに役立つ指標
対象期間が翌月(初回の利用から29〜56日目)と一定の幅があるため、App Apeの「翌月リテンション率」は日々のアプリの継続利用の動向を追いかけるのにはなじまない指標となっています。
一方で、当該のアプリが約1カ月かけて蓄積した新規ユーザーが翌月にも利用を継続しているのかや、1年後にユーザーがどれくらい利用を継続しているのかといった大きな視点でステータスを確かめるのには大いに向いている指標と言えるでしょう。
例えば、下記のようなシーンでApp Apeの「リテンション機能」は適しています。
・当該の月にアプリのローンチや新規インストールキャンペーンなど、大きなトピックがあったアプリが、翌月のユーザーがどれくらい再びアプリを利用したのかを探る。
・1年前に新規インストールしたユーザーが半年後、1年後もどれくらい利用を継続してるのかを大まかに把握する
データを読み解く上で注意しなければならないのは、季節性や時事性です。今回の7月を起点とする翌月リテンション率の場合、学校の夏休みや企業のお盆休みといったイベントのほか、新型コロナウイルスの感染拡大第7波の襲来や台風・猛暑といったさまざまな要素が前月からのリテンション率に影響を及ぼします。分析の際にはこれらの事情を考慮する必要があります。
データそのものの特性についての説明が少し長くなりましたが、データの出典や調査方法、各指標の定義などデータそのものへの理解を深めることは、データから事象や行動を正しく読み解くことにつながり、結果的に価値あるインサイトを導き出すの役立つと筆者は感じています。この機会にリテンション機能を含むApp Apeのさまざまな機能をぜひお試しください。
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