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データは事実だが真実ではない。データを駆使して価値を生み出すのに重要なマインド:NRIのApp Ape活用事例

日本を代表するシンクタンクで幅広い領域でコンサルティング業務を手がける株式会社野村総合研究所(NRI)は、さまざまな事業領域での情報収集や仮説構築、リサーチの足がかりとなるデータソースの一つとしてアプリ分析サービス「App Ape(アップ・エイプ)」を活用しています。

App Apeを含むさまざまなデータから価値を見出すため、日々心がけていることや、データを分析する上で気をつけるべき事柄などについて、App Apeの活用方法と共に伺いました。(敬称略、NRI本社にて取材。撮影中はマスクを外しました)

株式会社野村総合研究所 
コンサルティング事業本部 IDエコシステムグループ グループマネジャー
冨田 勝己(とみた かつみ)氏

2001年野村総合研究所入社 、コンサルティング事業本部配属。IDエコシステムグループ グループマネージャー。専門は顧客基盤を活用したサービスや事業の企画〜立上げ、実行支援。主にポイントプログラムやキャッシュレス決済サービスに関するプロジェクトが多いが、データ利活用に関するものも多く手掛けている。

データから見出した結果は事実だが“真実”ではない

ーー冨田さんはどういった業務を手掛けられていますか?

冨田:基本的にはビジネスコンサルティングを手掛けています。マネージャーという立場で10〜20人前後のメンバーを率いて取り組んでいます。

事業やサービスで特に顧客基盤を有するクライアントに対し、どんな事業やサービスを手がけていくべきか、一緒に考えながらお手伝いさせていただいてます。

担当分野で多いのは、モバイル・キャッシュレス決済やポイントプログラム、ロイヤリティープログラムに関係する分野です。そこから派生して個人の消費や購買など、いわゆるパーソナルデータ利活用のサービスや事業モデルの構築についてお手伝いをすることもあります。

ーー冨田さんと言えば、やはりご専門であるポイントやモバイル・キャッシュレス決済です。筆者が初めて冨田さんにキャッシュレス決済のお話を聞いたのはフラー主催の2019年のデジタルコンシューマーサミットでした。あれから3年が経ちましたが、決済を取り巻く状況をどう見ていますか?

冨田:当時からかなり様相は変わってきています。各社が販促原資を大規模に投入している面と、キャッシュレス・ポイント還元事業やマイナポイント事業といった行政による大規模な原資の投入もあって、キャッシュレスの浸透が猛烈なスピードで進んできています。

一方で、まだまだ変わらない部分もあります。例えば、3年前の登壇でも指摘しましたが、いくつものアプリを経由しないとネット決済までたどり着けないというストレスが続いてる部分もあり、変化は一様ではありません。そういう意味でモバイル・キャッシュレス決済はまだまだ過渡期と言えるでしょう。

デジタルコンシューマーサミットでいくつものアプリを経由しないと決済に辿り着けないストレスについて解説する冨田さん

ーー冨田さん自身がデータに触れる機会は日々どれぐらいありますか?

冨田:プロジェクトの状況にもよりますが、積み上げると月に2〜3日程度はありますね。2〜3日間まとめてというよりは、担当するプロジェクトのデータ分析フェーズに合わせて1週間に1日といった具合に定期的に見る形が多いですね。

アンケート調査の回答結果をローデータから加工・成形して、グラフを作ってーーということを自分でやることもあります。

ただ、昔と比べるとローデータを全部見て、エクセルや統計ソフトを使うといった、実際に自分で回すという形でのデータに向き合う機会はずいぶん減ってきています。

マネージャーという役職上、データに触れて手がけられる時間自体が減ってきているからです。

ーー限られた時間の中でデータを収集、分析する必要がある時にご自身の中で心がけたり、気を付けたりしてることは何でしょうか?

冨田:データから見出した結果は“分析の結果”でしかなくて真実でもなければ、場合によっては事実でもない場合があるーー。それを常に念頭に置いています。

例えば、調査員が無作為にお宅を訪問して調査票・アンケート票を置いて、2、3週間後にまた取りに来るという昔ながらの「訪問留置法」という調査手法と、ポイント等のインセンティブを目的に登録している人(いわゆる登録モニター)たちを対象にしたネットアンケートでは、同じ性年代構成だったとしても回答の内容・質が違います。

これはどちらかが事実ではないということではなく、“二つの事実”なのです。

ちなみに、「どちらが真実か」というと、実はどちらも真実ではありません。国勢調査のように全数調査でない限りは、真実と言ってはいけないと思っています。

サンプリングする母集団を含め、その調査方法で代表性は大きく変わってくるなど、さまざまな要素によってデータから出てくる結果や事実は変わります。

また、データの整形・加工がどこかで一箇所でも間違っていると、事実ではない結果が出てきてしまう可能性すらあります。こういうデータを扱い、精緻な分析を進めていくからこそ、現場での勘と経験も実は重要なのだと、長年データを扱ってきた自分としては感じます。

アプリの実態をいち早く観測できるのは非常に利便性が高い

ーーそのような中で、App Apeのデータはどういうシーンで利用されていますか?

