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運営が語るApp Ape Award 2022の裏側

フラーが2017年から毎年開催している「App Ape Award」。アプリ分析サービス「App Ape(アップ・エイプ)」のデータをもとに、前の1年間で人気を集めたり話題を呼んだりしたアプリを選定するイベントです。

筆者は第2回目のApp Ape Award 2017から運営に携わっています。

今回で7回目を迎えた「App Ape Award 2022」では、選定基準の設定から実際のアプリ選定、各種ニュースリリースの作成、さらにメインとなるインタビュー記事や関連記事の企画・制作まで手がけました。

この記事では、運営を手掛けた筆者が今回のApp Ape Awardで重視したこと、コンテンツに込めた思い、実際の反響や見えてきた課題などについて振り返ります。

オンラインならではの「共有知」の発信を模索

App Ape Awardは、裏方でアプリを支えるアプリデベロッパーの取り組みを讃える場としてだけでなく、アプリやビジネスに役立つその時々の旬なトピックやアプリ運営者の生の声を届けることで幅広いビジネスパーソンに価値を提供しようと、2016年から実施してきました。

オフラインでのセミナーや登壇イベントを中心に構成していたApp Ape Awardですが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で2021年〜2023年の3回はオンラインでの開催となりました。

チームは最小限。できないことはやらない、外部の力を借りる

(左から)森さん、島田さん、吉原さん、 筆者・日影

今回のApp Ape Award 2022を担当したのは、全体統括と社内調整を担う広報マネージャー(当時)の島田さん、デベロッパーなど社外との窓口や制作物の進行管理を担うマーケターの森さん、デザインを伴う制作全般を担う2022年新卒入社の新進気鋭デザイナー・吉原さん、そしてアプリ選定とコンテンツ制作を担うこの記事の筆者・日影の4人。さまざまな部署から集まったメンバーでした。

最小限のチームである上にそれぞれが他の通常業務も兼任する中、限られたリソースでApp Ape Award 2022を成功させるには、「できないこと・やらないことを見極めること」と「外部の力を借りること」が不可欠でした。

認知やブランディングに寄与するとはいえ、App Ape Awardはイベント単体で売上を計上しているわけではありません。コストやリソースを最小限に抑える一方で、発信することの効果の最大化を目指す必要があったからです。

そこでApp Ape Award 2022のキックオフ会議をした2022年8月、メンバーはまず何を「やらないのか」を検討しました。

今回はオフラインイベントを復活させるという案もありましたが、当時はまだコロナウイルスがどこまで収束しているのか予測が難しかったことを踏まえ、オフラインでのイベント開催はできないと判断。オンラインで開催することを決めました。

開催にあたっては、通常のランディングページに加えフラーのデジタルノート内にApp Ape Award2022の特設マガジンを開設。1月31日からApp Ape Awardの選定結果発表までの約1カ月間に集中配信することにしました。

特設マガジン開設の意思決定に大きく影響したのが、App Ape Award 2021のインタビューコンテンツです。

App Ape Award 2021では、アプリデベロッパーの取り組みに光を当てることで、読者に有用な価値を届けようと選定デベロッパーへのインタビューを実施。3つの記事をnoteを活用したオウンドメディア「フラーのデジタルノート」で発信しました。

“共有知”としてデベロッパーのポジティブな取り組みや思いを発信するこれらの記事は、いわゆる「ロングテール」な記事となり、メディアの検索流入並びにPVランキングで常に上位に位置しています。

デベロッパーの取り組みはもちろんのこと、フラーという存在をポジテイブに認知してもらう大きなきっかけとなる記事として今もなお多くの読者に読まれていると実感したことが、App Ape Award2022の特設マガジン開設につながりました。

マガジンと同時に、調査レポートなどダウンロードコンテンツを制作する案もありましたが、限られたリソースで手を広げすぎると本来取り組むべき事柄からぶれてしまい、どちらもうまくいかなくなるのではとの懸念から断念しました。

