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ハードオフ×フラー 大手リユース企業とITベンチャーの歩んできた道のりとは?(連続インタビュー第2回目)

フラーは、リユース事業を全国で展開するハードオフコーポレーションと、2020年11月24日をもって事業提携を結びました。

フラーはこれまで、スマートフォン向け『ハードオフ公式アプリ』のリニューアルや、『オファー買取アプリ』の新規リリース、店舗スタッフ向け業務システムの改善にポイント基盤の刷新、そしてデジタル領域のリブランディングなどを手掛けています。

本記事は、ハードオフコーポレーション×フラーの今をお届けする連続インタビューシリーズの、第2回目。

第1回では、ハードオフコーポレーション代表取締役社長 山本太郎さまに、「フラーとハードオフの出会い」から「協業でのアプリ制作の手応え」「事業提携に至った理由」などについて、フラー代表取締役会長の渋谷、代表取締役社長の山﨑を交え、お話を伺いました。

(第1回目はこちら↓)

今回は、ハードオフグループのデジタル領域改革におけるキーマン、ハードオフグループ・リンクチャネル株式会社代表取締役社長 入倉孝行さまに、「フラーと歩んできた、ハードオフIT化の道のり」について、フラー・カスタマーサクセスグループ代表の林を交え、お話を伺いました。

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入倉 孝行:リンクチャネル株式会社 代表取締役社長
1977年生まれ、新潟県出身。2000年3月、株式会社ハードオフコーポレーションに新卒として入社。2002年4月店長に就任、本店の新発田店も4年間務めた。2004年より加盟法人SV及び直営統括店長を兼務し、2011年から直営店舗運営部日本海ブロック担当へ就任。その後、店舗運営業務全般指揮、海外店舗立ち上げ店長などを経て2019年より“Re“NK CHANNELプロジェクト参画。2020年4月よりリンクチャネル株式会社代表に就任。

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林 浩之:フラー株式会社 執行役員 カスタマーサクセスグループ長
1991年生まれ。愛知県出身。同志社大学在学中にITベンチャーを創業。同社を6年間経営し、BtoCプロダクトを複数展開。事業立ち上げから拡大までの全行程を担当し、事業を売却。その後株式会社ドワンゴに入社、月額制コミュニティサービスの運営に携わりアプリチームの統括リーダーとして2年在籍。2018年8月フラーに参画し開発する全アプリの戦略を担当、組織拡大にも貢献。2020年7月には執行役員カスタマーサクセスグループ長に就任。ユメは世の中の「あたりまえ」を少しでも変革すること。
リンクチャネル株式会社:
主にPOSシステムの開発・保守等を担当する、ハードオフコーポレーションの100%子会社。今後は、ハードオフコーポレーションのアプリやWeb等の開発・運用の一部内製化を目指す。

━━ハードオフグループのデジタル戦略の推進について、ハードオフグループではどのような形をお考えですか?

リンクチャネル入倉社長:
ハードオフは現在、『”Re”NK CHANNEL』という、ハードオフ版のオムニチャネル構想を掲げています。
オムニチャネルというと、大抵、ネットとリアルをくっつけることを指すかと思うのですが、ハードオフの『”Re”NK CHANNEL』は、また違った形態です。中心に実店舗があり、それをデジタルの力やリアル側の仕組みなどでサポートします。

出張買取やアプリ、ECなど、ユーザーさんとの接点にはいろいろな形があります。それらについてすべてのパイプを太くしながら、その真ん中には必ず実店舗がある——というのが、ハードオフグループが掲げる『”Re”NK CHANNEL』です。

ハードオフグループの一つである弊社の社名も、リンクチャネル株式会社。これは、『”Re”NK CHANNEL』という名前や概念そのものを世に広めていきたい、『”Re”NK CHANNEL』プロジェクトを加速させていきたいという、ハードオフ社長・山本や、私自身の想いから来ています。

━━その中で、フラーにお任せいただいている役割はどのようなものでしょうか

リンクチャネル入倉社長:
フラーさんには、この『”Re”NK CHANNEL』プロジェクトにおいて、アプリやサービスの開発・リニューアル、またそれに限らない分野で、具体的なデジタル領域改革を推進していただいています。

