保育・教育施設と保護者に「あって当たり前」を提供するために必要なコドモンのCSとは 【App Ape Award 2021 相棒アプリ賞受賞インタビュー】
アプリ分析サービス「App Ape(アップ・エイプ)」で蓄積するアプリの実利用データをもとに、 2021年に人気や話題を集めたアプリを称える「App Ape Award 2021」のApp of the year部門 サービスカテゴリで、保育・教育施設と子どもを持つ保護者をつなぐ「CoDMON( コドモン、 以下「コドモン」)」が「相棒アプリ賞」を受賞しました。
また、ユーザーリサーチの観点からどのようにプロダクト開発に取り組んでいるのか、Cocodaさんの「デザインケース」にて詳しくご説明いただいております。https://cocoda.design/36257/p/p91e7bbe3ea35
App Ape Lab編集部は株式会社コドモンに所属するプロダクト開発担当執行役員の彦坂春森さん、プロダクトデザインチームの小塚千秋さんに特別インタビューを実施。受賞の所感から、BtoBtoC アプリとして目指す姿まで伺いました。保育・教育現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)を促し、 保育・教育施設と保護者の双方のユーザーに寄り添い成長するアプリの秘密をぜひご覧ください。
コドモンを日々の生活に組み込むためのCS施策
ーー相棒アプリ賞受賞おめでとうございます。コドモンアプリについてと、お二人が担当している業務内容を簡単に教えてください。
彦坂:ありがとうございます。コドモンは保育・教育施設向けの業務支援システムで、施設で働く職員の事務作業の負荷を省力化することを目的としたICTツールです。その中でも今回相棒アプリ賞をいただいた保護者アプリは、主に保育園、そして全国の小学校・中学校・学童、習い事や塾などに通うお子さまを持つ保護者と保育・教育施設のコミュニケーションを担うアプリです。
私はサービス全体のプロダクトマネジメントを担当しています。施設の先生や保護者などアプリを利用する皆様の利便性を上げるため、サービス全体でどんな機能を作るのかメンバーと相談して改善を行ったり、機能リニューアルを推進したりしています。
小塚:私はアプリのUI/UX設計を担当しています。機能ごとに分かれている開発チームのうち保護者側が使う機能や、施設側のシフト管理機能の設計を主に担当しています。他にもプロジェクトという単位でいくつかの機能の設計にも関わっています。
ーー今回、相棒アプリ賞を受賞してどのような気持ちでしょうか?
彦坂:「日々使っていただいている」「たくさん見てもらっている」ということが受賞理由だと伺ったので、とても嬉しいです。
コドモンは元々、保育・教育施設にご導入いただくものです。ですので、そこに通う保護者の方々はコドモンを自発的に使うというより、施設が導入しているから使うという側面があります。もちろん最初に触れる時や利用時に使いづらさが無いようにとは思っていますが、こうしてアプリをしっかりと利用していただいていることが受賞を通じて分かり、あらためて気が引き締まりました。
小塚:私もびっくりしました。そして賞をいただけて嬉しい気持ちと、もっと頑張らないとという気持ちが同じくらいあります。
ーー今回、データを元に賞を贈らせていただいており、MAU(月間利用者数)や起動回数なども伸びていることがわかりました。より利用してもらうために行った施策などありますか?
彦坂:ありがたいことに導入施設が順調に増え、その上できちんと施設の先生方、そしてその先の保護者の方々にしっかり活用いただけていることが一番の要因だと思います。
施策というよりもこれは会社としての大事にしていることなんですが、コドモンでは特に保育・教育施設向けの活用支援、CS(カスタマーサクセス)に注力しています。
コドモンを導入いただいた施設の先生方にまずシステムを触っていただき、そこで「これなら保護者にも利用をお願いできる」と思ってもらえて初めて、保護者向けアプリの利用を案内していただくことができます。
そのため利用開始時期のオンボーディング支援や、活用支援のWebセミナー、疑問や困りごとを解消するための電話・メールでのサポートなど、様々な形で施設の先生とコミュニケーションを取り、運用が軌道に乗るよう着実に支援しています。
その結果、コドモンを導入してよかったと多くの導入施設の先生に実感いただき、保護者の方々と一緒に利用継続していただくことで、保護者向けアプリの利用が広がっていっていると考えています。
保育・教育施設職員・保護者の両者の利便性と楽しさを生むために
ーー最もユーザーを長く引きつけたアプリに贈られるのが、この「相棒アプリ賞」です。コドモンがユーザーを引きつける要因は何でしょうか?
