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すべての企業でDX推進が必須な理由とは?デジタル戦略の専門家が語るDXの意味

ビジネスにおいても、実生活においても、デジタル領域のプロダクトは年々存在感が高まっています。

デジタル領域の重要性が増すとともに『DX(デジタルトランスフォーメーション)』という言葉が生まれ、近年盛んに使用されるようになる中、DXを推進することはそもそも企業にとってどういう意義や価値があるのでしょうか?

今回は、デジタル分野の専門家として実際に企業のDXに関わるフラーのメンバーに、「フラーの考えるDXの定義」や企業にとっての必要性、実際にDXを推進する上での課題などを解説してもらいました。

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林 浩之:フラー株式会社 執行役員 カスタマーサクセスグループ長
1991年生まれ。愛知県出身。同志社大学在学中にITベンチャーを創業。同社を6年間経営し、BtoCプロダクトを複数展開。事業立ち上げから拡大までの全行程を担当し、事業を売却。その後株式会社ドワンゴに入社、月額制コミュニティサービスの運営に携わりアプリチームの統括リーダーとして2年在籍。2018年8月フラーに参画し開発する全アプリの戦略を担当、組織拡大にも貢献。2020年7月には執行役員カスタマーサクセスグループ長に就任。ユメは世の中の「あたりまえ」を少しでも変革すること。

DXは「デジタルを使いこなすこと」

——フラーではどんなお仕事をされていますか?

林:執行役員カスタマーサクセスグループ長として「デジタルパートナー事業」の責任者を担っています。

デジタルパートナー事業とは、スマホを中心にアプリやウェブなどデジタルに関わる領域で企業を支援する事業です。新規・既存事業の戦略構築からプロダクト開発・グロースまで“ワンチーム”で伴走し、「デジタル領域で頼られる存在」としてクライアントに寄り添い、課題解決や事業成長に貢献しています。

自分はその中で、主に「クライアントのビジョンを伺い、それをどうデジタルの力で支援するか考える」ことを担当しています。

——さっそくですが、さまざまな使われ方をしているDXという言葉について、どんな定義をお持ちですか?

林:すこしだけ遠いところから話を始めさせていただければと思います。

このコロナ禍が、DXを語る上で大きなトピック、転換点のひとつであったというのは、世の中で共通見解となっていると言ってもいいでしょう。

で、日本産業界の中心地点にいる、一次産業やメーカー、卸、店舗事業などなど、多くの非IT企業。こういった方々たちは、ずっとITと遠いところにいて、ここ十年くらいでようやくちょっとずつそれを取り入れ始めていたという状況にありました。

しかし、コロナ禍で大きく話が変わった。この1年は、実際の人間と対面で触れ合うことが難しくなり、オンラインで何かをしなければいけないだとか、店舗じゃないところでお客さんと触れ合わなきゃいけないだとか、要するに、今までの当たり前だった前提が全部崩れた環境になってしまいました。

そのせいで、多くの非IT企業は突然、危機感を持ってデジタルを利活用しなければならない状況になったんです。

……個人的には、コロナ禍は、デジタル活用の方向へ状況を変えたのではなく、あくまで元からあったその流れを急激に早めただけだとは思っていますが。

ともあれ、そんな今の状況下において、非IT企業にとって縋りたい希望の糸としてものすごくちょうどよかったのが、DXという言葉や概念だったのだと、僕は思っています。

今まで順調にいっていた事業が、急に大きな危機に曝された。ずっと頼ってきた当たり前のやり方が、根っこから崩れてしまった。どうにか戦略を考え直さなければいけない……そんなとき、やはりデジタルを中心に考えることになって、そこにDXという、ちょうどいい言葉があったのかなと。このちょうどいいというのは、DXという言葉の、定義の緩さも含めてです。

DXは今、日本のほぼ全ての企業から、漠然とした希望を抱かれている概念です。そして、やはりほぼ全ての企業が、まだ満足のいく結果は得られていない。

これが、DX市場の現状だと思っています。

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さて、DXの定義ですが、僕は、「デジタルを使いこなすこと」という表現が一番腹落ちしています。

デジタルを使いこなせるようになったとき、組織は大きく成長しますし、採れる戦略も一気に変わります。

ここ数年で勃興した中国の多くの企業は「当たり前にデジタル中心で」考えてるんですよね、全ての戦略を。

その結果、完璧にデジタル中心の戦略を引いています。デジタルを使いこなしたときの企業が圧倒的なのは明確な事実です。

フラーは、いろいろな企業がデジタルを使いこなすための支援をしていきたいし、実際にやっています。

企業がデジタルが使いこなせている状態になるための”3つの条件”

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——デジタルを使いこなせている、というのは、具体的にはどんな状態を指しますか?

