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「このアプリは自分が作った」と感じる、フラーの開発現場 〜「common」チーム記事エンジニア編〜

東急株式会社が手がける「common」は、街への貢献の場を通じてご近所さんとの共助関係を生み出し、より良い街をみんなでつくるサービスです。

2023年1月現在、以下の2つの機能をメインに提供しています。

・街の情報や、困りごと・相談を共有する「投稿機能」
・ご近所さんと不要品を譲り合う「譲渡機能」

この「common」において東急株式会社と共同開発を行ったフラーは、単にアプリの開発だけでなく、効果的なアプリの改善や施策を行うためのデータ分析から、プロダクトをユーザーに広めるためのプロモーション施策の企画提案・デザイン物制作まで、幅広い領域で戦略を共に検討。業務全般で伴走し、プロジェクトを進めています。

その中で、実際にエンジニアリングやデザイン、ディレクションを手掛けたフラーのメンバーは、どのような思いをもって取り組んだのでしょうか。

今回は、「common」のAndroidアプリ実装を担当したエンジニアの秋田 浩孝が、開発への思いやその魅力を実例を交えて語りました。

秋田 浩孝(あきた ひろたか)
1993年生。岡山県出身。国立津山工業高等専門学校専攻科卒業後、システムエンジニアを3年ほど経験。津山高専時代のインターンシップの繋がりから2018年にAndroidエンジニアとしてフラー株式会社に入社。現在はAndroidユニット長兼統括マネージャーとして活動。

レベルの高いデザイナーとの開発

commonアプリの開発開始は2020年。当時、新規アプリのメイン開発担当を受け持って改めて感じたフラーの強みの一つが、デザイナーのレベルが高いということでした。

アプリエンジニアとしてデザイナーと開発を行なっていると、「こうした方が開発しやすいのに」「こうした方がユーザビリティがいいのに」といった不満が募ることが往々にしてあります。

フラーではこういったことが起こらないよう、デザイナーとエンジニア間のコミュニケーションを大切にしており、気軽にSlackなどでデザイナーにエンジニアからの依頼を伝えることができる雰囲気があります。

また、逆に実装途中のアプリを見たデザイナー側から細かいデザイン修正依頼などが来ることもあり、こういったコミュニケーションの活発さがアプリ自体のクオリティ向上にもつながっています。

最初に「デザインのレベル」とせず「デザイナーのレベル」と書いたのは、フラーのデザイナー陣には、デザインのみならずこうした「コミュニケーションの取りやすさ」や、それ以外にも「実装に関する知識」「デザインシステムに関する知識」などのスキルを持っているメンバーが非常に多いからです。

例えば、アプリエンジニアは「Android、iOSどちらかのデザインのみが作成され、もう片方のデザインが全く作られないまま開発を進めなければいけなくなる」という悩みを抱えがちです。デザイナーのリソースや期日などが要因でどうしようもない場合が多く、こうなってしまうとデザインが作られなかった側のエンジニアは、自身の知識だけをもとにOSに合った開発を進めることになります。

その点フラーでは、(大手の自社開発のように、両OSのデザインを完璧に用意するところまではできていないのが現状ですが)片方のOSのデザインが全て作られた後、もう片方のOS用に合わせて最適化されたデザインも、きちんとデザイナーが作成してくれます。

また、フラーのデザイナーは、各OSのデザインガイドラインについてもデザイナー勉強会などを通して事前に知識を身につけてくれているので、エンジニア側から最適化をしてほしい箇所の依頼をする場合などでもコミュニケーションを円滑に行えます。

当然のことながらデザイン自体のレベルも高く、マージンの細かい指定やコンポーネント化、タップエリアの指定など実装に配慮したデザインシステムの作りになっているため、実装自体もストレスなく進めることができています。

フラーでは「プロダクトメンバーの誰かがUI,UXに不満を持ったまま開発を進めてしまうと、最終的に本当にいいものはできない」と考えていて、開発に関わる全職種で納得いくまでデザインや体験を突き詰めます。

最終的にはQCDのバランスを取ることにはなりますが、それも全職種がコミュニケーションを交わしながら最終的な着地点を見出すので、納得感を持って進めることができます。

クライアントワークの魅力

クライアントとのミーティング風景

突然ですが、エンジニアにとってクライアントワークに携わるメリットとはなんでしょうか。

クライアントワークと聞くと、世間一般的には「すでに決められている要件・仕様に沿って作成するだけの作業」「納期が短い」「予算が限られていてやりたいことができない」など、マイナスのイメージが強い気がしています。

