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「この機能があって本当によかった。」 筑波山登山アプリ開発でフラーのエンジニアが感じた、現地での発見が生み出す誰かのためになるもの創り

株式会社ARC地域研究センター、筑波大学芸術系の原忠信准教授、つくばトレイルガーディアンズ、株式会社ターバンとともにフラーが2021年11月にローンチした筑波山登山アプリ「Mount Tsukuba」は、筑波山登山をもっと楽しく安全にするアプリです。

アプリ開発のプロジェクトをすすめる中で、実際に企画や開発を手掛けたフラーのメンバーはどのような思いをもって取り組んだのでしょうか。

「ヒトに寄り添うデジタルを、みんなの手元に。」をミッションに掲げるフラーで、デジタルパートナーとして実際にものづくりに取り組むメンバーがそれぞれのプロフェッショナル領域や興味関心をもとに綴りました。

今回の記事を書いたのは、「Mount Tsukuba」の開発を担当したエンジニアの渡邉雄大です。どうぞご覧ください。(編集:氏川有紀・日影耕造)

渡邉雄大(エンジニア)
プロフィール:1992年、千葉県生まれ。2019年11月フラーにiOSエンジニアとして入社。入社以降は主にアウトドアメーカーのアプリ開発に従事。「誰かを笑顔にするモノ」を「楽しみながらつくる」ことを意識してアプリ開発に取り組む。趣味のアウトドアを通じ社内に登山部を作り、部長として月に1回程度の山行を開催。筑波山の横にある宝筐山から望む筑波山は、2つの峰が綺麗に見えて気に入っている。

“当事者”としてアプリに関わる喜び

女体山の山頂から眼下をの景色を望む

今回一緒にアプリを作成したつくばトレイルガーディアンズは、理念として「3つのS」(セーフティ(安全)・サステナブル(保全)・シェア(共有))を掲げています。

この「3つのS」を実践するため、つくばトレイルガーディアンズは筑波山の登山道整備やパトロールを日常的に行っており、今回作成したアプリも「3つのS」を実現するための取り組みの一環として作られています。

このアプリの開発をすることは、誰かのためになるものを作りたいと思っている自分にとって、とても嬉しいことでした。

さらに、自分は月に1回程度、フラーの登山部メンバーと一緒に登山をしています。特に筑波山は柏の葉キャンパスから近く、何度も利用しています。

そのため、自分が利用者の立場に立ってどのようなアプリを作成するか、筑波山登山を楽しむ当事者として検討することができました。

限りあるリソースと期間内で実現可能な方策を検討

筑波山登山体験をするフラーのメンバー

今回のプロジェクトは、茨城県が推進する「DXイノベーション推進プロジェクト」の一環であることから、アプリ開発における条件として限りのあるリソースの中で期間内、つまり行政の年度内に実現が可能なものを目指す必要がありました。

プロジェクトメンバーと話し合い、リリース後の運用方法や費用について考えた結果、サーバーを持つ必要がない上に多くの機能を管理画面上で扱えるFirebaseを活用したサーバレスアプリを作成することにしました。

渋滞解消につながる機能を考える

筑波山に設置したビーコンポイント

筑波山はハイシーズンには登山客の渋滞が起きるほど人気の高い山です。

具体的には、筑波山には登山道が多数ありますが、利用コースの偏りによって渋滞が発生しています。

本プロジェクトでは、この登山客による渋滞を解消するための機能が求められました。

この課題を解決するため、それぞれの登山道にどれくらい利用者がいるのかを計測する機能を考え、アプリに盛り込むことにしました。

登山者数の計測にはGPSトラッキング情報の活用を試みましたが、同じような機能のアプリは「YAMAP」を代表として数多く存在しています。

差別化してユーザーに利用してもらうため、Bluetoothを活用したビーコンによって登山者数を計測するためのアプリの作成を検討することにしました。

GPS以外の計測方法を採択することで、YAMAPのようなGPSのトラッキング情報を活用した類似アプリとも並行して使用できるようにすることも念頭に置きました。

いつもと違う環境でも使える設計を

プレゼントの缶バッチとオリジナルミネラルウォーター

ビーコンの活用にあたっては、登山コースごとにビーコンを設置してアプリで反応する機能を考えました。

しかし、今回のユースケースは山の中です。通常のアプリ開発ではあまり考えないような、電波が不安定な場所でも利用できる必要があります。

この課題に対しては、Firestoreのオフライン機能を利用することで対応しました。ネットワークが一時的に切断されてもアプリが通常通り機能するというメリットがあるからです。

Firestoreのオフライン機能の利用によって、山頂でペットボトルの水と引き換えられるクーポンの利用や、缶バッジをプレゼントするためのチケットの発行も可能になりました。

オフラインの環境でも利用できる一方、登山届はオンライン環境下でしか提出できないようになっています。

今回のプロジェクトは警察と連携しています。アプリから提出した登山届は、茨城県警察に共有され、万が一の時の救助活動に使用されます。

もし、ユーザーが登山届を出したつもりで提出されていなかった場合、救助に向かえないかもしれません。

こういったミスを防ぐために、オンライン環境下でのみ提出できるような機能を実装しました。命に関わるものなので、注意して開発した部分でもあります。

活動を継続的に続けられるために

完成したアプリの姿

非営利団体であるつくばトレイルガーディアンズの活動や本アプリの運営を含め、筑波山の「3つのS」を継続して実現していくため、今回のアプリにはサポート機能(チップ)を実装することになりました。

当初はiOSアプリ内でApplePay経由でのサポート機能を試しましたが、利用するには「ApplePayでの承認」が必要で、この承認を取るのに時間と手間がかかってしまうのではという懸念がありました。

そこで、ApplePay経由は断念し、アプリ内課金を用いてサポート機能を実装することにしました。

この機能は今回のアプリの機能の中でも“ヒット“した機能です。ありがたいことに、アプリがリリースされてから多くの方にご支援をいただいています。アプリを通じて「3つのS」にあるサステナブル(保全)に貢献できたと感じます。

さいごに

プロジェクトメンバーのターバンが運営する、筑波山土産と山雑貨を扱うショップ「BASE877」に立ち寄るフラーのメンバー。筑波山中腹に位置し、Mount Tsukubaアプリの特典交換所でもある

フラーのミッションは「ヒトに寄り添うデジタルを、みんなの手元に。」であり、自分たちで作ったアプリを実際に利用するユーザーの立場で触ってみることが推奨されています。

自分もリリース後に筑波山へ訪れて、ユーザーとしてアプリを体験しました。

すると、作っている時は感じられなかった「もっとこうすれば使い勝手がよかったのかもしれない」「この機能があって本当によかった」など、現地で使うことで得られる発見がとても多くありました。

誰かのためになるものを作ろうと思っている自分にとって、この発見が、もっといいものを作ろうと思える原動力になっています。

筑波山登山アプリ「Mount Tsukuba」を手掛けた、ほかのメンバーの記事もあります。ぜひご覧ください。

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