林:使いこなせている、と言っていいためには、条件が三つあると思っています。

一つ目は、デジタルを受け入れる企業風土ができていること。

デジタルに遠い企業が、社内業務はじめ事業においてもデジタル推進を行おうと思うと、必ずどこかで「よくわからないけれども」という、理解できないけれども判断しないといけない局面に直面します。

その時に判断を邪魔するのが「"デジタルはわからない"という気持ち」と「従来のアナログへの安心感」です。要するに、デジタルを受け入れきることに対して恐怖心が生まれるんですよね。ここを乗り越えて受け入れられるかどうかが、大きな分岐点になると思います。

二つ目は、その企業の中で、実際に自分たち自身の業務プロセスがデジタル化されていること。デジタイゼーション、という言葉もありますね。個人的にはあまりしっくりこないんですが……(笑)

そして三つ目、デジタルを中心に、ユーザー接点に変革をもたらしていること。

ユーザー接点とは、その企業が提供しているサービスに、ユーザーが触れ合う接点のことです。フラーでもよく使う言葉です。

例えば、飲食業だったら店舗カウンター、鉄道だったら駅の改札と切符売り場、ネット通販だったらECサイト・アプリ。すべての事業が消費者相手にビジネスをしてる以上、絶対にどこか少なくとも1ヶ所で、ユーザーと接触をするようになっています。

デジタルを使いこなすと、このユーザー接点に大きな変化が起きます。

例を挙げるなら、マクドナルドのモバイルオーダー。あれは間違いなくDXの一つです。

もともとマクドナルドは、店舗のカウンターでしかユーザーと接触しなかった。そのために最適化された事業構造になっていました。

ところが、モバイルオーダーによって、アプリというもう一つのユーザー接点が生み出されました。結果何が起きたかというと、アプリによって行列が吸収されたんです。アプリで注文ができるから、並ばないお客さんが出てきた。

すると、今までは10人並んでいたら帰っちゃっていたようなお客さんも注文してくれるようになる。店舗の回転率が上がったんです。

このように、デジタルをユーザー接点においてうまく使うと、事業の構造が変わってきます。

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以上の三つが、DXと呼ばれている、いまいち姿形のはっきりしない概念の中身だと僕は思っています。

そしてフラーがやっているのは、いろいろな企業さんがこの三つを果たすためのお手伝いです。

DXは「エンジニア・デザイナーが最上流からコミットするべき」

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——そのために、フラーはどのようにしてデジタルパートナー事業に取り組んでいますか?

林:
「共創」や「お客さま目線で」という言葉を、コンサルティングや開発を請け負うほとんどの会社がとりあえず口にします。しかし、実現するのはすごく難しいです。

でも、難しくとも、フラーはデジタルパートナー事業において、それを最優先に考えて本気で取り組んでいます。

フラーは、クライアントから見たら外注先。
でも、クライアントのDXを果たすには、『外注先』ではだめなんです。契約では受発注の関係でありつつも、実働としては内部組織と同じワークを目指します。
そして実際、フラーのデジタルパートナー事業のメンバーはみんな、驚くくらい各担当案件で「自分ごと」として動いていますし、クライアントからもそう言っていただけています。

また、そういったマインドセットの他にも重要なことがあります。それは、フラーが戦略を考えるところから一緒にやっているということ。

クライアントは、それぞれ何かの分野のプロフェッショルでいらっしゃいますが、デジタルの専門家ではありません。なので、デジタル戦略を立てるとき、その会社の中だけで考えても、最適なものは出てきません。

戦略の最上流からデジタル領域のプロフェッショナルであるフラーが伴走する、というのは、とても重要なことなのです。

それからフラーでは、この戦略を考えるという最上流の地点に、ディレクターだけではなく、デザイナーとエンジニアもいっしょに入ります。
デザイナーは、ユーザー接点のプロフェッショナル。だからフラーではUIUXデザイナーと言っています。ユーザーのイメージをブラさずに、いかにユーザー接点を構築していくか。

それを考えるためには、デザイナーが必要不可欠なので、最上流からいっしょに入ってもらう。

そして、同じくエンジニアが最上流から入ると、最初から長期的な視点でシステムを組めるので、無駄がなくなります。

フラーは、クライアントと5年10年一緒に仕事をやるつもりなので、それに耐えうるシステムを作る必要があります。でも、ディレクター陣だけでその計画を立てて、要件が固まってからエンジニアに共有するのでは、エンジニア的には「いや、それはもっと早く言って欲しかった」となってしまうでしょう。そうやって後付け後付けで構築されていくシステムは、数年後に取り返しのつかない状態になります。

このプロジェクトが先々どういうことをしようとしているのかを、しっかりエンジニアに伝えるためには、工程の最上流の場に来てもらうことが必須です。

2025年の崖と言われているレガシーシステムの問題。これを生まないためにも、エンジニアが最上流からコミットすることに意義があると考えています。

クライアントのプロダクトやビジネスをユーザーとして徹底的に体験

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——クライアントがデジタルの専門家ではないように、フラーもまたクライアントの事業、たとえば小売や製造業などの専門家ではありません。その戦略を考えるのは、どうやっていますか?

