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「なくてはならない存在に」伝統行事とスマホアプリが叶える、本当のデジタル推進

日本三大花火の一つである、長岡大花火大会(以下、長岡花火)。 
そんな長岡花火のために、大会主催の長岡花火財団とフラーが創った長岡花火公式アプリは、大会当日に10万人以上の方々にご利用いただくほどの人気アプリへと成長し、2018年のリリースから今年2022年で運営5年目となりました。

iOS:
https://nagaokamatsuri.jrn.io/i?ct=fuller_press_20220720&referrer=utm_source%3Dfuller%26utm_medium%3Dpress%26utm_campaign%3Dfuller_press_20220720

Android:
https://nagaokamatsuri.jrn.io/g?ct=fuller_press_20220720&referrer=utm_source%3Dfuller%26utm_medium%3Dpress%26utm_campaign%3Dfuller_press_20220720

2022年8月現在、主な機能として以下の5点を搭載しています。

  • 花火大会までのカウントダウン機能

  • 花火のプログラムやチケット販売などの情報を表示する大会案内機能

  • 会場の施設位置(トイレや駐輪場、喫煙所やAEDなど)や駐車場の混雑状況とともに、現在地や目的地を表示するマップ機能

  • 各種のお役立ち情報や災害などについての緊急速報を、メッセージとして随時お届けするプッシュ通知機能

  • 花火職人の皆さまやスポンサーの皆さまへ感謝を伝えるセレモニー用の、ライトアップ機能「なないろライト」

リリース初年当時、花火大会のような伝統的かつ短期間のイベントに専用アプリが作られることは少なく、2022年現在、そういったものが5年間も継続アップデートされ続けている例もまた、珍しいと言えます。

そこで今回は、長岡花火とフラーという伝統イベントとIT企業が歩んできた5年間を、一般財団法人 長岡花火財団(以下「長岡花火財団」)・総務企画課 主任の青柳様と、フラー・長岡花火公式アプリ担当ディレクターの宮﨑で振り返りました。

⸺長岡花火公式アプリも今年で運営5年目となりました。開発初期は、率直にどのようなお気持ちでしたか?

青柳(長岡花火財団・総務企画課 主任 ):
長岡花火公式アプリを創り始めたのは、フラー社長(現会長)の渋谷さんから熱烈にご提案いただいたことがきっかけです。

花火大会会場というのは、一度にたくさんの方々がご来場くださる関係上、電波が掴みにくいなどさまざまな課題があります。ですので、わたしたち運営側としては、アプリ創りを含めたデジタル化を進めることで、それらを解決できればいいなという期待がありました。

ただ当初は正直、花火大会とアプリというのは、ちょっとうまく結びつかなかったところもあります。それから、アプリは創って終わりというイメージもあったので、フラーさんとこうして長くお仕事していく関係になるとは、当時やはり我々としてはあまり思い描けてはいなかったかなと。

わたし自身は開発当時、まだこの現場にはいなかったのですが、前任者に聞いた限りでは以上のような状況だったようです。

⸺現担当ディレクターの宮﨑さんも、途中からこのアプリのプロジェクトに入りました。外側から長岡花火公式アプリを見ていたとき、印象はいかがでしたか?

宮﨑(フラー・長岡花火公式アプリ担当ディレクター):
わたしは元役所勤めの人間なので、財団さん側に感覚は近かったですね。
だからこのアプリを知って、このプロジェクトに入ることになってまず、「継続されていることがすごい」と感じました。こういうものって結局、単発で終わってしまうことが少なくないので。

アプリや、延いてはデジタルの力を大切なものとして捉えていただいているからこそ、続けていけているんだなと思います。

青柳(長岡花火財団・総務企画課 主任 ):
財団側としても、アプリを運営する中でデジタルの力に色々な可能性を感じていますし、さらにフラーさんからは「こういう案はどうですか?」と、常に先のことについて考えてくださる様々なご提案を、折に触れていただいています。
だからこそ、止まることなくずっと続けていけているのだと思います。なにより、前に進んでいる実感がありますし。

実際に2019年大会会場で使用した際の写真。花火が始まるまで、あと40分

今ではすっかり、長岡花火にとって公式アプリはなくてはならない存在です。非常にありがたく思っています。

⸺公式アプリを企画・運営していく中で、伝統行事とITについて、どのような可能性を感じられていますか?