一方でフラーでは、納期や予算に関しては案件によってまちまちですが、要件・仕様についてはエンジニア含めて最上流から入ることが多く、commonアプリでも常に要件定義段階から同席させていただいていました。

現在実装されている譲渡機能(後述)なども、東急様と次の機能は何にするかの会議を何度も重ねながら決定を行い、その際にエンジニア観点で提案をしたり実現可能性の検討などのお手伝いをさせていただいたりしています。

要件定義の段階から入ると、開発と提案の頭のスイッチングや技術の事前調査など大変なことも多いですが、その分「自分が作ったアプリ」感がとても強くなり、アプリを作っていてどんどん楽しくなっていくので、これはフラーで開発を行う魅力の一つでもあるなと感じています。

また、幅広いお客様から案件をいただいており、その案件ごとに新しい技術要素に触れることができるという点も魅力の一つです。

私自身、入社してから5年ほど経ちますが約10ほどの案件に携わらせていただいており、全ての案件で何かしら触ったことのない技術に触って学びを得られているなと感じています。

もちろん私が関わっていない案件もありますが、別のメンバーが学んだ技術をAndroidチーム内勉強会やエンジニア全体の勉強会で共有してもらうことで、実際に開発をしていない技術知識にも触れられるような環境でもあります。

例えば、今回のcommonアプリではeKYC周りの技術に初めて触れる機会となりました。

commonアプリでは、譲渡と呼ばれる機能があり、使わなくなったものや余ったモノなどを街の誰かに譲ることができます。この機能では実際にユーザーが対面で会ってものを受け渡すこともあり、ある程度相手が信頼できるユーザーなのか、どういった身元の人なのかなどがわかるようにしなければなりません。この身元の保証のために、何かしらのeKYC認証を利用する必要がありました。

当時はeKYCにどういった方式があり、実装もどのように行ったかよいかわからない状態だったため、初めに行ったのはeKYCの実装方針の調査でした。

調査の結果、自社で1から作成するのはハードルも高く法律的にも厳しい部分が多いということがわかり、外部のSDKを利用する方針に落ち着きました。

そこから、実際に使うSDKの選定やどの認証方式を導入するかなどをディレクターやデザイナーと一緒に検討し、要件を定義していきました。

こうしてメンバーと一緒に実現可能性を探っていく中でeKYC自体にも詳しくなりましたし、どういった仕組みでマイナンバーカードや運転免許証を使った認証が行われているのかといった深い知識をつけることもできました。

こうした案件特有の技術知識を学ぶことができ、さらにはその技術に関してどの手法を使って実現するかをメンバーと会話しながら主体的に決めることができる環境が、フラーにはあります。

チームでの体験

東急線沿線に足を運び、企画を検討するメンバー

フラーのデジタルパートナー事業はクライアントワークでありながら、アプリの利用データを元にしたユーザーニーズの分析を行なったり、アプリをメンバーが実際に利用・体験しアプリの機能にフィードバックをするなど、自社開発と同じようなアプリとの関わり方をしています。

commonアプリでは毎月、クライアントを含めたプロジェクトメンバーでさまざまなアプリの利用データを見る会を設けています。

この会では例えば、投稿の閲覧数や投稿のありがとうをもらった数のランキングを確認することで、実際にどういう投稿が見られていて、その投稿たちの傾向はどういったものがあるのかなどを分析します。そこから次の施策の検討材料につなげたりすることもありますし、投稿の内容が単純にチームのモチベーションになったりもします。

画像がある投稿はよく見られているから複数の画像投稿を可能にした、など実際に利用データの分析からアプリの機能にまで落とし込まれたものもあります。

また、リリース後は実際にアプリが使える現地へ行って、ユーザーとして体験することも頻繁に行っています。

commonアプリは現在(2023/1/30時点)東急沿線全域に展開していますが、フラーのオフィスは柏の葉(つくばエクスプレス沿線)にあるため、本番の環境を使うには東急沿線まで移動する必要があります。

ですが、リリース直後には該当の地域に1週間程度宿泊して実際に街を回りながら利用体験をメンバーで行ったり、エリア拡大後は拡大したエリアの駅をメンバーで巡りながらどういった投稿がされているか、どういったものなら自分が投稿したいと思うかなどを肌で感じ、積極的に機能へフィードバックを行ったりしています。

こうした体験からも、自分の作ったアプリを身近に感じながら開発・改善を続けることができ、エンジニアとしてモチベーション高く活動を続けることができると感じています。

街の「今」を作るアプリ「common」を手掛けた、ほかのメンバーの記事もあります。ぜひご覧ください。


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