見出し画像

月次アプリ情勢報告2021年3月版:ECが好調、ゲームは「ウマ娘」が大ヒット

スマートフォン(スマホ)が幅広い年代層に浸透した結果、スマホアプリのデータは世の中の「映し鏡」として存在感が高まっています。

そこでApp Ape Labでは、最新月のスマホアプリの利用動向データから市場や人々の生活、トレンドの変化を毎月紹介する「月次アプリ情勢報告」を4月からスタート。市場全体の大きな動きや個別のトピックについて解説します。

アプリを使った可処分時間消費・行動は大幅に増加

アプリ情勢報告21年3月版.001

コロナウイルス の影響が顕在化してからちょうど1年となる2021年3月の月間利用者数(MAU)上位500アプリの合計MAUは前年同月に比べ36.7%増、前月に比べ4.0%増と上昇傾向にあることがわかりました。

コロナウイルスの影響が長期化する中、ウィズ・コロナの新しい生活様式への変化に伴うインドア・巣篭もり化で可処分時間や行動様式がアプリを含むオンラインに急速にシフトしているほか、コロナをきっかけに小売や金融など幅広い分野でデジタルトランスフォーメーションが加速した様子を反映していると筆者は見ます。

ピックアップその1:ショッピングカテゴリーはECが好調

アプリ情勢報告21年3月版.002

3月の一つ目のピックアップカテゴリーは「ショッピング」です(カテゴリーはGoogle Play Storeに準拠)。

21年3月のショッピングカテゴリーのうち、EC機能を有するMAU上位30アプリの合計MAUは前年同月比43.9%増、前月比5.2%増と著しく伸長しました。

実店舗の営業時間短縮や外出自粛により、この1年で購買行動そのものが大きくオンラインにシフトしている様子が分かります。

一方、実店舗が苦戦しているかと言えば、アプリのデータを見る限り一概にそうとも言えなそうです。

ユニクロが毎月公表している売上推移速報によると、日本国内のユニクロの21年3月の客数は、直営店+ECで前年同月比47.9%増となりました。

アプリ情勢報告21年3月版.003

App ApeでユニクロアプリのMAUを見ると、21年3月は前年同月比74.8%増、前月比20.9%増となりました。昨年の外出自粛からの反動もありますが、感染対策を講じた上で時流を捉えた商品展開で客足を確保し、コロナ禍での収益増につなげている姿が浮かび上がります。

アプリのリニューアルによって施策面を強化したことでユーザーの大幅増に成功したのが「西松屋アプリ」です。

アプリ情勢報告21年3月版.004

App Apeが毎月まとめているトレンドランキングによると、アプリ全体で前月比936.0%増と最も高い利用者数の増加率を記録しました。前年同月比でも1168.5%増と飛躍的に数字を伸ばしています。

西松屋は3月1日からアプリ会員限定ポイントプログラム「ミミちゃんスマイルプログラム」を開始。ポイント関係に敏感な子育て世帯のニーズを汲み取った形です。

店舗系アプリのインセンティブとしてポイントはやはり大きく、世代的なニーズも合致したと筆者は見ています。

ピックアップその2:ゲームは「ウマ娘」が大ヒット

アプリ情勢報告21年3月版.005

もう一つのピックアップカテゴリーは「ゲーム」です。

21年3月のゲームカテゴリー全体のMAU上位500アプリの合計MAUは前年同月比6.0%増、前月比1.1%増となりました。

特に21年3月のゲームカテゴリーのうち、「シミュレーション」のMAU上位30アプリの合計MAUは前年同月比8.6%増、前月比28.3%増と著しく伸長しました。

同カテゴリーの伸長をけん引したのは「ウマ娘 プリティーダービー」です。MAUランキングでは初登場5位に食い込みました。

超長期運営タイトルが上位をほぼ独占する中、2019年9月にマリオカートツアーが4位、ドラゴンクエストウォークが5位となって以来1年半ぶりの新規タイトルによる初登場トップ5入りとなりました。

「ウマ娘」の大ヒットは、メディアミックスの先行が奏功したことや、「競馬」というキラーコンテンツにアイドル要素が加わる意外性で競馬がライトに好きな層・アイマスやデレステ系のアイドル系のゲームが好きな層・育成系のゲームが好きな層・音楽が好きな層などさまざまな層を取り込んだことが大きいと筆者は見ています。

アプリ情勢報告21年3月版.006

実際、App Apeによると、「ウマ娘」を同時に所持するユーザーの割合が高いアプリは、やはり同じように擬人化を核とするアズールレーンなどYostar系のタイトルとアイドルを軸とするバンダイナムコ系のタイトルです。

同じCygamesの「シャドウバース」のユーザーも「ウマ娘」を所持しています。

今後どこまでウマ娘の人気が波及していくのか注目です。

ーーーーー
App Apeで蓄積するスマホアプリの利用動向データから市場や人々の生活、トレンドの変化を紹介する「月次アプリ情勢報告」は、次月以降、毎月上旬に掲載する予定です。

筆者・日影耕造(ひかげ・こうぞう):建設業、農業の各専門新聞記者として合計10年活動後、2017年フラー入社。データに基づくコンテンツ作成やマーケティング、SNS運営、広告運用、プロダクト広報などを手がける。趣味はギターと焚き火。自転車と登山も好き。最近は釣りにはまりつつある。

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

最後までお読みいただきまして、ありがとうございます!もっと詳しくフラーを知ってみませんか?