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ハードオフ×フラー 両社トップ鼎談〜事業提携で描く未来とは?〜(連続インタビュー第1回目)

フラーは、リユース事業を全国で展開するハードオフコーポレーションと、11月24日をもって事業提携を結びました。

フラーはこれまでも、スマートフォン向け『ハードオフ公式アプリ』のリニューアルや、『オファー買取アプリ』の新規リリース、店舗スタッフ向け業務システムの改善にポイント基盤の刷新、そしてデジタル領域のリブランディングなどを手掛けています。

改めて事業提携を結ぶにあたり、「フラーとハードオフの出会い」から「協業でのアプリ制作の手応え」「事業提携に至った理由」などについて、フラー代表取締役会長の渋谷、代表取締役社長の山﨑を交え、ハードオフコーポレーション代表取締役社長 山本太郎さまに、お話を伺いました。

なお、本記事は、ハードオフコーポレーション×フラーの今をお届けする連続インタビューシリーズの、第1回目となります。

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山本 太郎:株式会社ハードオフコーポレーション 代表取締役社長
1980年生まれ新潟県新発田市出身。新発田高校から早稲田大学に進学、卒業後は株式会社ファーストリテイリングに入社。小売のリーディングカンパニーで接客や店舗運営の基礎を学ぶ。2007年に㈱ハードオフコーポレーション入社後は社長室や経営企画室長を経て2011年常務取締役、2016年に副社長に就任。2019年4月からは代表取締役社長を務める。2020年からは新潟ベンチャー協会の代表理事として、若手起業家の支援にも積極的に取り組む。

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渋谷 修太:フラー株式会社 代表取締役会長
1988年生。新潟県出身。国立長岡工業高等専門学校卒業後、筑波大学へ編入学。グリー株式会社にてソーシャルゲーム最盛期にマーケティング事業に従事した後、 2011年11月フラー株式会社を創業、代表取締役に就任。2016年には、世界有数の経済誌であるForbesにより30歳未満の重要人物「30アンダー30」に選出される。2020年3月、新潟ベンチャー協会代表理事に選任。 ユメは世界一ヒトを惹きつける会社を創ること。

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山﨑 将司:フラー株式会社 代表取締役社長
1988年生。新潟県出身。新潟県立新潟高校、千葉大学工学部デザイン学科卒業。卒業後は、富士通にてBtoBプロジェクトのUIデザイナーを担当し、 国際的なプロダクトデザイン賞であるiF DESIGN AWARDを受賞。2015年3月にフラーに参画し、執行役員CDO(最高デザイン責任者 Chief Design Officer) 、執行役員COO(最高執行責任者 Chief Operating Officer)を経て、2020年9月代表取締役社長に就任。ユメは世界のデザインに対する価値基準の底上げをすること。

——山本社長とフラーの出会い、そして協業の始まりについて、お教えいただけますでしょうか

ハードオフ山本社長:
5、6年ほど前に、共通の知人を介して、渋谷さんにお会いしたのが最初です。
そのとき、ちょうど僕たちはスマホアプリを作ろうとしていた時期でした。なので、IT企業さんとお会いするということは、そういうお話にもなるかもなと思っていたのですが、当時のフラーさんはまだ、他社とのアプリ協業開発事業はされておらず。

それから少し経って、また別の方からの紹介でお会いする機会がありました。そのときはもうフラーさんも他社とのアプリ協業開発事業をされていて、一方、僕たちも僕たちで、すでにアプリをリリースはしていました。
ただ、実際に制作する中で見えてきた課題に、すこし悩んでいたタイミングでした。

 というのも、僕たちも勉強不足だったところがあり、どうやってアプリのプロジェクトを進めていけばいいのか、わかっていなかったんです。
なのでどちらかというと、開発会社さんが出してきてくださったものに対し、ちょっとコメントして返す……というような形になってしまっていました。"共に作っていく"体制にすることが、できていなかったんです。

 その点、フラーさんはスタンスとして『共創』を掲げていらっしゃいました。それが、すごくいいなと思って。
僕たちも、フランチャイズさんとの関係の中で、『共生』という考えを大切にしています。
共に創る、共に生きる——やはりそういう関係がいいなと思って、その価値観が一致するフラーさんとは、いいものを一緒に制作できるんじゃないかなと。

あとは、フラーさんに新潟愛があったこともポイントです。特に渋谷さんは、「新潟をよくしていきたい」ということを言ってくださっていましたね。

フラー渋谷:
偏った新潟愛がありまして……(笑)

——当時、スマホアプリを制作することについて、どのような想いがおありでしたか?