私たちハードオフグループのリンクチャネル株式会社も、理想としては、自分たちでアプリ開発をできるようにしたいという想いではあります。
ただ、実際に動き出してみると、最初からそれを行うのはやはり難しいところがありました。餅は餅屋です。


フラー林:
非IT企業がデジタル部門を新規で構築し機能させるのは、たしかに難しい話ですよね。
でも、フラーをパートナーとしてデジタル戦略を推進していく中で、もしハードオフさんが完全にデジタル部門の立ち上げを果たせるのであれば、僕としてはそれはいいことだなと本気で思っています。

こういう話をすると「フラーの仕事なくなっちゃうじゃん」なんてよく言われるんですが、アプリやサービスをこちらで創るだけで終わるのではなく、クライアントさんがご自身で創れるようにご支援することまでできたなら、それこそが本当の意味で、クライアントさんのデジタル推進の完了だと思うので。

ですので、餅屋として僕たちはアプリを創っているのですが、最終的には創るという能力そのものをお渡しすることが、ゴールかなと。

リンクチャネル入倉社長:
私たちとしてもそれを目指しているのですが、一方で私個人としては、フラーさんから100%すべてのお仕事を引き取るつもりはありません。
例えば、iOSやAndroidなどのプラットフォームのバージョンアップやそれに伴う変化を、自分たちだけで把握し続けられるかというと、やはり難しいと思っています。また、創る面で言えば、デザイナーさんの育成などは、社内で行うのはとてもコストがかかるだろうと。

なので、ある程度は移管させていただきながら、その上で、お互いがうまくWin-Winになるラインを探していけたらいいなと思っています。

━━ハードオフグループは、そもそも、どういった流れの中でデジタル化を見据え始めたのでしょうか?

リンクチャネル入倉社長:
私たちハードオフグループには、「利益を生むのは現場でしかない」という考えがあります。
なるべく間接コストをかけず、ローコスト運営を徹底する。これが企業思想にあるんですね。
なので、デジタル化については、必要最低限のコストで社内の担当者ががんばる……という形でやってきました。

ですが、それではやはり限界があるなと。
特に5、6年前くらいの時期には、日本の世の中全体で、デジタルシフトが強く意識される流れがありましたよね。
ハードオフグループも、外との意見交流が増えてきたこともあり、これまでの思想を保持するだけでは将来的なステップアップは難しくなるだろうと考えるようになりました。
デジタルシフト、IT化……そういった流れに自分たちも乗らなくては、と。

そこで、ハードオフ社長の山本が直接音頭をとって、フラーさんの前にお付き合いしていたベンダーさんと、まずはミニマムでスタートすることになりました。

ただ、ミニマムだったからこそ、グループの店舗規模などから不整合も発生してしまいました。今にしてみれば、私たちハードオフグループ側にアプリ開発の知見が足りなかったことが原因だったなと感じています。
足りない知見を寄り添いながら支えてくれるベンダーを探して、フラーさんにお願いし、現在に至ります。


フラー林:
デジタル戦略の推進をすべて自社でできるのは、例えばディー・エヌ・エーさんやヤフーさんのような、元からデジタルの遺伝子を持った企業さんでなければ、どうしても難しいです。
先ほど入倉さんが仰ったことはやはり正しくて、餅は餅屋なんだと思います。そして、ハードオフさんは、リユース業の餅屋さんです。

そうなると、そういった会社さんがデジタル戦略を推進していこうと考える場合、それぞれの専門領域を尊重しながら、共に先を見据えて戦略を構築していく必要があります。

このとき大切なのは、僕たちの側もクライアントさんの側も、特にデジタルの分野においては、今現在どれだけうまくいっている戦略・システムでも、いずれは必ず賞味期限が切れるという現実を、常に意識することだと思います。

たとえ一時、ベンダーとクライアントさんがとてもいい関係を築けて、いいやり方で事業を回していけたとしても、その形に固執してはいけないんです。お互いが変わり続けていかないと、必ず時代遅れになる。
だから僕たちは、まず自分たちが柔軟に変わり続ける意識を常に保ち続けなければならないし、そして、それを摩擦なくハードオフさんの側にちゃんと伝えて、求めていかなければいけないな、と。

逆に言えば、そういった変化し合う体制が築けたなら、それは会社として10年20年30年やっていける事業になるし、パートナーとしてずっと一緒にやっていける関係になるんじゃないかなと思っています。

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今のハードオフさんとの関係でたくさんあるいいところの中の、特にいい点として、単なる請負や保守ではなく、デジタル領域の意思決定における裁量をいただける形で契約をしていただいている関係上、僕たちが、「高い水準でのシステムの維持」にコストを使えていることが挙げられます。

クライアントさんからすると、裏側が変わっているだけではあるので、どうしても表面的にはメリットがないように思われてしまいがちなのですが、これはとても重要なことです。
ここにコストをきちんと払っておけば、賞味期限切れを防いだり、少なくとも遅らせることができるので。

━━他に、非IT企業のデジタルシフトにおいては、どのようなことが重要だと思いますか?