林:まずはクライアントのプロダクトやビジネスを、ユーザーとして徹底的に体験すること。そして、一緒に仕事をしていくなかで、いろんな知識や背景、思想や信念をきちんと身につけていくことですね。ここは、フラーがとても得意なところです。

また、デジタルパートナー企業の『パートナー』と言う言葉はここに集約すると思っています。パートナー、つまり、フラーとクライアントの関係は対等であって上下ではないんです。

フラーのクライアントには、それこそ日本を代表するような大企業も少なくありません。本来であれば、フラーがなにかを教えるなんて、おこがましいことです。

しかし、そういった意識、上下関係だと思ってしまうと、スムーズに情報や知見のインプットはされませんし、向こうを見上げて「わかりました」と言われた通り作るようでは、真にクライアントやその先のユーザーのためになるものは、決して出来上がりません。

なので、相手に敬意を持ちながらも、自分たちも「デジタルの専門家である」という誇りを持ってあくまで対等であろうと努める。それが、フラーが大切にしていることです。

だからこそクライアントも、我々を信頼してくれているのだと思います。

これは、お互いが当事者意識を持ってプロジェクトの成功を祈っているから出来上がっている関係性です。

クライアントの「内部組織」のように動く

——DXを果たすためのパートナーとして、フラーが持つ他の会社にはない強みはなんですか?

林:フラーが他の開発会社ともコンサル会社とも違うのは、その両者の能力をひとつの組織の中で持っていること、そして、ワンチームとして意思疎通の取れた両者が、プロジェクトにおいてはクライアント企業の内部組織かのように動くことです。

開発ができるベンダーなんていくらでもありますし、デジタル戦略を考えるコンサルもあるでしょう。

ですが、フラーは、プロダクトの開発部隊に加えて、戦略を考えられる人材まで組織として抱えています。そして、両者の間に距離や壁がなくワンチームとして意思疎通が取れており、さらにそのチームがクライアントに対しては、まるで社内組織かのように動く。これはかなりめずらしくて、何より、すごく価値のあることです。

なぜなら、クライアントからすれば、フラーにさえ話を持っていけばそれで済むからです。

コンサル会社にデジタル戦略を考えてもらい、それに従ったアプリの制作は開発会社に投げる。そして三社間のプロジェクトの統括は、クライアントである非IT企業がやります……なんて、そんな回りくどいことはしなくてよくなります。

プロジェクトは、関わる人が増えれば増えるほどコミュニケーションロスが出てきますし、管理しきれなくなって想定外のことも起こる。正直、多重請負をやりがちなIT業界では、そんな例がたくさんあります。

でも、フラーとやるのなら話はシンプルです。フラーと一緒に考えて、フラーと一緒に作ったらそれで済む。

また、そんな風に「考える」「作る」ためのユニットがワンチームそのままクライアントのところへ行くフラーですが、そのメンバーたちがみんな、まるであちらの内部チームかのように動くことも魅力の一つかと思います。
契約形態で言えば外注なんですが、働き方やモチベーションは社内部門かのような。

本当に、みんな当事者意識が異様に高いんです。たとえば、クライアントさんに新店舗が出来上がったら、フラーのメンバーは、ディレクターだけでなくエンジニアもデザイナーも当たり前にそこに遊びに行くし、ユーザーとして楽しみながらいろいろまた考えるんです。
ディレクターが仕事の一環で行くのはわかるんですが、エンジニアやデザイナーまで自主的に遊びに行くような会社は、なかなかないでしょう。

これはまさに、「共創」や「お客様目線で」と口で言うのは簡単だけどやるのは難しく、でもそれをフラーはやっている——ということの、わかりやすい実例です。

なぜそんなことになっているのかは……これはもう、企業文化としか言えないですね。

DXは人間の不幸せ=世の中にある課題を解決する

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——最後に、フラーがDXで目指すところを教えてください。

林:ちょっと大きな話になってしまいますが、人間とは幸せを求める生き物らしいです。ですが、世の中にはまだまだ不幸せなことが多くて、人々はそれを甘んじて受け入れながら生活しています。

DXは、そんな人間の不幸せ=世の中にある課題を解決するものです。DXが進むと、社会全体が幸せに近づくんです。

これは大袈裟な話ではなくて、例えば先に話に挙げた、DXの一つであるマクドナルドのモバイルオーダー。あれができたおかげで僕は、店舗で列に並ばなくて済むようになり、確実にちょっと幸せになりました。

企業は社会の抱える課題の解決をビジネスにします。だから、企業のDXが進むと、世の中は幸せになっていく。

これからも、いろんな企業が新たにDXを果たして世の中をより幸せにしていくと思います。僕たちフラーは、それをお手伝いしたい、加速させていきたい。そうやって、社会全体をより幸せにできたらなと、そんなことを願っています。


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