ハードオフ山本社長:
まず、僕たちハードオフは、普通の小売業ではありません。
リユースというところで一般的な小売業ではないし、そのリユースの中でも『ハードオフ』は、ある種の特別な位置づけにあると自負しています。

そんな僕たちが、今後10年20年と成長し続けていくためにはどうしたらいいか。
普通の小売業ならセオリーがあります。ECサイトを作って、そこでしっかり売る……というような。
一方で、僕たちは他にはないビジネスモデルなので、他にはない概念を作って生き残っていかなければいけません。

それこそ、近年定着してきたメルカリさんなどのCtoCのサービスにお客さんを取られてしまうのではと——結局、今思えば取られてはいなかったのですが、3、4年前あたりは特に、そんな強い危機感があって。
新しい概念や新しいもの、まだ世にないものを僕らが作り出していかないと生き残れないないんじゃないか、と。

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——当時、ハードオフさんからお持ちいただいた課題について、フラーからは、どのようなご提案をしましたか?

フラー渋谷:
ハードオフさんのアプリには、たくさんの側面が、言わばたくさんの「やりたいこと」があります。お店にチェックインもしたいし、ECにもつなげたいし、オファー買取も行いたい。
なので一番よく覚えているのは、このバランスをどう取っていくかが重要だな、と思ったことです。

また、僕たちがたくさんのことを学ばせていただいてこそいいアイデアが出てくるな、と感じたことも、同様によく覚えています。

たとえば、買取総数こそがものすごく大切だ、ということを山本社長から教えていただいたこともありました。正直その認識は強くなかったので、驚きましたね。
それから実際に、買取総数を増やすことの重要さを捉え直し、結果として、『オファー買取』という機能を切り出して、一つのアプリとしてリリースすることをご提案しました。(注1)

注1……最終的に、ハードオフのアプリは現在、
・チェックインとポイントカード、EC機能を持つ『ハードオフ公式アプリ』
・ユーザーの出品へ店舗が買取オファーを出す『オファー買取アプリ』
の2本としてリリース。

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(オファー買取アプリの、実際の画面)

また、ハードオフめぐり(注2)という文化についても、フラーの開発メンバーで体験しました。
カルチャーは必ずしも表面化していないので、こういったことは、実際に体験することが大切です。

注2……ハードオフグループの複数店舗をめぐって周ること。
リユースショップは店舗ごとに品揃えが異なることから、次々に店舗を梯子して楽しむお客様も多い。

ハードオフ山本社長:
フラーさんのメンバーの何人かは、「現場を知りたい」ということで、実際にお店で店員の業務も体験してくださいましたね。


フラー渋谷:
そういう経験があるかないかが、作るアプリの細かいところに影響すると思っています。
たとえば今日、こちらのお店に来て『ハードオフ公式アプリ』でチェックインしてみたら、「いい音を楽しんでくださいね」みたいなメッセージが出て。
こういうことなんだと思います、大切なのは。

毎回、山本社長と一緒にディスカッションをさせていただけたことがすごく大きかったなと思います。弊社の柏の葉オフィスにも、直接来ていただいて。
山本社長からは、まさに"本気"を感じました。

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ハードオフ山本社長:
僕たちの方も、ご一緒する会社さんを選び間違えると大変なことになってしまいます。なので、必ず本社(注3)には伺うことにしていますね。

注3……当時は柏の葉が本社。現在は、柏の葉と新潟の両方に本社を置く。

本社を実際に見て、いい会社かどうか、企業文化が合うかどうかをチェックするのは大切なことだと思っています。

少し繋がる話ですが、全国に900店舗以上展開させていただいている中で、ハードオフには「リアルの店舗が一番大切」という想いがあります。
アプリをリリースすると言っても、僕たちが今からITの会社になるわけではありません。
アプリに力を入れつつも、リアルの店舗を大切にするというのは、価値観として持ち続けていこうと思っています。

——フラーにご依頼をくださった、一番の決め手はどのようなところですか?