青柳(長岡花火財団・総務企画課 主任 ):
ひとくちにデジタル化、DXと言っても、実際には本当に幅広いものなんだなと感じています。状況も流動的で、最近で言えばやはりコロナ禍前と後では大きく前提条件が変わり、ITの力に求められるものも変わりました。
ですので、伝統行事とITの掛け合わせについても、なにか絶対的な正解があるわけではないのかなと思います。

そんな中で一つ言えるのは、花火大会はいわゆるアナログ的、アナクロ的なところが多いので、そういった変わるべきところがデジタルの力で変わっていくのは、とても良いことだということ。一種の働き方改革にもつながる話でもあります。

具体的に長岡花火の例で言えば、アプリを有効に活用することでリアルタイムな情報発信・更新ができるようになったのが、とても大きいことだなと思っています。

2019年のお知らせプッシュ通知。観覧席の状況や観覧時の諸注意に加え、
交通規制の案内や駐車場の混み具合も配信

花火大会はご来場者様にお伝えしたい情報が都度都度出てくるものなのですが、今までは紙ベースが多く、どうしてもある程度事前に決められた内容しかお届けできませんでした。

それがアプリのおかげでプッシュ通知でお伝えできたり、表示される情報をすぐに入れ替えられたりと、リアルタイムでの対応が可能になったのは、わたし個人としてはデジタル化の恩恵を強く実感する点の一つですね。
なによりご来場者様のためになりますし、わたしたちとしても締め切りに追われてバタバタしなくて済むようになった、というか(笑)

そしてこういうことは、アプリが単発では終わらず、毎年毎年アップデートを重ねながら継続されているからこそ、しっかり運営の中に新たなやり方として根付いたのだと思います。

宮﨑(フラー・長岡花火公式アプリ担当ディレクター):
『長岡花火』は財団さんの運営するイベントであるのと同時に、地元の方たちが持つ文化でもあります。長岡花火財団さんが公的機関であることも考えると、本当に多方面に種々の配慮をする必要があって、やはり様々な制約をお持ちかなと思います。

そんな中で財団さんは、わたしたちフラーの提案に非常に柔軟に対応してくださっています。アプリが現在のように継続され、発展してきたのは財団さんのこの姿勢あってのものだと、いつも感謝しきりです……!

青柳(長岡花火財団・総務企画課 主任 ):
いえいえ、こちらこそ!
こうして、せっかく良いものづくりのための仕組みを継続できているので、わたしとしてはこの形をなんとかずっと続けていけるよう、手を尽くしていきたいと思っています。

⸺現在、長岡花火について、アプリの開発に限らずさまざまな面をフラーにお任せいただいていますが、その理由にはどういったものがありますか?

宮﨑(フラー・長岡花火公式アプリ担当ディレクター):
まずフラー側のスタンスのお話をすると、開発メンバーはみんな新潟や長岡が大好きです。

そもそも、かつてフラーの社長(現会長)がこのアプリをご提案に行ったのも、「長岡に恩返しがしたい」といった気持ちからです。

ですので、開発だけで終わるという発想が、逆にないというか。できることはすべてやりたいという気持ちなんです。おこがましい話ですが、自分たちのことは勝手に「長岡花火のデジタルチーム」だと捉え、自分ごととしてお仕事させていただいています。
そして、技術だけではなく、このような地道な活動こそが伝統行事や地域と一緒に仕事をさせてもらう上で非常に重要になってくると考えています。

