【フラーインターン2019】南魚沼市長に聞く! フラーとのつながりは? 地方創生とは?
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この記事は、インターンに参加してくださっている豊田高専三年生・成田琴美さんにお書きいただいています。
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8月22日、インターン四日目。
この日は南魚沼市の林茂男市長(以下、林市長)に、南魚沼市とフラーのつながり、市の現状とこれから、そしてUターンやIターンなども含めた地方創生について、直接お話を伺いました。
林市長は、ご自身もUターン経験者。
高校卒業までを市内で過ごされ、都内の大学に進学。その後、南魚沼市に戻ってこられ、平成28年から市長をお勤めになっています。
林市長はどのような考えをお持ちなのでしょうか。
━━フラーと共催してインターンを実施した理由を教えてください
林市長:
実は、フラー代表の渋谷さんは出身小学校が同じなんです。
それをきっかけにフラーを知り、彼らの地方での活動をだんだんわかっていく中で、興味を持つようになりました。
「魅力を生み出し、若い人に帰ってきてもらうためにどうしたらいいのか」という議論を彼らと交わしていくことで、このようなインターンシップの形ができていきました。
━━南魚沼市がIT企業に抱く期待とはどんなものですか?
林市長:
ITやAIの発展性は、もはや想像もできない。
だから、あらゆる分野への期待を持っていますね。
例えば、町の仕組みそのものを支える福祉という面もあるし、農業にも使えるでしょうし。
IT企業は、街づくり全体に大きな役割を担うと思っています。
━━IT企業に関わらず、民間組織と公的機関はどのように関わり合うことができると思いますか?
林市長:
行政としてやるべきことはもちろんあるのですが、基本的に民間と行政は分けて考えてはいません。
これからも、どんどんつながっていくと思います。
━━南魚沼市の地方創生の現状をどのように感じておられますか?
林市長:
みんなチャレンジしていますね。なにをやったら特効薬になるか模索している。
でも、簡単にはいかないですよね。
課題として危惧しているのは、市民の中で南魚沼を否定する声が上がっていること。
特に若い世代です。学校の一学年500人ほどの中で、何人が市内に残ると思いますか?
なんと、100人しかいないんです。
このようになる大きな原因の1つは、雪です。
除雪作業の大変さ、交通事故の増加などによって、雪深い街や雪そのものに対して、マイナスのイメージが根付いてしまっている。
『ご当地ナンバー』というものがありますよね。車のナンバーの上に、地方の名前と絵を載せられるものです。
南魚沼が元気になればと思い、近くの町と協力し、『雪国魚沼』という名前で応募する案を出しました。
でも、ここで反対したのが、地元の人だったんです。
挙がったのは、雪は辛い、重い、ダサい、苦しいという意見。市民アンケートをとったら、7割の人が反対でした。
否定的な感覚が、とても根強いんです。
ここを変えないといけない、そう強く感じました。
━━南魚沼市の魅力や、地方創生の取り組みの中で、なにか特有なところがあれば教えてください
林市長:
南魚沼の魅力は、雪ですね。
先ほどお話したとおりマイナスのイメージが強くなってしまっている雪ですが、もちろんいい利用方もあります。
例えば、南魚沼市にはスキー場が非常に多くあります。
また、2020年にオリンピック会場となる埼玉スタジアムに、南魚沼の雪を持っていくプロジェクトもあります。
オリンピックで掲げられている環境問題に、南魚沼が先頭を切っていくような。
まずは、雪を誇りに思ってもらいたいですね。
ところで、実は、南魚沼から出ていった学生400人のうちほとんどの方と、LINEでつながっているんです。
彼らに、埼玉スタジアムなどのイベントの開催を紹介すると、喜んで手伝ってくれます。これをきっかけに、南魚沼に戻ってくる人もいるんです。
地方創生については、持論があります。
それは、交通インフラの整備が一番重要だということ。
ちなみに、全国に交通網を張り巡らせたのは、この地域の大先輩である田中角栄さんなんです。
もしどこでもドアがあれば、ここに住みながらどこへでも移動できますよね。
そうしたら地方創生の問題は極論、もう解決する。
だから、交通インフラがさらに整備されればなと。
日本は、例えば人口や面積の面で似ているドイツと比べてみると、交通インフラの面では、圧倒的に差をつけられている。
「いかにして、ドイツの体制に近づいていくか」が重要だと考えています。
取材を終えて
林市長のお考えになる地方創生には、『物理的』と『精神的』な側面があるのではないかと感じました。
物理的な側面というのは、「交通インフラが活性化される」ということ。
もしも、南魚沼市から30分で東京に行けるとなれば、市での定住をためらうでしょうか。
毎日せわしなく頑張り身体が疲れ切っていても、南魚沼にある緑の力強さ、子どもの黄色い声、ふんわりした白米の香りが待っていることを想像するだけで、気持ちが満たされます。
精神的な側面というのは、「地元に誇りを持つ」ということ。
特有の資源を持っていたり、変わった政策に取り組んでいたり、他の人に愛されていたり、はたまた有名人の出身地だったり……。
生まれた場所に誇りを持つきっかけは、人によってさまざま。
どんな理由であれ、地元が好きで誇りを持っていれば、戻っていきたくなると思います。
そのきっかけとして南魚沼市の雪を使った新しい政策はとても新鮮であり、若い世代の一員として惹き付けられるものがありました。
初めてのインタビューということもあり、わからない単語や内容に戸惑う場面もありました。
しかしそれ以上に、林市長ならではの地方創生の捉え方を知ることができ、私にとって非常に有意義な時間となりました。
林市長ならびに南魚沼市役所の皆さま、貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。
ちなみに、林市長とのインタビューの後、今度は私が新潟総合テレビの方からインタビューを受けることに。
質問に答えながらも感じたのは、記者の方の圧倒的なインタビュー技術。少しでも吸収できるよう、努力していきたいと思います。
学生の私を番組に取り上げていただけるということで、とても嬉しく光栄に存じます。
新潟総合テレビの皆さま、ご取材いただきありがとうございました。