ハードオフ山本社長:
愛情でしょうか、やっぱり。
まだ会社として正式にお付き合いのない段階でそんなことを思うのもおかしいのかもしれませんが、そう思えるほど、「愛情を持って取り組んでくれそうだな」と感じたんです。
これは、僕だけではなく、うちのメンバーもみんな感じていたことです。
愛情量、熱量……そんな要素が一番の決め手ですね。


フラー渋谷:
いつだったか、フラーのメンバーみんなの前で、自分の中の新潟への愛といっしょに、「新潟県民にとって、ハードオフとはね……!」みたいな話をしました(笑)
新潟出身者も多くいますが、そうではないメンバーもたくさんいるので。ぜひ愛着を持って仕事をしてほしいなと。


ハードオフ山本社長:
それから、フラーさんは、こちらの案件の担当として付けてくださる方を、あまりコロコロ変えるような会社さんではなさそうだなと感じたことも大きいですね。

フラーさんは、いわゆる人の移動も激しいような渋谷や六本木などにオフィスを構えて事業を進めるのではなく、柏の葉や新潟などの地方に拠点を作って、そこでしっかりやっていくスタイル。都会の会社さんに比べれば、人の移動は少ない。
これは、とても理に適っていると思いますし、僕たちとしてもありがたいです。

フラー渋谷:
そう言っていただけるのはすごくうれしいです。
実際、フラーはかなり、長く働いてくれる人の多いIT企業ではあると思います。

——ハードオフさんから正式にご依頼を受けて、どうでしたか?

フラー渋谷:
僕の実家に一番近いハードオフさんは、新潟竹尾店さん。小さいころからよく知っているお店でした。家族も含めて普段から行くような馴染みのある場所であり、ブランド。
だから、すごくうれしかったです。

また、ハードオフさんは僕にとって、数ある新潟の会社の中でも特に『新潟愛』にあふれた企業さんです。
これから改めて新潟に拠点を構えてやっていこうという僕たちにとって、ご一緒できるのは、とてもありがたいことでした。

ハードオフ山本社長:
僕の新潟愛は、この場所への感謝から来ています。
かつて、ハードオフの前身の会社が潰れそうになって、でもハードオフになって生き伸びて……それが、新潟県新発田市という場所。
新潟じゃなかったら、できなかったことだと思います。新潟だから、そして新発田市だからできた。

新発田市は、人口が約十万人の都市です。十万人都市で成功するモデルって、全国どこでも成功するんですよ。僕らの本社が、たとえば新宿にあって、そこが一号店だったとしたら、今の発展はなかったはずです。
なぜかと言えば、新発田市のような十万人都市は全国のいろいろなところにあるけれど、新宿は新宿にしかないから。
だから、新発田市からじゃなかったら、今のハードオフはありません。

新発田のお店に全国からいろいろな方々が来て、そして街並みを見て、「これだったらうちの街でもできる」と思ってくださった。だから皆さん、フランチャイズをしたいと言ってくださったんです。

そういう背景があるので、新潟への感謝の気持ちは強くあります。

フラー渋谷:
そういったことはまさに、最近、ここ新潟に帰ってきた僕も強く感じます。
全国的に知られている会社さんってやっぱり、どこかに『根付いている場所』があるんだと思います。根を下ろしたそこから横に広がることで、全国ブランドになっている。