小塚:そうですね、私たちが日々行っている細かな機能追加や改善も要因としてはあるかもしれませんが、保護者側のアプリ滞在時間にフォーカスすると「写真販売」の機能について、価値を感じて利用してくれている方が多いのではないかと感じています。
「写真販売」とは、保育・教育施設が撮影したお子さま達の写真をアプリ内で掲示販売する機能です。注文の受付から集金、印刷や配送といった事務作業はすべてコドモンが代行しています。
写真から子どもたちの普段の過ごし方が見えることで職員と保護者の良好な関係を築きながら、同時に職員の方々の事務的な作業負担を減らすことで子どもと触れ合う時間をしっかり確保できるように考えたこの機能は、「保育・教育施設」と「保護者」どちらにもいい作用が生まれる機能となっています。
保護者サイドで利用してくれているユーザーは、アルバムを見るような感覚で利用することで長い時間アプリを使ってくれているのではないかと思います。
彦坂:保育・教育施設側の利用増の要因としては、先生方との信頼関係を築いていくことで、「まだ利用していないあの機能を業務で使ってみよう」と思っていただけることが大きいです。現場の業務フローを変えるのは大変だと思います。ですが、丁寧なフォローを継続することで「これは便利そう」「これなら使えそう」と思ってもらえるようになり、業務にきちんと組み込んでいただけるようになりました。その結果、徐々に利用時間が増えていったと思っています。
ーーPdMの彦坂さんはプロダクト全体を見ていると思いますが、開発・運営に関して意識しているのはどんな部分でしょうか。
彦坂:とにかく、プロダクトの改善と安定稼働に注力しています。
コドモンのように業務や生活の一部になるインフラ的なアプリは、競合ばかりを見るのではなく、現場と業界の今と将来を広く見据えるという観点が大事です。
快適に、安定して使えるシステムやアプリであることがまず一番で、その上でトレンドを踏まえて今後自社プロダクトに何が必要かを決めて実行していくのが大事だと考えています。
その中で、施設の先生方や保護者の方々の「もっとこうなったらいいのに」という期待に答え続けられるよう、開発チームの機動力を上げていくことも大事にしています。
コドモンはBtoBtoCなので、より多くの保護者に保護者向けアプリを使っていただくためには、導入して活用いただく施設を増やすことが第一条件となります。施設の先生方に安心して使っていただき、今後も使い続けようと期待し続けてもらうことを目指しています。
ーーコドモンは保育・教育施設と保護者を繋ぐアプリですが、それぞれのユーザーについてどのような観点で理解を深めていますか?
小塚:保育・教育施設側のユーザー理解はインタビューがメインです。
実際にアプリを使っている保育・教育施設の方にオンラインインタビューを実施して、頂いたご意見を機能追加や改善に活かしています。他にも施設の先生方の声が直接届くフォームや、CSなど社内メンバーの声を蓄積するフォームがあり、それも大きな参考になっています。
保護者側の理解は使っている方々のTwitterなどSNS投稿を参考にしたり、アプリレビューをチェックしたりといったオンライン上の情報がメインですね。
身近で利用してくれている友人や社員に実際の使用感を聞くことも多々あります。
彦坂:身近なところにいる人の声はとても参考になります。社内の子育てメンバーに日々の子育てやコドモンの使用感について気軽に聞けるのは大きいです。
保護者からいただく実際の声としては、「連絡帳をアプリでささっと書けるのは便利」「写真なども添付されて子どもの様子がわかりやすい」といった具合に、アプリで報告や連絡が完結している点に良い評価をいただくことが多いです。
多様性に対応する「あって当たり前」のインフラに
ーー保護者側にはコドモンをどんな風に利用してほしいですか?
彦坂:お子さまを持つ保護者にとって、コドモンが生活の中で高い頻度で使う「あって当たり前」の存在になって、今まで大変だったことや手間がかかっていた部分を解消できたらと思います。いい意味で「生活に溶け込んで意識しないもの」になってほしいと思っています。
小塚:保護者の方からいただいた声の中で強く心に残っていることがあります。「コドモンを利用していて(パートナー同士)お互いに子育てに参加し協力する感覚が強まった」という声でした。
コドモンでは、お子さまの送り迎えをした際に登園降園などの時間を記録し、任意の登録者へ通知します。通知を通じてその日に送り迎えを担当したパートナーの動きが分かるんです。いわば子育てに関する「情報共有」がコドモンを通じて実現したことで、家族で協力したり報告したりのコミュニケーションが増えたようです。
このように、保育・教育施設と保護者だけではなく、家族間でも子育てが楽しくなって、アプリを見るのが楽しみになるようになってほしいですね。
ーー最後に、コドモンはどのような存在を目指していますか?
彦坂:安全・快適に使える、生活に根ざした存在になりたいです。
インフラとして広まっていく中で、多様なユーザーの細かなユースケースもケアして安定したサービスを提供していきます。
コドモンは、子どもを取り巻く環境をよりよいものにすることが目的のシステムです。テクノロジーを駆使して保育・教育施設職員・保護者のコミュニケーションや業務、作業をスムーズにしていけるようにどちらにとっても使いやすいアプリを目指しています。
そのためにも開発チームは機能改善、運用面でも整備を重ねていき、インフラを担うアプリとして着実に改善していける環境づくりをしていきたいです。
小塚:実際にアプリに携わる中で、子どもを取り巻く環境は年々変化していると感じています。中でも多様性を慮るインクルーシブな観点が必要だと強く考えています。
家庭環境や家族構成などはもちろんのこと、日本語や日本文化に馴染みがない場合や、家族以外の方が迎えに来る場合など、さまざまなケースに適応しているインフラとして利用していただけるよう成長していきたいです。
相棒アプリ部門受賞「CoDMON(コドモン)」について
コドモンは、保育園や幼稚園、学童、小学校、中学校等のこども施設で働く先生と保護者に対して、子どもたちと向き合う時間と心のゆとりを持っていただくための各種支援ツールを提供するSaaS※1です。施設向けの機能として、一元化された園児情報の上で成長記録や指導案などをスマートに記録する機能をはじめ、登降園管理やアプリを使った保護者とのコミュニケーション支援機能など、先生の業務負担を省力化しながら、保育の質を高める環境づくりの支援をしています。シフト作成機能や、ベビーセンサーなどのIoTデバイスとAPI連携するなど、園内のICT/IoT環境を統合管理できるソリューションも提供しています。保護者向けの機能としては、専用アプリを通して施設との連絡機能のほかこどもの成長管理や写真アルバム、保育料の支払い支援といったサービスを展開しています。
※1 SaaSとは、ネットワークを通じて顧客にアプリケーションソフトの機能を必要に応じて提供する仕組みのこと
CoDMON サービスについて・アプリダウンロード
サービスHP:https://www.codmon.com/
保護者向けアプリ:https://www.codmon.com/parents