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ユーザーの”定着度”が分かるリテンション率データでアプリの特徴を読み解く方法

フラーはこのほど、アプリ分析サービス「App Ape」で蓄積するモバイルデータを活用し、アプリをインストールした後の「リテンション率(継続率)」を推計する新機能「リテンション分析機能」を追加しました。これまでベータ版だった同機能を本格実装した形です。

リテンション分析機能を使うことで、実際のどのようなインサイトが見えてくるのでしょうか?実際のデータをもとに解説します。

”リリース後も使われるアプリ”を測るリテンション率

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リテンションとは、アプリのマーケティング・ビジネスでは「ユーザーが対象アプリをどれくらい継続して利用しているのかを見る指標」と定義できます。

アプリをスマホにインストールしてから1日後、7日後、14日後、30日後などといった区切りでアプリのリテンション率をモニタリングすることで、ユーザーのアプリを使ったユーザー体験が良好かどうかを計ることができるからです。

”ロイヤルユーザー”と呼ばれるコアな使い方をするユーザーの蓄積がうまく言っているかどうかや、ユーザーにとってのアプリのプレゼンス(存在感)が高まっているかどうかなど様々なユーザーの満足度や成長度合いを推測するためのデータにもなります。

これらのデータは、広告施策やマーケティング施策などで予算規模や投資額の上限などの算出根拠としても活用が期待できます。

なぜリテンションが重要なのか?

 アプリはローンチ後のアップデートでユーザーに継続して利用してもらうための施策を機動的に打ち出せるだけに、「インストールされてからがスタート」です。ユーザーのいわば健康度・健全度・状態・ステータスを計る上で、リテンションは欠かせない指標です。

 ユーザーの理解や熱中度を測る一つの指標である「リテンション率」は通常、自社のアプリのみ把握可能なものです。

 フラーはApp Apeで蓄積するスマホのデータを生かし、さまざまなアプリのリテンション率を独自に推計する方法を開発。ユーザーからの評価をデータに反映することでより多くの方に使われる指標の創出を目指そうと、このたび「リテンション分析」機能を公開しました。

↓↓リテンション分析機能を含むApp Apeの詳細についてはこちらから↓↓

リテンション分析機能で分かる2つのデータ指標

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(App Apeのリテンション分析機能の画面イメージ)

 App Apeのリテンション分析機能では、下記の2種類のタイプのリテンション率を提供しています。

・インストールベース
対象期間内に、アプリを新規インストールしたユーザーを元にしたデータ
です。インストール後、アプリ起動をしないユーザーがいるため、初日、初週、初月の数値は100%にならない場合があります。機種変更時のインストールや、リワードなどのリテンション悪化要因を加味した分析が可能です。
・インストール&起動ユーザーベース
対象期間内に、アプリを新規インストール後、起動したユーザーを元にしたデータです。アプリをインストールして起動した初日、初週、初月の数値は必ず100%になります。対象期間中に、アプリをインストールして、1度も起動しなかったユーザーはデータの対象になりません。初回起動ユーザーを元に分析しますので、アプリの品質を比較するなどの用途により適したデータとなります。

 データはGooglePlayのカテゴリ毎に表示。カテゴリごとの傾向や、同じカテゴリ内のアプリの比較ができます。対象期間を月間データに設定するとい各アプリの詳細画面で性年代別のリテンション率も確認できます。

 データは毎日更新しており、常に最新のデータを見ることができます。

当日のリテンション率は66.1%

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実際のリテンション分析機能で2021年3月のインストールユーザー数上位500アプリの平均リテンション率は以下の通りとなりました(数値は全てAndroid)。

▷当日:66.1%
▷1日後:27.3%
▷2日後:19.6%
▷3日後:16.6%
▷4日後:15.0%
▷5日後:13.4%
▷6日後:12.5%
▷7日後:11.9%
▷14日後:8.2%
▷21日後:6.9%
▷30日後:5.7%

(App Ape推計、対象はAndroid)

データからは30日経過した後もアプリを起動するユーザーは6%に満たないことなどが見えてきます。運営するアプリのリテンション率のベンチマークとして活用ができそうです。

リテンション率はアプリの目的や性質によって細かくカテゴリー分けを指標を算出することで、対象とする業界や分野の大きなサイクルが見えてきます。

たとえば、ショッピングカテゴリーのうち、ECを主要な機能とするMAU上位5アプリの平均リテンション率は下記の通りです。(21年3月、対象アプリは「Amazon ショッピングアプリ」「楽天市場 ショッピングアプリ」「メルカリ」「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク!」)

▷当日:72.4%
▷1日後:39.1%
▷2日後:25.7%
▷3日後:24.5%
▷4日後:20.7%
▷5日後:20.1%
▷6日後:17.5%
▷7日後:16.1%
▷14日後:11.6%
▷21日後:10.1%
▷30日後:7.7%

(App Ape推計、対象はAndroid)

全ての項目で平均を上回っており、ECを通じた購買がユーザーの継続的な営みとなっていることがわかる一方、全体の傾向に近い形であることが分かります。

一方、ショッピング系の中でも実際の店舗で利用することが多い実店舗系MAU上位5アプリは下記の通りです。(21年3月、対象アプリは「UNIQLOアプリ」「ヤマダデンキ ケイタイde安心」「カインズ」「ビックカメラ」「ヨドバシ」)


▷当日:75.7%
▷1日後:20.2%
▷2日後:12.5%
▷3日後:8.5%
▷4日後:10.6%
▷5日後:4.9%
▷6日後:5.7%
▷7日後:7.4%
▷14日後:5.7%
▷21日後:5.5%
▷30日後:3.3%

(App Ape推計、対象はAndroid)

数値を見るとインストール当日の起動率が高いことに加え、4日後や7日後に上昇していることが読み取れます。

分野や業種のリテンション率から得られる”示唆”

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これらの特徴的な動きは、MAU上位5アプリのマーケティング施策への考え方によるものが大きいと筆者は見ています。

例えば、当日の高さは、多くのアプリがインセンティブとしてのポイントシステムを採用していることが大きいと見ています。

カインズはインストールから4日目に、ビックカメラは7日後と14日後に、ヨドバシは6日後と7日後にリテンション率がそれぞれ一定程度上昇します。顧客との接点を創出するためのプッシュ通知や何らかのマーケティング施策が影響していることが想像できます。

このように、さまざまな分野や業種のアプリのリテンション率を見ることで、顧客接点の創出やマーケティング戦略の立案などさまざまな施策や意思決定のヒント得ることができるのです。

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