フラー林:
これまでフラーが多方面でお手伝いをしてきた経験から、クライアントさんの側のお話をさせていただくなら、一人でもいいので、クライアントさんの側にデジタルに詳しい人がいらっしゃるかどうかが、かなり大きな違いになると感じています。

いないとどうなるかというと、デジタル戦略を考えることも、やろうと決めたことについて社内稟議を通すことも難しくなります。事業計画を構築する人がいない状態です。
この状態で、いわゆる従来の一般的な受託型で動く、請負開発のシステムベンダーと組んでお仕事を始めてしまうと、とても厳しくなります。
そういったベンダーはあくまで、クライアントさん側で意思決定されたものの制作を請け負うのがお仕事です。
なので、この場合、クライアントさんの側にもベンダーの側にも、つまり事業のどこにも、適切にデジタル戦略を構築できる人間がいない状態になってしまうんです。

だから、クライアントさん側にデジタルに強い人材がいるかいないかはかなり重要なんですが、非IT企業ですと、それはなかなか……。

リンクチャネル入倉社長:
いないですよね。だって採用してないですから。

フラー林:
そうですよね。いなくて当たり前なんです、それは仕方のないことです。

そういったクライアントさんには、フラーはすごくマッチすると考えています。フラーは、プロダクトを創るだけではなく、徹底した顧客理解を行った上で戦略を立てるところからお付き合いし、方針を決める場にも立ち会います。
もの創りのプロだけでなく、デジタル戦略を考えられる人間までセットになったチームで、クライアントさんのプロジェクトへ参加させていただく。それがフラーのやり方です。

フラーは、特に最近、デジタル戦略を構築できる人材を積極的に採用していますし、中で育ててもいます。
こうすることで、デジタルに強い人材のいない企業さんに対して、デジタル戦略を構築するところからご一緒することができる、と。

そして同時に、クライアントさんの——今回で言えばハードオフさんの中に、まずは一人でも、デジタル戦略を立てられる人材を生み出すことができたらいいなとも考えています。
それがゆくゆくは、先にもお話した、ハードオフさんの中にプロダクトを内製できるデジタル部門を創ることにつながるので。


リンクチャネル入倉社長:
そうですね、デジタル戦略を立てられる脳を持ったメンバーを、社内にまずは一人育てたいですね。
ハードオフグループにはまだその土壌がないのが現状なので、今後、フラーさんから教育のためのリソースをいただいて、ディレクターやエンジニアを育てていけたらなと思います。
それがお互いにとってのステップアップになったらいいですよね。

実際、フラーさんにはもう既に、弊社のメンバーへの教育研修を行なっていただいています。今は週1で、これからはもう少し、頻度を増やす予定です。
内容としては、おそらくフラーさんがインターン生にお教えしていらっしゃるようなものですね。とにかく、まずはそういうレベルからです。
これからも一緒にデジタル領域のプロジェクトを進めていくためには、こちらがそこで使われる共通言語を持たなくてはいけませんから。

デジタル部門の立ち上げという目標を考えればまだまだ下準備の段階ではありますが、これから少しずつギアを上げていきたいですね。

━━実際にフラーとプロジェクト進めていく中で、「これがフラーのやり方か」と実感したことは、何かありますでしょうか?