IT界隈は、そこが弱いと思います。みんな、とにかく東京に行っちゃうから。だから、東京以外の人には知られていないというケースもたくさんある。

僕たちは、新潟というのを一つ、大事な場所にしていきたいなと思っています。それは、自分の出身地であることを除いても。
新潟は、単純な地方というより、とてもバランスのいい"ちょうどよさ"のあるところです。
だから、さっき山本社長がおっしゃっていたように、新潟で成り立ったことって、全国的に成り立つんじゃないかなと思っていて。

ハードオフ山本社長:
新潟が"ちょうどいい"というのは、まさにそう!
新潟ってどこにも属さない場所で、東北でもなく北陸でもなく、関東でもなく、新潟なんです。
だからこそ逆に、新潟の成功事例というのは、どこでも使えると思っています。

フラー渋谷:
リアルとデジタルといった観点でも、新潟はやはりバランスがいいです。
新潟でバランスよく作れたモデルが、全国に広がっていく——それは、すごく理想的だなと思います。

ハードオフ山本社長:

地方こそがかっこいい時代がこれから来ますよね。今はちょうど、その入り口に着いたところなんだと思います。

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——実際に、共にプロジェクトを進めていっている中で、フラーとしてはどんな感触を持っていますか?

フラー山﨑:
フラーは、ハードオフさんのデジタル領域の改革をご一緒させていただいている——という認識でお仕事をさせていただいています。

先ほど渋谷からもありましたが、僕も、買取総数を増やせば増やすほど最終的には売り上げが上がるという話が、とても印象に残っています。
「適切に買い取り、欲しがっている方へそれを届ける自信」があるのだと、はっきり感じました。

そこから、まずは買取総数を増やすための施策として、『オファー買取アプリ』のプロジェクトを始めました。そして徐々に改善範囲を広げて、現在は、複数のプロジェクトを同時に走らせています。

関わっている人数で言えば、フラー側からはスポットで参加するメンバーも含めると、現時点で25人くらいは関わっています。
実際に手掛けているものとしては、ユーザー向けのアプリが2つ、お店のスタッフさん向けのサービスが2つ、それからポイント基盤の刷新と、デジタル領域のリブランディングです。
なお、それぞれのアウトプットについて、高い品質でユーザーに価値を届けることを特に注視しており、基本的には私が責任を持って最終確認をしています。

ハードオフ山本社長:
それぞれの分野に特化した会社さんはあるので、複数の企業とお付き合いしていく選択肢もあるのかもしれません。

ですが、僕たちとしては、フラーさんの「ワンストップでいろいろできる」というところが、非常にありがたかったですね。
説明も省けるし、関連性・一貫性があるというか、一本筋を通してお仕事ができるのでとてもやりやすいです。

——アプリだけだった最初のご契約から、フラーにお任せいただく領域は、どんどん広がりました。これは、どういった理由からでしょうか?

ハードオフ山本社長:
最初の『オファー買取アプリ』の手応えが非常によかったからです。

僕たちはもともと、5年前くらいの時点で言えば、IT化に乗り遅れた会社だと思っています。だから、フラーさんとご一緒し始めた当初は、アプリこそありましたが、白紙に近い状態でもありました。
逆に言えばそれは、いろいろと自由に描ける状態です。その状態でフラーさんとお仕事を実際に始めてみたら、すごく手応えがあった。

だったら、もうどんどん行きたいなと思ったんです。
僕もせっかちなので、早くやりたいんです、いいと思ったら。

——手応えがあったとおっしゃられた『オファー買取アプリ』は、違うアプリにあった機能を、新たなアプリとして切り分ける形でリリースされました。やはり、ハイリスクな意思決定でしたか?