その代わり、App Apeのマーケティングチームが毎年制作している過去1年間のアプリのトレンドをまとめた「App Apeアプリ市場白書」の公開とApp Ape Award 2022の選定アプリ発表と同日として、App Ape AwardのLPやコンテンツで紹介することで、読者にアプリ市場に関する有用なデータを手に取ってもらいやすい状況を作ることにしました。

2022年のデータを取りまとめて分析し、デザインを施してわかりやすい形で世の中に発信するという難易度の高い制作をわずか1カ月で成し遂げたマーケティングチームのみなさんには本当に感謝です。

アプリ市場白書のダウンロードはこちらから:https://ja.appa.pe/reports/whitepaper-mobilemarket-2022

さらに、限られたリソースを有効活用するため、LPについてはノーコードツール「Studio」を使って担当デザイナーが直接制作。エンジニアのリソースをほとんど使わずにチーム内で制作作業が完結するようにしました。

LPやロゴといったデザイン関係のプロセスについては、今回のApp Ape Award2022の総合デザインを担当した吉原さんが記事を書く予定です。どうぞお楽しみに。

執筆の場面では、一部の記事についてライターの石徹白未亜さんにご協力をいただき、クオリティの高い記事を作成することができました。素敵な記事をありがとうございます!

このように限られたリソースを本当に注力すべきことに使うため、やらないことを決めて外の力を借りながら取り組んでいきました。

選考のプロセスで大事にしたこと

App Ape Awardの選定アプリの決定にあたっては、何よりもまず「定量データに基づく候補の絞り込み」を重視しました。

読者や自分達も含めた世の中の納得・腹落ちを担保したいというのが一番の理由です。

多くの人々に利用されているというエビデンスを元に発信することで、世の中のトレンドや大きな流れを読み解くデータを蓄積するフラーという想起やブランディングにつながるとの思いもありました。

選考委員会ではデータサイエンティストを中心にデータの集計方法についてさまざまな観点からの分析・検討を重ねて選定基準を設定。その上で、実際の候補アプリの絞り込みを行いました。

最終的なデータの価値判断は人間に委ねられるものです。実際、最後の選考会議でも複数の指標の優位性や順位について議論がありました。

それでも、最初の段階で定量データに基づく候補の絞り込みをしていたため、納得感の高い議論と選定をすることができました。

ロングテールで価値を届けるために

LPとは別で特設マガジンをnoteに設けて展開した主な理由は下記の3点でした。

  1. noteのドメインパワーを生かしたSEOの強さによってロングテールの自然検索流入が期待できる

  2. 普段は収益部門に関わるエンジニアやデザイナーのリソースをなるべく使わずにコンテンツを配信できる

  3. noteというドメイン内での回遊からの流入が期待できる

コンテンツは大きく下記の3つの視点で構成しました。

  • 結果発表などのニュースもの

  • 選定デベロッパーへのインタビュー

  • 関連コラム・インタビュー記事

結果発表などのニュースものをあえてnoteに取り込んだのは、今回のApp Ape Awardのメインがnoteであると位置付けたからだけではありません。

結果発表などのニュースからnote内の選定インタビューや関連コラムへの遷移を促すとともに、フラーのデジタルノートの他のコンテンツにも接触してもらえる可能性を高め、フラー全体への興味関心の向上につなげたいと考えたためです。

結果発表の記事では、各アプリデベロッパーの責任者の方々にお言葉をいただきました。

アプリというデジタルの最先端にあるプロダクトの先にある「人の姿」をが見えることで、読者にそれぞれのアプリについてより親しみを持ってもらえるのではないかという思いからです。