リンクチャネル入倉社長:
プロジェクトを担当してくださるフラーメンバーさんの、業務理解への執念ですね。

特に、弊社メンバーから"店長"と呼ばれている方がいらっしゃるんですが、例えば新店がオープンするという話を振ったら、「あそこはあの法人さんのところですよね」「オープンはいついつですよ」と返ってくる……(笑)
もう、ハードオフグループの本物のいち店長より事業について詳しいです。
おかげで、ハードオフ社長の山本なんかは、その"店長"さんのことを愛してますからね(笑)

翻って、「自分の方はフラーさんに対して、ここまで気持ちを入れることができるだろうか」とも考えましたね。
本当に尊敬しています。『お客さまと共に創る』というフラーさんのスタイルの、その最たる例は"店長"さんだなと思います。

また、創る面でいえば、フラーさんはギブアップをしない。
特に、『オファー買取アプリ』のリリースのときは、プラットフォームの審査に弾かれるということが重なり、デッドラインが迫る中、最後の方はかなりハードな状況になっていました。
でも、フラーの開発メンバーさんは、そこをしっかりやり切ってくださった。

フラー林:
フラーって、文化として、誰に言われたわけでもないけど自分ごととして責任を持って最後までこだわる、という人間が多いんです。
僕にしても先ほど話に挙げていただいた"店長"にしても、そしてエンジニアやデザイナーといったメンバーにしても、途中で諦めて適当に妥協することなんて、はっきり言えばいくらでもできます。
できるんですが、諦めないでこだわって、最後までやり抜いてしまう。
クライアントさんが第一だから……という綺麗な言葉だけで飾るつもりもないんですが、一緒にいいものを創りたいという気持ちが、強くあります。
僕たちは、クライアントさんや、その事業が好きなんです。

リンクチャネル入倉社長:
あのとき思い出したのは、ハードオフ店舗の新規開店、グランドオープンのことです。
今でこそノウハウが溜まってきてスムーズにいくようになったのですが、10年15年くらいの前のころは、グランドオープンとなると3日前からほぼ徹夜続きだったりします。少しでもお店をいい状態にしてお客さまをお迎えするために。

リリースに向けて妥協せずやり切るという、あのフラーさんの姿勢には、そのころの自分たちの姿が重なりました。
嬉しかったですね、すごく。
あのとき、フラーさんへの信頼感というのが、やはり一段上がった気がします。

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フラー林:
ありがとうございます、そう言っていただけると嬉しいです!

店舗とアプリって、僕も似ているなあと思います。創って終わりじゃなくて、オープンやリリースをしてからお客さまが実際に利用し出すので、ずっと運営し、拡大をしていかなければいけない。
ずっと改善していく必要があるし、時代に合わせ続ける必要がある。このあたりの考え方が似ているなと。

僕の方から逆に、「これがハードオフさんか!」と尊敬したこともお話しさせていただければ。
なんと山本社長も入倉さんも、ハードオフ店舗の店長さんおよそ1000人の名前と顔がだいたい一致するとか。


リンクチャネル入倉社長:
はい、一致しています。

フラー林:
圧倒的な尊敬を覚えます。ものすごく、人を見ていらっしゃるわけですよね。
そういうことに長けている事実と、実際に気を払っている姿を見た時に、自分も、フラーという会社において舵取りをする位置にいる人間として、「こういう人たちみたいになりたいな」と思ったことをよく覚えています。

あれは、どういう経緯で身につけられたお力なんですか?


リンクチャネル入倉社長:
やはり1年に1回とか、そうでなくとも何ヶ月に1回しかお会いできない方々は多々いらっしゃるわけです。そういった方々といざお話できる機会ができたときに、私の個人的な考えではあるんですが、やはり「ロスなくこちらの想いを相手にお伝えしたい」なと。

相手を"その人"として認識しているかどうかで、声の伝わり方、そこに込めた言霊の伝わり方って変わると思っています。
「おはようございます、実はですね」と話を始めるのと、「おはようございます、林さん、実はですね」と始めるのでは、やっぱりその後の業務の進み方が全然違うわけです。

というか、そもそもシンプルなんですよ、うちの会社って。「名前を呼ぶのってなんかいいよね」というか、「先に挨拶できたらなんか気持ちいいよね」というか。名前を覚えた方が相手に喜んでもらえるだろうし、相手からの言葉を待つよりも自分から声をかけた方が気持ちがいい。
そんなシンプルなことの積み重ねが、うちの強みでもあったりするんだろうな、なんて思います。

━━プロジェクトを進めていく中で、関係性に変化はありましたか?