青柳(長岡花火財団・総務企画課 主任 ):
そう思っていただけるのがすごく嬉しいですよね。
花火財団はデジタルに強い人が多いわけではないので、フラーさんのような方々がそばに居てくださるのは、とても心強いです。

実はフラーさんとは、今年の4月より長岡花火オフィシャルパートナー協定も締結させていただきました。元々アプリ開発をはじめ、プロモーションムービー制作などデジタル周りのさまざまなことに携わっていただいていましたが、こうしてオフィシャルパートナーとなれたことで、より継続的な関係を築ける形になったかなと思います。それは本当に、とても良いことだなと。
フラーさんが一般的な開発会社さんと違うのは、運営目線・当事者目線で色々な情報を自ら取りに来てくださること。

ゴミ拾いに参加するフラーメンバー

たとえば、フラーさんは大会期間中の早朝のゴミ拾いにもご参加くださっているのですが、そうすることで「花火大会の朝の会場はどうなっているか」の実態を、自分の目で見て知ってくださる。

そういうことが積み重なると、「いや、こういう相談をしても実態をご存知ないからあまり意味ないか」というためらいがまったくなくなって、どんなことでもまず相談してみようという気持ちになる。これが、やはり大きいと思います。
わたしにとってフラーさんは、とても相談しやすい存在になっています。

⸺3年ぶりの開催となりましたが、大会前日はどのようなお気持ちでしたか? また、今年の長岡花火にはどのような想いをお持ちでしたか?

青柳(長岡花火財団・総務企画課 主任 ):
3年ぶりの開催、つまり2年もやれていないのは初めてのことだったので、どうなるかなという不安はありました。ですが、ここを乗り越えたら、長岡花火にとってまた新たな一歩になるんじゃないかなという期待もありました。二つの気持ちが入り混じっている心持ちでしたね。

このポスターの話をすると、今年はやはり特別な経緯があっての開催ということで、ちょっとインパクトのあるものにしようという狙いがありました。
ご覧になっていただいてわかる通り、花火が写っていないんです。

花火大会は正直、全国にたくさんあります。花火って、夏はどこでも上がると言えばそうですよね。
ですが、信濃川河川敷のこの景色は、長岡の8月2日、3日にしか現れません。3年ぶりの花火大会、まずはこの会場のこの景色をまた作ることを目指していこう、またこうなって欲しいよね——そんな気持ちを、今年のポスターには込めたんです。

この景色を作るためには、ご来場くださる皆様の感染症対策含め、様々な方々のご協力が不可欠です。だからこそ花火そのものではなく、「花火を待つ人たち」という、この景色にフォーカスしました。

また、この夕暮れは花火開始1時間前くらいなのですが、裏テーマとして、この後に日が沈んで真っ暗になったとき、思い描く通りの花火をこの空に描きたいなという願いも込めています。

こういったポスター自体も、長岡花火ならではかもしれないですね。多くの大規模花火大会とは違って競技花火ではない長岡花火では、花火そのものではなく、そこに込めた想いこそが一番のテーマになるんです。

宮﨑(フラー・長岡花火公式アプリ担当ディレクター):
このポスター、フラーの社内でもすごく好評です! 社長の山﨑は非常に感銘を受けて、社内Slackに「これの意味するところがわかるか!」という熱い投稿をしていました(笑)

フラーとしてはこの2年間、大きな開発こそできなかったものの、開催に臨むためにアップデートを続けてきました。花火の公式動画への導線を作ったり、フォトギャラリーの機能を入れたり、それこそ中止が決まった当時には、「来年こそは!」という思いを込めて花火までのカウントダウン機能を“来年の花火へのカウントダウン”に改修したり。
開催を待ち望む方々へ、同じ気持ちを持つ者として、なにか届けたかったんです。

とにかくこの2年間、ずっと開催を待ち望んでいました。だから、今年の開催は本当に嬉しかったです。

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