Z 世代と昭和世代のデジタル活用はどこに大きな違いがあるのか?アプリ利用動向から探る
幅広い世代に浸透し、今や年齢に関わらず生活インフラとしての活用が浸透しているスマートフォン(スマホ)。人々にとって欠かせない情報収集やコンテンツ消費のツールとなった一方で、世代ごとに利用するアプリの顔ぶれを見ると、それぞれの世代のユーザーが置かれてきた環境や時代の特徴がにじみ出ます。
特に差異が見えるのが、アナログからデジタルの過渡期を知る40代以上の“昭和世代”とデジタルネーティブである10〜20代の”Z世代”の利用動向です。
アプリ分析サービス「App Ape(アップ・エイプ)」のデータを活用し、各世代ごとに利用者数が多いアプリの特徴と世代間の差異を読み解きます。
世代ごとに見える利用のグラデーション
App Apeの2023年1月の情報収集やコンテンツ消費に関連するアプリの月間利用者数(MAU)上位20アプリを抽出した上で、アプリの機能や利用シーンの傾向から世代の特徴を探りました(対象はAndroid)。
各年代のMAU上位20アプリは以下の通りです。
上位3アプリの顔ぶれはブラウザの「Google Chrome」、動画配信の「YouTube」、SNSの「LINE」とどの世代も変わりません。ただし、2位は10〜30代がYouTube、40~60代が「LINE」となっており、若年層の方が動画視聴を好む傾向が垣間見ることができます。
実際、2023年1月のYouTubeの年代ごとの日間平均利用時間を見ると、全体平均の66分に対し、10代が116分、20代が103分と突出しています。
全ての年代で20位圏内に入っているアプリは、Google Chrome、YouTube、LINE、Instagram、Twitter、Yahoo!JAPAN、TikTok、スマートニュース、TVerの9個です。これらのアプリは順位の違いはあるものの、ユーザー規模を見る限り幅広い世代からの支持が定着していると言えそうです。
年代ごとの用途別アプリの内訳から世代別の特徴を見ると、世代の特徴がよくわかります。
Z世代の内訳を見ると、動画媒体を中心とするコンテンツに加え、ゲームや学習系といった若年世代ならではアプリがランクイン。具体的には、10代はStudyplusやプロセカ、LINE MUSIC、SNSにDiscordと上の世代にはないアプリが並びます。コンテンツ消費がさまざまなジャンルで旺盛な様子が伺えます。また、他の世代でランクインしているFacebookが10代では20位圏外なのも特徴的です。
一方、昭和世代をみると、ニュースアプリの多さが目立ちます。ニュースは年代が上になるほど多くのアプリが20位以内にランクイン。昭和世代の40代は3個、50代は6個、そして60代は9個と突出しています。
ただ、若年層がニュースに触れないかというと、必ずしもそうとも言えません。なぜなら、若年層がよく見ているYouTubeやTikTokでテレビや新聞各社がニュースを配信しているからです。その世代の時代背景は、アプリの顔ぶれだけでなく情報取得の手法にも色濃く反映されています。
また、10代〜30代は電子書籍・コミックが3〜4個と40代以上に比べて多くなっています。20代と30代はKindleが入っており、電子書籍で本を読む人が多い世代であることが見てとれます。紙媒体からデジタルへとコンテンツ接触の機会が移行している姿が見えてきます。
データの掛け合わせで価値を発揮する
MAU上位20アプリから見たZ世代と昭和世代のデジタル活用の大きな違いは、ジャンルを問わずコンテンツ消費そのものが旺盛なデジタルネーティブのZ世代と、ニュースやラジオといった昭和世代が慣れ親しんだフォーマットのサービスをデジタルに置き換えて利用する昭和世代という形で垣間見ることができました。
これらの大きな世代を取り巻くアプリの利用動向は、時代や消費の大きな流れを捉えたさまざまな施策や戦略、思考を支えることにつながります。
人々の生活に刺さるサービスや商品・コンテンツのあり方など、ビジネスや事業の方向性を捉えるための“羅針盤”として、アプリのデータの役割はますます高まっていくでしょう。
今回紹介した年代別MAUランキングは、各アプリのユーザー規模を示すものですが、利用時間や起動回数などの利用頻度を掛け合わせると、さらに世代の特徴が浮き彫りになります。
2月末に公開予定の「アプリ市場白書2022」では、「Z世代」「ミレニアム世代」「X世代」の3つの世代に区分し、それぞれの特徴を複数の指標をもとに紹介しています。どうぞお楽しみに。
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