フラー山﨑:
正直、提案する僕たちの方もすごく勇気が要りました……(笑)

ハードオフ山本社長:
でも尖ったサービスになるからこそ、やっぱり切り分けるべきですよね。
最初にアプリを作ったときは、こちらも初心者だったので、よくわからなかった。だから、あれもこれも一つのアプリに入れすぎました。

それからフラーさんとお仕事を始めて、アプリを切り分けるというご提案をいただき、実際にそうしてみた今、成功だったなと思っています。

フラー山﨑:
かなり順調に買取総数も伸びているので、結果が出てよかったなと安心しています。

フラー渋谷:
この前、新発田のハードオフ本社さんで結果のグラフを見せてもらって、もう思わず「……よかった〜!!」って(笑)

フラー山崎:
いやほんとにね(笑)
これで結果が出てなかったらどうしようかと……!

ハードオフ山本社長:
そうですよね(笑)
よかったよかった!

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——ご契約の前後で、フラーの印象にギャップは感じられましたか?

ハードオフ山本社長:
いえ、……そうですね、どうだろうなあ。

フラー山崎:
ぜひお聞きしたい……。

フラー渋谷:
結婚前後での、みたいな話ですね……。

ハードオフ山本社長:
正直、期待はかなり高かったんですが、その通りやっていただいていると思います。なので、ギャップはないですね。

というのも、フラーさんの社員の方が、最早うちの社員のようになっているんですよ。『店長』と呼ばれている方もいらっしゃるくらい。

どちらの会社のメンバーなのかわからないほど、プロジェクトにどっぷり浸かって熱を入れてやってくださっていて、僕たちとしては非常にありがたく思っています。

フラー渋谷:
それを喜んでいただけるのは、やはりうれしいですね。僕たちの採用の方針ともマッチする形です。
自社サービス開発ではなくお客さまのために創る仕事……でも、しっかり入れ込んで本気でやりたい。そんな人に入っていただいています。

フラー山﨑:
本当に相手を好きになってくれる人が多いです。なので、そんなメンバーたちとその仕事ぶりについて、そう言っていただけるのはすごくうれしいです。

ハードオフ山本社長:
本当に、うちの会社のメンバーだと言っても何も違和感がないというか、……なんならうちに来ますかというくらい(笑)

アプリを作るプロジェクトには、こうすればいいという答えはありません。そこが面白いと僕は思っているのですが、フラーさんのメンバーの皆さんも同じく、面白く思ってくださっているのだろうなと感じます。

フラー山﨑:
フラーのメンバーはみんな、楽しんで仕事をするし、作ったアプリを喜んで使ってくれています。僕もつい昨日、『オファー買取アプリ』で出品しましたし、ほかにも社内で使っているメンバーはたくさんいます。
そういうところも、フラーの特長のひとつかなと。

——このような流れの中でこの度、ハードオフさんとフラーとで、事業提携を結ばせていただきました。こちらについて、その理由などをお聞かせいただけますでしょうか

ハードオフ山本社長:
先ほどのお話にもありましたが、僕たちハードオフはもともと、IT化についてかなり乗り遅れた会社になってしまったなという認識がありました。
それが、フラーさんと一緒にアプリを作ったりサービスを改善したりする中で、いい方向へ進むイメージがはっきり見えてきたんです。

なので、この流れを決定的なものにする最後の要素として、事業提携を結ばせていただいた形です。

フラー山﨑:
今まで取り組んできたものを、より強固な関係にするための位置づけだと認識しています。
その上で、普通の受発注の関係ではないプロジェクトを進められたらと。

たとえば、ハードオフさんが内部にIT部門を作る——いわゆる内製化、これをお手伝いすることもできるかなと思っています。実際に話が出ていて、進めている段階でもあります。

普通のIT企業であれば、取引先の内製化を支援してしまったら仕事が取られる、なくなると考えるので、やらないと思います。
ですが、フラーの場合は、自分たちがいくら売り上げを出すのかではなく、ハードオフさんのお客さま、ユーザーの皆さんによりよいものをお使いいただくためにはどうすればいいかを、一番に考えます。

ハードオフさんで内製化が進み、ITに関わるプロジェクトについて実際に手を動かす人がハードオフさんの中にいてくれるようになったら、より連携がシームレスになり、結果、ユーザーの皆さまのためになってくれる、よりよいものが出来るはず。
そう思うからこそ、僕たちはハードオフさんの内製化の支援を、本気でやっていこうと考えています。

