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今、 顧客が求めるアプリの法則とは?【フラー・ヤプリセミナーレポート】

フラー株式会社とアプリプラットフォーム「Yappli(ヤプリ)」を提供する株式会社ヤプリは2024年11月1日、「“今”顧客が求めるアプリの7つの法則」をテーマとしたセミナーをオンライン・オフラインのハイブリッド形式で開催しました。

セミナー動画を公開中!こちらもぜひご覧ください。
https://ja.appa.pe/seminars/seminar-fuller-yappli-2024

iPhoneの黎明期からアプリ開発に携わってきたフラーとヤプリのキーパーソンが、良いアプリの“7つの法則”やCX設計について事例を交えて解説。アプリの開発・運営やアプリを生かしたビジネスに関心が高いビジネスパーソンが耳を傾けました。

セミナーの様子とともに、アプリ開発で重要な視点やポイントを紹介します。

日本人が1ヶ月間で使用するアプリは47個

(左より金子氏、山﨑氏、林氏、岸本氏)

セミナーではヤプリ執行役員CCO・金子洋平氏、フラー代表取締役社長・山﨑将司氏、フラー執行役員デジタルパートナーグループ長・林浩之氏、フラーアプリ分析グループセールスリーダーの岸本康太郎氏の4人が登壇。それぞれの専門分野の視点からアプリについて語りました。

岸本氏はアプリ市場分析サービス「App Ape(アップ・エイプ)」のデータをもとにまとめた日本国内のスマホアプリ市場の理解に役立つデータを紹介しました(数値はすべてApp Ape推計、対象はAndroid)。

App Apeによると、膨大な数のアプリが存在する中、日本人が1カ月の間に使うアプリは平均47個。「スマホという小さなデバイスの中で実際に使われるアプリは限られており、アプリを運営する場合、この限られた個数の中に入ることが求められるのが実情」と岸本氏は述べました。

さらにApp Apeで計測可能なAndroid向けアプリのうち、月間利用者数(MAU)が10万以上のアプリの割合は4.1%。人々に使われるアプリの上位に食い込む難しさがデータににじみ出ています。

一方で、「幅広い年代にスマホが浸透した現代においてアプリという接点を生かした取り組みはtoB・toCを問わず極めて重要だ。競合がスマホアプリに取り組んでいなればそれ自体が差別化要因になるからだ」と岸本氏。「アプリの現在位置や市場感をデータで捉えながら取り組むことで、ビジネスの成長のきっかけをつかむことができるはず」と提起しました。

良いアプリの7カ条、最も重要なのは?

山﨑氏は、セミナーのテーマでもある顧客が求めるアプリ「7つの法則」として“良いアプリの7カ条”を提示。このうち、セミナーでは次の4つについて、金子氏・林氏とともに事例を交えて解説しました。

・目的が一言でいえる

デジタルプロダクトゆえに機能を載せようと思えばいくらでも実現できてしまうアプリ。それだけに「目的が一言で言えないと何を作っているのか分からなくなってしまいがち」と山﨑氏は述べます。

目的が一言でいえるアプリの具体例として、山﨑氏は長岡花火公式アプリを挙げました。

長岡花火の目的は「たった4時間を最高にするアプリ」です。アプリを通じて長岡花火を訪れる観光客に最高の花火体験を届けるのが最大の目的である長岡花火公式アプリは、アプリを通じたアンケートでユーザーの特徴やニーズをデータ化して改善を重ねてきた結果、2023年度のグッドデザイン賞を受賞しました。

「事業者側もユーザー側も一発で目的が分かるプロダクトにするため、長岡花火のようにチームでアプリの目的を必ず言語化して認識を揃えるべき」と山﨑氏は述べました。

・継続的に改善されている

「評価の高いアプリは継続的に利用されるため、共通の工夫や取り組みを講じている」と林氏。差別化につながる“使われるアプリ”となるためには、改善を繰り返して工夫を重ねていくことが重要です。

継続的に改善されているアプリの事例として、東急株式会社が手がける「common」を示した林氏は「店舗や商品と同じように、常にアプリの改善を続けることが必須だ。何もしていない間にも、競合のアプリは洗練され続けている」と呼びかけました。

・もう一度使いたくなる仕組みがある

「良いアプリには、もう一度使いたくなるような仕組みや工夫が必ずある。そのコアとなっているのはユーザーの小さな成功体験を積み上げることだ」と林氏は述べます。

例えば、アプリの会員ランク設計。ランクアップのステップやポイント・リワードがユーザーにとって繰り返し使うための非常に重要な要素となります。「ユーザーにとって無理がなく、もう一度アプリを使う理由を示すことができているか今一度振り返ってみては」と林氏は呼びかけました。

・教わらなくても使える

目的がはっきりしていて迷わずに誰にも教わらなくても使えることも、良いアプリを構成する重要な要素です。

セミナーではタクシーアプリ「GO」を事例に、教わらなくても使えるアプリの機能やサービス設計について議論しました。

「GOのアプリとしての使いやすさや気持ち良さといった体験自体がGOのブランド化につながっている」と金子氏。「差別化しにくいタクシーの中でアプリが差別化要因になっている」と読み解きました。

では、教わらなくても使えるアプリが良いアプリであれば、アプリによくあるチュートリアルは不要なものなのでしょうか。「決してそうではない」と山﨑氏は指摘します。

「チュートリアルでユーザーを導いた後、再びユーザーがトップ画面に戻った時に何も考えなくてもやりたいことができるようにすることが重要」と山﨑氏。「チュートリアルは必要だが、チュートリアルを終えたその先で、ユーザーが教わらなくても使えることを考慮するべき」と提起しました。

アプリマーケティングにおける次世代CX設計とは?

さらに金子氏は、アプリがユーザーの最も身近な接点であり、スマホ利用時間の9割がアプリであることを紹介した上で、アプリマーケティングにおける次世代CX設計について解説しました。

「目に留まる・わかりやすい・すぐ届く」といったアプリの特性がユーザーとの接点を生み出すアプリは、多くの企業にとって顧客とのタッチポイントの一つとの位置付けでしたが、「次世代CX設計では顧客との長いコミュニケーションを取る施策としてアプリを位置付け、ロイヤリティを高めることに注力することが大事になってくる」と指摘した金子氏。

Yappliの利用を通じて成長を遂げた“選ばれているアプリ”の事例をいくつか紹介しました。

“顧客に求められるアプリ”を実現するため、Yappli自体もプラットフォームとして年間200回以上の継続的な改善や最新のデザイン設計、そして新機能の搭載といった取り組みを継続していることを金子氏は紹介しました。

絶対に見落としたくないアプリ開発の重要KPIは?

質疑応答では、参加者から「アプリ開発において気をつけるべきことや重要KPIが知りたい」といった質問が上がりました。

林氏は「絶対に見落としたくないのは2回目の訪問率、継続率。そこに至っていないアプリが多い。この穴を防げば、事実上多くのお客様を取り込める形となる」と回答。

山﨑氏は「ユーザーのレビューを絶えず見続けることがとても重要だ。いい改善であれば良い反応にあるし、ダメなら如実に出る。ユーザーの反応を丁寧に見ながら真摯に作り続けることが良いアプリを作る近道だ」としました。

フラーとヤプリは、今後もそれぞれの知見やデータを生かした発信でアプリの開発・運営を手がけるさまざまな企業や組織のビジネスパーソンに役立つ情報を提供します。どうぞご期待ください。

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アプリ市場分析サービス「App Ape」

フラー株式会社・事例紹介

株式会社ヤプリ

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