フラー林:
当初と比べ、今はハードオフさんの側からもご提案やご意見を多くいただくようになったなと強く感じます。
これは、間違いなく正解だと確信しています。

ハードオフさんからいただいたご提案について、基本的に、単に跳ね返すようなことは避けています。が、一方で、鵜呑みにしないよう気をつけてもいます。

たとえば、ものすごく単純な例示で恐縮ですが、ハードオフさんが「ここのボタンは青でいこう」と仰ったとします。
僕たちはデジタル領域の専門家として、「青でいくかいかないか」を考えるだけではなくて、「そもそもどうして青がいいとお考えになったのか」ということを、きちんとコミュニケーションをとって噛み砕き、理解した上で判断することに努めています。

「青がいい」と言われて、ただその通りにするだけでは、僕たちがいる意味がありません。青を試してダメだったとき、「青ではダメです」と言うだけでも足りない。
どうして青がいいと思われたのかを探って、もっと本質的な理解をし、求めていることを実装する。それは青のボタンかもしれないし、別の形かもしれない。
これがすごく大切です。

このように、お互いにお互いの意見の本質をちゃんとわかり合う姿勢があるというのは、プロジェクトにおいてすごく重要ですよね。
なので、今のハードオフさんとの関係は、とてもいいものだと確信しています。

また、こういった、普通は同じ組織の中でしかできないようなことが、ハードオフさんとフラーという別の組織の間でできているというのも、すごくいいことだなあと。
外注ではあるのだけど内製の部門のように動くパートナーという、フラーの特長がよく現れていると思いますし、これが本当の意味でのパートナーだという自負もあります。


リンクチャネル入倉社長:
今は、知見や技術という観点でいうと、一方的に私たちがフラーさんからいただいているような状況だと、私は思っています。
ですが、今回、事業提携に至りました。であれば、ハードオフグループ側からも、フラーさんがステップアップされるための知見や技術をお渡ししなければなりません。

私たちは、デジタル領域ではひよっこですが、何十年と実店舗の運営を行っていますし、直接お客さまとやりとりをしています。古物の取り扱いについても、もちろん知見があります。
こういったものを、いずれご提供していけたらなと考えています。


フラー林:
僕個人の意見としては、ハードオフさんからぜひ、『接客』と『実店舗運営』についての知見をいただきたいですね!

コロナ禍のこともあって、接客のあり方がこれから変わるかもしれないなと、少し思っています。肌触りの良い言葉を使うなら、接客という領域でのDXみたいな。
でも、接客そのものがなくなることはないはずです。
また、やはりコロナ禍で「実店舗ってどうなんだ」なんて声もありますが、僕は実店舗も、やはり絶対になくならないと思っています。

フラーのお客さまには、ハードオフさんのように実店舗をお持ちで、接客という機能を重視していらっしゃるクライアントさんも多くいらっしゃるので、ぜひハードオフさんからいろいろ知見をいただけたら心強いですね。

願望というか、夢物語を語らせていただくなら、前の山本社長とフラーの渋谷・山﨑の対談でもそんな話が出たかと思うのですが、デジタル技術をより活用した実験的な店舗を一つ、作らせていただきたいなと思っています。
既存のシステムとは切り離して、無人で在庫を管理して、デジタル技術を使った何か新しい接客の形を実現して……そんな、いわゆる次世代型の買取・販売店舗を模索できたらなと。
いつかぜひ、やってみたいです。
これは僕たちが、ハードオフさんからたくさんの知見や技術をいただける場になると思います。

リンクチャネル入倉社長:
そういうことが実現できたときに、はじめて双方向の関係になりますよね。
今はハードオフ側が一方的に知見や技術をいただいてる形なので、事業提携とはいっていますが、まだまだファーストステップ。
お互いに次のステージに上がるため、次のステップについてこうしていろいろと話す機会があるのは、いいことだなあと思います。

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━━ちょうど未来のお話をいただけましたので、最後に、直近の目標や計画などについてお教えいただけますでしょうか

リンクチャネル入倉社長:
ハードオフグループの一員として、デジタル領域の内製化を命じられている私たちリンクチャネル社としては、先にも言った通り、アプリやウェブサービスについて、フラーさんにすべて"おんぶに抱っこ"という状況にはならないようにしていきたいと思っています。
それが次のフェーズかなと。

本年度で、開発については、大きな案件はもうピークを超えましたよね?