冨田:App Apeは序盤のリサーチ部分で使うことが多いです。

例えば、ポイントプログラムについてリサーチすることが決まったら、まずApp Apeで色々な会社のポイント系アプリを比較して現状を把握しています。また、ここまでどのような推移で伸びてきたのかを見たり、ユーザー構成を調べたりもします。

App Apeから見たアプリに関する事実を確認した上で、別のデータと比較したり掛け合わせたりして、複線で事実をたぐり寄せていくためのデータソースの一つとして活用しています。

ですので、顕在化した課題があってのApp Ape活用というよりも、何らかの課題や気づきを発見するための、一つのデータとして価値を感じて導入した背景があります。

App Apeのダッシュボードのイメージ。複数のアプリの各種指標を比較できる

ーーいくつもあるデータソースの一つとして、App Apeのデータを御社の中でご活用いただく上での決め手はどこにあったのでしょうか?

冨田:魅力的な価格はもちろん一つの要因ですが、それ以上にこちらの追加要望に応じてくれることが大きかったですね。データの利用の仕方や追加などの相談に対し、真摯にご対応いただいている点は非常に大きな価値を感じています。

ーー実際にApp Apeのデータを使ってみて、どんな価値を感じていますか?

冨田:アプリという観点で実態をいち早く観測できるのは非常に利便性が高いなと感じています。前日のアクティブユーザーまでカウントできるというのはすごく価値が高いと思います。

あるアプリのローンチ直後や、アプリに関するニュースが流れた直後にどのようにユーザーが動いたのかがすぐに観測できるので、いわゆるイベントのインパクト評価にも使えたりします。

また、これはまだ試したことはありませんが、企業の過去の発表や公表のタイミングデータとアプリの日次データや週次データを掛け合わせて、発表からアプリの利用にインパクトが出るまでどれくらいの時間がかかるのかを推計するのも非常に面白いのではと思っています。

ーーApp Apeの機能やデータについて改善や要望がありましたらぜひお聞かせください。

冨田:データについては実は今のところ不足は感じていません。他社アプリに関して把握できる、管掌できる範囲のかなり詳しいところまで入られているなと思います。

集計の手法上どうしても難しいところではありますが、ローンチしたてのアプリのデータは残念ながら見ることができない点はあるものの、データそのものはメジャーなアプリを中心に比較的誤差のない状態になっていると思います。

機能については、先ほどお話ししたインパクト評価をダッシュボードで一気通貫でできれば便利ですね。増減率に大きな変化が起きた時の前後の公式発表や、アプリ関連のニュース記事などのデータが表示されたらもっと便利になるなと思います。私たちもクライアントとやり取りの時にすぐに何らかの示唆を示すことができます。

ーーカスタマーサクセスについてはいかがでしょうか?

冨田:こちらも不満は無いですね。カスタムのレポートやデータ抽出などで非常にクイックにご対応いただけた上に、結果そのものも我々としてもそのまま使える状態、クライアントにすぐ出せるものに近い状態でした。

もちろん、いただいたレポートやデータをもとに解釈は加えていきますけれども、すぐ解釈に入れるというのは非常に良かったなと思います。

App Apeは、アプリに関する事実を把握する上では欠かせないサービス

ーー冨田さんにとってApp Apeはどういうサービスですか?

冨田:App Apeはアプリに関する事実を把握する上では欠かせないサービスです。App Apeのおかげで、僕自身の担当や関心領域である決済やポイントに関連する事実を、今まで以上に深く理解することができました。

決済やポイントなど担当の業務分野以外でも、ふとした時に生活者がアプリについてどういう利用の仕方をしているのかといった、世の中の情勢を知る上でもApp Apeは役に立っています。

そういった世の中の動向への興味関心が高いクライアントも多数いらっしゃるので、そういう時にこちら側の知見としてApp Apeのデータをもとに、情勢を紹介したりといった形で使っていたりもします。

今後は、アプリに関する事実を把握する上で欠かせないApp Apeの価値を社内でさらに広めていけたらと思います。

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