おかげさまで息遣いを感じる華やかなニュースを発信する発信することができました。ご協力いただいた選定デベロッパーの皆様にあらためて厚く御礼申し上げます。

選定デベロッパーのインタビューを手がけたのは、最先端でアプリ運営を担うデベロッパーの思いや知見を共有知として伝えることで業界全体の価値につなげるのが狙いです。

こちらも人が見えることを大切にするとともに、普段なかなか聞くことができないアプリ運営に対する深い思慮や考えに触れることができることを重視して記事を書きました。

AIの時代を迎え、さまざまなノウハウや知識をわかりやすくまとめたり解説したりすることができるようになったとしても、実際にビジネスやアプリを手がける当事者に会い、息遣いある言葉を描くことは今のところAIでは不可能だと思います。

生身の人間が発するからこそ得られる実感や深い共感や学びを感じてもらおうと、インタビューという形を取りました。

デベロッパーの皆様には多大なるご尽力をいただき、素晴らしい記事を作ることができました。あらためて御礼申し上げます。

記事は下記からご覧になれます。ぜひお読みください。

関連コンテンツでは、App Apeのデータからどのような世の中のインサイトが見えてくるのかを重視してテーマ選定や実際の執筆に取り組みました。

同時公開の「App Apeアプリ市場白書2022」を先取りした内容も盛り込みました。読者がさらに情報を深掘りしたいと感じた時の受け皿を用意することで、フラーのコンテンツに触れてもらえる機会がさらに増大すると考えたからです。

価値ある情報への接触量が多くなればなるほど、信頼感やポジティブなイメージが高まるという、コンテンツを生かした王道のブランディングやマーケティングの考え方を応用した形です。

過去最高の月間PVを記録

2023年1月31日から2月28日までの一連のApp Ape Award 2022の取り組みにより、フラーのデジタルノートの2月の月間PVは過去最高を記録しました。

フラーのデジタルノートはPV数自体を目標として設定しているわけではありませんが、メディアを運営する立場としては一つの大きな節目を迎えることができ非常に嬉しく感じています。

Twitterでも選定結果や記事を紹介するツイートが大きく伸び、幅広い方々にアプリデベロッパーの取り組みや思いを届けることができました。

また、App Ape Awardの選定結果発表のニュースリリースは2021年以降に発信したニュースリリースで最高のPVを記録しました。

さらに同時公開した「App Apeアプリ市場白書2022」は、日本経済新聞を含むさまざまなメディアで紹介されました。話題性のあるイベントとデータコンテンツをうまく組み合わせることで相乗効果を発揮できたと感じています。

アプリ市場白書のダウンロードはこちらから:
https://ja.appa.pe/reports/whitepaper-mobilemarket-2022

本当にやりたいことに集中すること

一連の取り組みで強く感じたのは、「本当にやりたいこと・やるべきことに集中すること」の重要性です。

時間やお金、人員が無限にあるのであれば、やりたいことをいくらでも試すことができますが、現実の世界で全てを叶えるのは難しいことです。

そんな時に自分はこの取り組みを通じて本当何がやりたいのか、組織として取り組むのにあたって何をやるべきかを見極め、他のことを捨ててでもそこに集中する勇気を持つことで、価値のあるものができますし、取り組む人間の納得感も大きくなると思います。

この経験は他の取り組みにも大いに活かせると感じましたし、こういった見極めを繰り返すことで、会社としても個人としても成長につながると考えています。

反省点をあげていったらキリがないのでここでは割愛します。機会があれば「コンテンツ制作でやってはいけないこと」のような形でまとめてみたいと思います(笑)

メンバーに感謝

柏の葉本社でApp Ape Awardの打ち合わせをするメンバー。島田さんはオンラインで参加。

今回のようなイベントは一人で完遂できるものではありません。
精鋭のメンバーがいたからこそ、成功裏に収めることができたと感じています。本当にありがとうございます。

このように、フラーではアプリやデジタルに関わる領域から派生して、さまざまな取り組みを展開しています。

これからもさまざまな取り組みにまつわる情報を発信していきますので、フラーのデジタルノートをフォローいただけましたら幸いです。

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