また、逆に、事業提携を結ぶことで、ハードオフさんにさまざまなお願いができればなとも思います。
たとえばですが、フラー柏の葉オフィスのある、柏の葉キャンパス駅の近くに実証店舗なんかを作っていただくとか……。
他の業態とは違うものについて、フラーがお手伝いすることができるものであれば、デジタルの力を駆使して、チャレンジしていきたいなと思っています。

それこそ、僕たちフラーにはリアルの店舗についての知見がまだ少ないので、そこを豊富にお持ちのハードオフさんといろいろなプロジェクトができたら、それはすごく面白そうだなと。


ハードオフ山本社長:
ネットというのは空中戦だと思っていて、やはり、これからネットだけで商売をするというのは、非常にハイリスクでもあります。大きな戦闘機だって、羽をやられたら墜落してしまうように。
その点、地に足を着けてリアルに店舗を構える、というのは強いなと思います。

先ほどおっしゃられていたようなトライアルをやるにしても、ネットだけでは勝負はできない、リアルがなければということですよね。

だからこそ、リアル店舗にプラスしてネットをやるのは意味があることですし、ネットやデジタルに強いフラーさんには、ぜひリアルのことについてどんどん僕たちに聞いていただければなと思います。

また、僕たちからは、教育をぜひしっかりやっていっていただけたらと、フラーさんに期待しています。
教育というのは、IT部門を内部に作る、内製化に向けてのことです。

内製化を果たしたとしても、それでフラーさんとのお取引が一切なくなるようなイメージは、全くありません。
最先端のことやデザイン的なことについて引き続き教えていただきながら、お付き合いを継続させていただきたいなと思ってます。

フラー渋谷:
僕としては、ハードオフさんとフラーの関係を、ひとつのロールモデルにしたいという想いがあります。
地方には、それこそ全国各地に、「デジタルの領域に手を出したいけれど、どうやったらいいかわからない」と悩む会社さんが、たくさんいらっしゃると思います。
そんな方たちのために、ハードオフさんとフラーが、ひとつの優れたロールモデルになれたらなと。
これからも、一番いい形を探っていきたいですね。

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——最後に、改めて今後の展望をお聞かせいただけますでしょうか

ハードオフ山本社長:
リアルの店舗がハードオフの強みだとお話ししましたが、5年後10年後、リアル店舗だけでは生き残ってはいけません。
複数の販売チャネルを用意する、いわゆるオムニチャネル化も考えなければならない。

ただ、実際に今オムニチャネルをやっていて、本当にそれが成功している会社さんって、実はあまりないんじゃないかなと思ってしまっていて。
なので、僕たちがそこで勝負するのは危険だな、と。

そこで、2、3年前くらいに、新しい概念として『"Re"NK CHANNEL (リンクチャネル)』というハードオフらしい言葉を作りました。
繋がること、そして循環すること。リンクして循環が加速する、それでより強固なエコシステムができる。
これをしっかりやりきりたいなと思っています。

何度かお話ししたように、僕たちはIT化について後発的な位置にある会社でした。ただ、そういう意味では逆に、白紙の状態でこれからやっていけるということでもあります。
また、リユース業、その中の『ハードオフ』という特別な位置づけの会社における、正解のないDXになるので、ぜひ新しい価値を作っていきたいですね。

3、4年後になって、「実はハードオフ、なんかすごいことやってたぞ!」と世の中に認められて、それでファンが増えてお客さんが増えていってくれたら——そんなイメージを持っています。

フラー渋谷:
最近、僕は役割を山﨑と分担し、彼に社長を託して自分は会長になりました。外を回って、新しいことをどんどんやる方面にフォーカスできるように。

山本社長はやはりきっと、新しい取り組みをしたいという思いと、既存の面をしっかり伸ばさなければという思い、この二つといつも向き合っておられるのかなと思います。
その内、特に新しい取り組みの方についてなら、僕はお役に立てることがあるかなと。それは、自分で起業をしたという経験も含みで。

新しいこと、新規事業というのがすごく好きなので、常にアイデアをお出ししていきたいです。そういったことを、きっと山本社長は喜んでくださるだろうなと思います。

また、これは少し別件にはなるのですが、新潟ベンチャー協会というものでも山本社長とはご一緒させていただいています。
新潟を元気に盛り上げていくという同じ目標に向かって、……同僚と言ったら恐れ多いですが、一緒に考えて一緒に行動した結果どんなことになるだろうかと思うと、これからがすごく楽しみです!