フラー林:
そうですね、大きなものは一通り片付いた印象です。


リンクチャネル入倉社長:
なのでこれからは、アプリやサービスをお店でたとえるなら、もっと繁盛させるためにはどうしたらいいのか、お店の機材のメンテはどうしたらいいか、お店自体の改良はどうするべきかなどを、じっくり考えていかなければいけません。
そこを、フラーさんに手を引いていただき、教えていただきながらも、少しずつ自分たちでも歩けるようにしていきたいですね。

きっと、私たちとフラーさんとで、噛み合わないことがこれからまた出てくると思います。「アプリのこの部分をこうしていきたいよね」と一方が言っても、もう一方が「いや、今の優先順位はそこじゃない」と判断したりとか。

仲が良くてもぶつかり合うことはあります。良好な関係のまま、そういう風に意見を言い合って、それでお互い成長できればなと思います。

また、ハードオフグループとしての観点から言うと、次は買取の増大を目指したいところですね。後は、既存商品の回転率の向上と、新規商品販売の効率アップ。
そのあたりを、フラーさんと一緒に考えていきたいです。システムをバージョンアップさせる必要があるのか、アプリのグロースで済みそうか……などなど。

それから、今回の事業提携によって、企業イメージのリブランディングもしていけたらなと。リユース一辺倒でやってきた会社ではあるんですが、フラーさんのような新しい企業さんとも組む、そんな新たな一面もありますよ、というのを発信していけたらいいなと思います。


フラー林:
ありがとうございます、すごく納得感があります。

フラーとしては、まずアプリについてのことを。
『オファー買取アプリ』は、これから何回か進化をさせなくてはいけないなと思っています。

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オファー買取 / iOS
オファー買取 / Android

もともと『オファー買取アプリ』は、『ハードオフ公式アプリ』の中のいち機能を、独立したアプリとして切り出したものです。
これは、オファー買取という仕組みがとても魅力的に思えたからそうしたのと同時に、実際のところ世の中にフィットしているのかどうかを正確に知りたかったからでもあります。『ハードオフ公式アプリ』というものの中に入っている状態では、オファー買取という仕組み単体の地力を測ることはできないので。

1年間、運営と改善を繰り返しながら数字を追ってきた結果として、世の中に求められているものであるとの確信は得られました。
少なくとも、世の中に求められてないものではないだろうと。求められていないサービスというのは、本当にビタっと数字が動かないものなので。

とはいえ、十分なマーケットフィットをしているかといえば、まだそうとは言えません。これから1回か2回、きちんと進化しなきゃいけない。逆に言えば、『オファー買取アプリ』は進化するという権利を持っているアプリです。
入倉さんも仰ってくださったように、大きな開発がひと段落ついたので、これから、『オファー買取アプリ』についてしっかり考えるべきタイミングが絶対に来ると考えています。

また、『ハードオフ公式アプリ』については、奇天烈なことはせず、ハードオフのファンの方々が欲しいと思ってくださっているものを、正面からちゃんと作ること。それを至上命題に置いています。
誰も想像してないけど実は求めてるもの……とか、そういうのを狙うのではなくて。

こちらは今、フラーがリニューアルして3ヶ月ほどですが、このあたりで一回、ハードオフファンの方々が何を求めていらっしゃるのか、精査してみるタイミングかなと思います。

また、以上二点とは別に、何か優先度の高いものを創り始める時期でもあるかなと。それが買取・販売系のものなのか、バックオフィス系のものなのかは、まだわからないですけど。
なので、改めて考えることと、新しく創ること。この二つが並行する年になるのかなと思います。


リンクチャネル入倉社長:
一緒ですね、まったく同じように思います。
『オファー買取アプリ』は脱皮が必要です。世の中に刺さったとまでは、まだ言えない。
『ハードオフ公式アプリ』では、基本的には今まで通り真っ当にやっていき、そんなハードオフを愛してくださるお客様を裏切らないようにしつつ、ブランディングの一環として、その中にちょっとした遊びのようなものを入れていけたらなあとも思っています。
ハードオフのイメージを、少し柔らかくしていけたらいいなと。
デザインの力をお持ちのフラーさんからいろいろなご提案をいただきながら、一緒にやっていきたいです。

また、全体としては、これまでの施策の効果検証をきちんとして、適切な回収を行うための年にもなるだろうなと考えています。そういうものをちゃんとやってこそなので。

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