フラー山﨑:
僕としては、事業提携を結ばせていただいたフラーの社長として、ハードオフさんの事業の拡大と売り上げの向上を一番の目的に据えて、プロジェクトを進め続けていきたいなと思っています。

今、渋谷と自分で、本当にうまく役割分担ができています。渋谷が新規事業などの新しい取り組みを進めてくれるので、まずは自分は、ハードオフさんの既存事業を拡大することについて、しっかりお手伝いしていけたらなと考えています。

その上で、後々、既存事業を活かした新規の取り組みもやっていきたいです。
足元の基盤の構築や、今進めているアプリの地道な改善も含め、様々なことに関わらせていただいているフラーだからこそ、できるご提案がこれから先、きっとあるんじゃないかと。

ハードオフさん以外で、ハードオフさんのビジネスモデルを一番理解している会社は、おそらくフラーだろうと自負しています。ですので、その上でご提案できる新しい取り組みがあったらいいな、と。
ハードオフさんのアイデンティティにあるような『ワクワク感』が、オンライン・オフラインを問わずすべての媒体で伝わるように、ぜひ一緒に進んでいけたらなと考えています。

それから最後に、僕から山本社長にぜひこの場で改めて伺いたいことが……。
山本社長は、上場企業の社長という大変お忙しい立場でありながら、スマホアプリやデジタル戦略のプロジェクトに、多くの時間を割いてくださっています。
とてもありがたく思っているのですが、これは、どういった思いからなのでしょうか。

ハードオフ山本社長:
やっぱり、会社の経営という面から見て、これからそれらがすごく大きなポイントだと感じているからですね。だから、経営者もちゃんとタッチすべきだと。
なので、一、二週間に一回くらいは打ち合わせをさせていただいています。

僕としても、これはやっぱりいいことだなと感じています。
それがないと、一ヶ月とか二ヶ月ぶりにそのプロジェクトの進み具合を確認して、もし全然方向性が違った場合、そう言わなきゃならない。それって僕も嫌ですが、うちのメンバーも、フラーさんのメンバーも嫌ですよね。
そうならないように、一、二週間に一回くらいの頻度で打ち合わせをして、方向性を一緒に考えるようにしているんです。

……この話に繋げて、最後に、フラーさんのすごくいいところを。
たとえば、その打ち合わせの席で僕が「Aがいい」と言うじゃないですか。そうしたら、フラーさんのメンバーはたまに、「いや! Aじゃないですよ」って言ってくるんです(笑)
こちらもドキッとして……言うなあ! と(笑)

フラー山﨑:
(笑)
すみません……!

ハードオフ山本社長:
今までの会社さんでもそんなところはなかったし、うちのメンバーであっても、僕が「Aがいい」というと、大体同意するんです。
その点、フラーさんのメンバーは、たまに「いえ、Bですよ」とはっきり。

でも、きちんと説明をしてもらうと、「そう言われると確かにそうだな」と思えて、実際にそうしてみてよかったことがこれまでたくさんありました。

フラー山﨑:
メンバーみんな、本気で取り組みたい、よくしたいと思っていまして……。

ハードオフ山本社長:
そうですよね。僕は、そこがすごくいいなと思っています。
だから逆に、僕が「Aがいい」と言って、「そうだと思います」とだけ返ってきたら、ちょっと嫌ですね(笑)

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フラー山﨑:
……そういって頂けて光栄です! これからもよろしくお願いします!


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